創業70年、祖父の代から続く不動産会社
おじいさんが築いた、長野で3番目の不動産会社
弊社は、創業70年になります。もともとは、夫の祖父が立ち上げた会社なんですよね。長野県で3番目にできた不動産会社だと聞いていて、当時のことをくわしく知る祖父自体、もう他界してしまっているので、正直なところ、詳細はわからない部分も多いんです。それでも、70年という時間を積み重ねてきたというのは、なかなかできることではないな、と思っています。
グループとして支える2つの看板
事業内容としては、賃貸仲介・管理や土地建物売買・相続相談などをおこなっています。「株式会社芹田不動産」と、もうひとつ「セリタホームズ株式会社」という名前の会社があって、この2つは別会社ではあるんですけれど、社長は同じ人間が兼任していて、グループとして動いているような形になります。
信州大学のそばで育まれる、学生とのつながり
学生の半分がお客さま
弊社は信州大学の工学部のすぐ近くにあって、工学部の学生さんの半分くらいは、うちでお部屋を探してくださっているんじゃないかなと思います。学生さんは、不動産会社を通した方が安心できるという感覚があるみたいで、そのぶん入居後の管理にも、私たちは力を入れています。
グループのセリタホームズのほうでは、信州大学の学生さんにインターンとして関わってもらうこともあるんです。そういう意味では、地元に根ざした関係性を大事にしているところが、弊社らしさなのかなと思います。
長野の家賃は「思ったより高い」
長野の家賃は、割と高めなんですよね。1Kのオーソドックスな8畳くらいの部屋で、4万5,000円くらいからが相場です。私はもともと東京で働いていたので、地方だからもっと安いだろうと勝手にイメージしていたんですけれど、そんなに安くはないんですよ。新築になると、7万円台まで行くこともあります。
築100年の古民家を、地域の交流拠点に
学生とゼミで進める再生プロジェクト
今、信州大学の研究室と一緒に、あるプロジェクトを進めています。セリタホームズのほうで、築100年ほどになる古民家を購入していて、それをどう地域貢献につなげていくかを、いろいろと考えているところなんです。カフェにするのか、学生さんの交流の場にするのか。信州大学だけでなく、長野県立大学のゼミの学生さんとも意見を出し合いながら、どんな形が地域にとっても、学生さんにとっても良いのかを模索しています。
利益を出すことよりも、地域貢献の場になれたらいいなという思いのほうが強くて。まだ本当に走り出したばかりの段階なんですけれど、うまく形にしていきたいなと思っています。
見えてきた、集客と認知の壁
一方で、課題もあります。築100年の古民家をどう活用するかという難しさに加えて、学生さんをどう集めるかという集客の部分ですね。学生さんの周りのお友達には広がっていくんですけれど、それだけでは、地域の方々に認知してもらうところまではなかなか届かなくて。InstagramやTikTokなど、SNSでの発信に取り組んでいるのも、この認知を広げるためなんです。ただ、正直なところ、簡単ではないなというのが実感です。
人生の節目に寄り添う会社でありたい
70年続く、長く付き合う関係性
弊社の強みは、やはり営業年数の長さだと思っています。賃貸の場合、契約までは丁寧に対応しても、入居後は関わりが薄くなってしまう会社も少なくありません。弊社は、そこを大事にしていて、長くお付き合いを続けることを重視しています。「ここで借りて良かった」と思っていただけたお客さまが、その後、家を買うタイミングでも頼ってくださったり、ご紹介につながったりすることも多いんです。70年続いてきたという安心感は、他社にはなかなか出せない強みだと思っています。
マネージャーとして学んだ「忍耐力」
神宮大会を経験した大学野球部時代
学生時代は、福岡にある大学の野球部でマネージャーをしていました。全九州大学野球選手権大会で優勝すると、東京の明治神宮野球大会に出場できるんですけれど、そこにも行かせてもらいました。私が在籍していた頃はチームが強くて、同期にはプロ野球の阪神に進んだ選手もいたんですよ。
リーマンショックを越えて、長野へ
ちょうど就職活動の時期がリーマンショックと重なって、正直、大変な時代でした。それでも、なんとか東京に出ることができて、働いていたんです。そこで、今の夫と知り合いました。夫の実家が長野で不動産会社を営んでいたご縁で、こちらに来ることになって。今は賃貸部の課長として現場を動かしながら、広報としてメディア対応なども担当しています。
学生へ伝えたいメッセージ
「長く続ける」ことの価値
学生時代にスポーツなどに打ち込んでいた経験がある人は、忍耐力が身についていると思うんです。それはすごく大事な力だと感じていて。どこの会社でもいいので、長く勤めるということは、とても大切なことだと思っています。合う・合わないは、もちろんあると思うんですけれど、向いていないと感じてすぐに諦めてしまうのではなく、その場所に馴染んでいく努力も必要なんじゃないかなと。もっと若いうちは、いろいろなことに挑戦してもいいと思いますし、起業したいという志の高い方には、心から頑張ってほしいなと思います。
編集後記
今回のインタビューを通して、印象に残ったのは「利益よりも地域貢献」という言葉でした。創業70年という歴史の重みと、信州大学の学生さんたちと進める古民家プロジェクトという新しい挑戦が、同じ会社のなかで両立している点が興味深かったです。学生起業を志す私にとっても、長く続けることの価値や、地域とのつながりを大切にする姿勢は、大きな学びになりました。倉石さん、貴重なお話をありがとうございました。