会社を立てた経緯
上の2割にルールは要らない
新卒で入った営業会社は2,000人規模の組織で、そこでの経験からいくつか「これはおかしい」と感じることがあったんです。会社という組織には「2:6:2」という考え方があって、100人いればだいたい上位2割がトップセールス、真ん中の6割が普通、下位2の生産性は平均より少ない、という構成になると言われます。当時在籍していた会社もまさに、その法則が如実に出ていて、時間も関係なくやり切る2割の人間と、それなりにやる6割、そしてそれ以外の方たちがいました。営業という仕事は、ある程度のリテラシーがあれば細かいルールなど本来必要ないんです。むしろ、そういった約束事が自分の行動を止めている感覚さえあって、すごく邪魔でした。上の2割にはまったく要らないルールを、他8割の人に合わせて全員に当てはめてしまうから、自分としてはとても動きづらかったんです。
同じ思いを持つ人としか働きたくない
いろいろな価値観を持った人がいて、同じ方向を向いていない組織はやりにくいものです。何のために仕事をするのか、何で会社を大きくするのかという部分が同じ思いでないと、一緒にやっていても困ってしまいます。そこで、いつか起業する時が来たら、自分の中で思う間違いを正せる会社を作ろうと決めていました。それが今のシグマインターナショナルです。もちろん、設立の経緯にはリーマンショックなどのいろいろな出来事もありましたが、多くの方に支えていただき、チャンスをもらって今に至ります。今期で17期目、少数精鋭の体制で大きな商いをさせてもらっていますが、これは同じ思いを持つ人だけでやってきたからこそだと思っています。
事業内容とこれからの方向性
車両にまつわる幅広いサービス
弊社の事業の軸はトラックの売買です。そこから広がって、トラックのレンタルや部品の販売、輸出、レッカーといったサービスも手がけています。最近力を入れているのはファイナンスの領域で、運転資金に困った際に今持っているトラックを1回現金化して穴埋めし、そのまま仕事でも使い続けられるようにする、リースバックのような仕組みを提供しています。
大きくするより濃くする
今後どこまで売り上げを伸ばすかという話はよく聞かれますが、思いが同じでない人を集めれば一時的に売り上げは伸ばせても、中長期的には必ずどこかで歪みが出てきます。弊社としては売上以上に会社の中身を濃くし、それを一歩ずつやっていくことを大切にしています。もう1つ大切にしているのが、例えば修理工場だったり、業界外だと銀行などを含むステークホルダー、つまり利害関係者との関係です。私たちは、彼らも含めて「ワンチーム」だと考えていて、そのつながりをどんどん濃くしていくことが、これから取り組むべきことだと思っています。難しいことに挑戦している、とよく言われますが、正直なところそれほど大きな壁は感じていません。私にとって当たり前にやるべきことを、当たり前にやり続けているだけなんです。
海外で見た格差が原点に
単身渡英で気づいた教育の違い
中高一貫の学校に通っていましたが、中学校を辞めてそのままイギリスに単身で留学し、高校と大学をイギリスで過ごしました。日本にいた頃は、良い大学、良い学校、良い会社に入ることがロールモデルとして示され、勉強することが最優先という空気がありました。一方で海外では、個性や自分の考え方、主張をどう持つかということが重視されていて、教育のあり方がまったく違います。その中で、自分の強みをどう生かしていくかを考えるようになったんです。
裕福な同級生を見て感じた焦り
海外では周りに裕福な家庭の同級生が結構いて、日本人でも外国人でも、生まれながらに将来が約束されているような人を数多く見てきました。そういう様子を見ていると、自分の力でどうにかしていかなければ、という気持ちが自然と強くなっていったんです。その頃から、いつか起業して自分の力で這い上がっていかなければいけないという思いを、日々現地で感じるようになりました。それが今の自分の原点になっていると思います。
学生に伝えたいこと
25歳から30歳は修行の期間
学生から社会に出て25歳から30歳までの期間は、すごく大事な修行の時間だと思っています。私自身もそのつもりでやってきました。転職活動を繰り返すような動き方をしていると、実績が出ていない分だけ市場価値もどんどん失われていきます。その時期は本当に気をつけないと、企業側は実績がなく転職が多い人は採用しません。それで多くの人が失敗してしまうんです。
理不尽さを経験した人は強い
学校やスポーツなどで一定期間の理不尽さを経験してきた人は、社会に出てからも活躍できると思います。学生の間に理不尽さを経験していないと、社会に出て初めて理不尽な状況に直面したときに、それに耐えられずに辞めてしまいます。ただ、それは上に上がっていったり成功するために必要なことでもあります。もちろん全員がそういう道を選ぶ必要はなく、上を目指せば目指すほど負荷やストレスもかかりますから、無理に上を目指さない生き方があってもいいと思っています。
会社の強み
人に依存した会社を作り続ける
弊社の強みであり、これからも大切にしていきたいのが、人に依存した会社を作っていくという考え方です。一般的な会社は人に依存しない会社づくりをしていますが、弊社はそうではありません。少数精鋭にこだわり、同じ思いを持った仲間と、心が折れない強さと実績を持つ人たちと一緒に、これからも会社を作っていきたいと思っています。
編集後記
今回のインタビューを通して、春井さんの「同じ思いを持つ人としか働きたくない」という一貫した軸に触れることができ、とても勉強になりました。イギリスでの留学経験から起業への思いにつながっていく流れは、私自身も学生として将来を考えるうえで、たくさんの気づきをもらいました。「理不尽さを経験した人は強い」という言葉は、今の自分の就職活動にもそのまま生かしていきたいと感じています。貴重なお話をありがとうございました。