大学の体育会やサークル活動において、避けて通れないのが「資金難」という壁だ。アルバイトと練習の日々に追われ、志半ばでコートを去る学生は少なくない。
そんな学生たちの救世主となり、同時に企業の採用課題をも解決する革新的なプラットフォームがある。それが、株式会社スポンサーズブーストが展開するサービスだ。
「学生時代の悔しさが、すべての原動力」と語る代表に、同社が目指す世界、そして2028年のプロマーケット上場に向けた壮大な戦略を聞いた。
1. 九州大学ラクロス部での原体験。「何もできなかった」という悔しさが原点
――まずは、このサービスを立ち上げるに至った原体験から教えてください。
代表:私は福岡出身で、大学は九州大学に進学し、ラクロス部に所属していました。80〜90名ほどが所属する大きな組織だったのですが、毎年5〜6人のメンバーが部活を辞めていく現実がありました。
理由はシンプルで、「お金」です。みんな必死にアルバイトをし、奨学金を借りながら活動を続けていましたが、遠征費や用具代などの負担に耐えかねて、大好きな競技を諦めてしまう。
当時の私は一人の学生に過ぎず、スポンサーを集めるノウハウもなければ、彼らを救う仕組みを作ることもできなかった。ただ見送るしかなく、どうすることもできない自分の無力さが、ずっと心に残り続けていました。
その後、就職活動の時期を迎えて気づいたんです。理不尽な環境下でも、アルバイトと部活を両立し、最後までやり遂げた人材がいかに社会から高く評価されるか、その圧倒的な価値を肌で感じました。「あのとき、可能性に溢れた仲間を救えなかった」という悔しさが、起業家としての私の原点になっています。
――大学卒業後は、すぐに起業されたのでしょうか?
代表:実は半年間留年をしていて、その期間にオーストラリアへ渡りました。現地で「お金が循環し、経済が活性化しているコミュニティ」の心地よさを体感しながら、多くの魅力的なビジネスパーソンと出会ったんです。彼らの多くが東京に拠点を置いていると知り、「卒業後はまず東京で力をつけよう」と上京を決めました。
新卒で入社したのは東京海上日動火災保険です。厳しい環境でしたが、退職する際は「惜しまれつつ、応援されて辞めたい」という強いこだわりがありました。自分の引き際できちんと成果と仕組みを残すのがポリシーだったため、1年間の高い目標を半年の前倒しで達成し、完璧な引き継ぎを終えてから次のステップへと進みました。
その後、1社目となるリプロカンパニーを創業。営業コンサルを主軸とするビジネスを展開し、そこで経営の地力を養いました。
2. 学生の「資金難」と企業の「採用難」。二つのペインが交わった瞬間
――そこから、どのように「スポンサーズブースト」の着想へと至ったのですか?
代表:結論から言うと、「学生側のペイン(苦悩)」と「企業側のペイン」の双方が、私の中で重なったから、です。
学生側のペインは、先ほどお話ししたラクロス部での原体験そのもの。活動費に困っている学生を前に、ビジネスの力で持続可能な支援をしたいという想いがずっとありました。
一方で、1社目を経営する中で私自身も「採用」の壁にぶつかりました。現在の売り手市場において、中小企業やスタートアップが優秀な学生にアプローチすることが、これほどまでに難しいのかと人事サイドの苦悩を痛感したんです。
→ 「活動資金が欲しい学生」と、「優秀な学生と早期に出会いたい企業」。この両者をスポンサーシップという形で綺麗につなぐことができれば、三方よしの巨大なエコシステムが作れる。
→そう確信し、誕生したのが「スポンサーズブースト」です。
3. 「50社×50部活」で地方を面で捉える。プラットフォームがもたらす5つの変革
――具体的に、このプラットフォームは学生や部活にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
代表:大きく分けて5つのコアメリットを用意しています。
【5つのコアメリット】
| ①資金面の強固なサポート | 弊社が間に入り、複数の企業からスポンサー枠をまとめて獲得。学生が貴重な時間を割いて営業回りを模索する必要はありません。 |
|---|---|
| ②キャリア形成の早期化 | 就活が本格化する前の1〜2年生の段階から、スポンサー企業の経営者や社会人と日常的に触れ合う機会を提供します。 |
| ③クラウドファンディング機能 | 今年の6月以降に実装予定。企業からの支援(to B)だけでなく、OB・OGや個人ファンから支援を募るモデル(to C)も融合させます。 |
| ④生活・活動の福利厚生 | 提携している民泊施設に格安(または無料)で宿泊できる仕組みや、プロテインなどの健康食品をバルク(まとめ買い)で安価に購入できる特典を用意 |
| ⑤独自の「地域連携モデル」 | 従来の「1社対1部活」という点での支援ではなく、「50社対50部活」という集合体でマッチングさせ、地方都市へ面展開していくビジネスモデルです。 |
――特に5つ目の「地域連携モデル」は、非常にダイナミックな構想ですね。
代表:ありがとうございます。ここが私たちの最大の強みです。各都道府県で「50社×50部活」の強固なネットワークを構築します。企業側はまず広く薄く全体をスポンサーし、その中で「特にこの部活を応援したい」「この学生たちを自社に迎えたい」と感じたら、個別契約へ進める2段階構造にしています。
さらに、地方展開において強力なブースターとなるのが「地元テレビ局との連携」です。
50社の企業の前で学生たちが自分たちの活動やビジョンをプレゼンする場を設けるのですが、その熱い様子が地元の情報番組やCMとして地上波で放映される仕組みを整えています。ただお金をもらうだけでなく、自分たちの頑張りがメディアを通じて地域全体に届き、ブランディングされていく。
これこそが、私たちが提供できる唯一無二の価値だと自負しています。
4. 2028年プロマーケット上場へ。「日本一」を目指す組織の挑戦
――今後のロードマップと、組織としての展望をお聞かせください。
代表:時間軸としては、2028年度のプロマーケット上場を明確に目指しています。すでに1回目の資金調達を完了しており、現在はさらなるスケールに向けて2回目のラウンドを動かしているところです。
戦略としては、今年はまず5つの都道府県で「50社×50部活」のモデルを完全確立させ、来年には一気に47都道府県へと横展開します。
地方の企業様からは、せっかく優秀な新卒を採用できても「社内に育成するリソースやノウハウがない」という声をよく伺います。
そこで私たちは、スポンサー企業に入社した新入社員を地域ごとにまとめて私たちが教育・育成する、「社外同期・社外研修」のような仕組みも合わせて提供していく予定です。「面(プラットフォーム)」で地方の市場を捉え、そこに「線(教育・採用コンサル)」の提案を突き刺していく。これが我々の骨格となる戦略です。
――競合企業の参入も増えているかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
代表:現在、私たちと全く同じ仕組みで動いている競合が2社ほど出てきています。しかし、私はこれをピンチではなく、むしろ「マーケットが成熟し、盛り上がってきた証拠」として非常にポジティブに捉えています。
競合がいるからこそ市場は広がる。その中で私たちは、プロマーケット上場を見据え、圧倒的なスピードで「日本一」を獲りにいきます。だからこそ、一緒に働く仲間にも、日本一という高い志を持った熱い人材を求めています。
私たちが掲げるスローガンは「挑戦者・ブースターたれ・日本一たれ」です。
* 挑戦者:自ら主体的に一歩を踏み出し、新しい価値を創造できる人。
* ブースター:私たちの社名でもあります。自らの情熱と行動によって、周囲の人々の心に火をつけ、加速
させられる人。
* 日本一たれ:馴れ合いではなく、最高峰の景色を一緒に見にいく覚悟を持った人。
この3つのマインドセットを持ったメンバーと、日本の部活インフラを再定義したいですね。
5. AI時代を生きる学生たちへ。机上の空論を捨て、「泥臭い一次情報」を掴め
――最後に、これからの未来を担う学生の皆さんへメッセージをお願いします。
代表:これからのAI時代、エンジニア領域はもちろん、かつてエリートとされたコンサルティング領域の仕事も劇的に変化していきます。情報の収集や、綺麗に整理・分析するタスクは、すべてAIが瞬時に代替するようになるでしょう。
だからこそ、これからの時代に最も問われるのは「人間にしかできないこと」です。
それは、自ら足を動かして「一次情報(生の声・現場のリアル)」を取りにいく泥臭さであり、ネットには落ちていない、自分自身の手で構築した強固な人脈やネットワークです。
画面の前での調べ物や、教科書通りのきれいなロジックには価値がなくなります。泥臭く現場に飛び込み、リアルな情報を持ち帰ってこられる人材こそが、社会から求められ、生き残っていく。
学生の皆さんには、ぜひ部活や私たちのプラットフォームを通じて、その「生きる力」を養ってほしいと願っています。
【編集後記】
インタビュー中、代表が口にした「あのとき何もできなかった」という言葉が、深く胸に刺さった。お金という現実的な問題の前に、大好きなスポーツを諦めざるを得なかった仲間たちの姿。その時の無力感と悔しさを、単なる思い出に留めず、社会の構造を変える事業へと昇華させた情熱に圧倒される。
スポンサーズブーストの構想は、単なる資金援助ビジネスの枠に収まらない。キャリア形成、地域ブランディング、福利厚生、そして地方企業の教育課題の解決まで、部活を取り巻く課題を包括的に解決しようとするグランドデザインの大きさに、日本の地方が活性化していく未来の解を見た。
「AI時代こそ、泥臭く一次情報を取りにいけ」という学生へのメッセージは、激動の時代を生きるすべてのビジネスパーソンにとっても、本質的な示唆に富んでいる。画面を閉じて、現場へ向かう。その一歩の価値を、改めて教えられたインタビューだった。