インタビュー

「ピアスができない」を仕事にした ― 金属アレルギー対応アクセサリーで挑む、ニッチ市場のナンバーワン戦略

「ピアスができない」を仕事にした ― 金属アレルギー対応アクセサリーで挑む、ニッチ市場のナンバーワン戦略
PROFILE
Seedia株式会社 代表
木村 康昭

おしゃれを、あきらめない選択肢に

ピアスもネックレスもつけられない人のために

ピアスやネックレスをつけられないとか、そういった悩みを持つかたが多くいらっしゃるんですよね。その悩みを解決して、できるだけ制限なくおしゃれを自由に楽しめる場をつくりたいという思いから、この事業をスタートしました。

いま運営しているのは、金属アレルギー対応アクセサリーを主力とするD2C(自社で企画した商品を消費者に直接販売する)ブランドです。主力ブランドの「stoork(ストーク)」は40〜50代の女性を中心にご愛用いただいていて、Seedia(シーディア)株式会社としては、アクセサリーのD2C事業に集中して取り組んでいます。

レッドオーシャンのなかに見つけたすきま

金属アレルギー対応のアクセサリーをやろうと思ったのには、私自身のキャリアも関係しています。学生時代からいろいろなビジネスをやっていて、23歳のときに会社を起こし、13年間メディア運営を含めたWebマーケティングに携わってきました。そのなかで、なにか新しいことをしたいという思いがずっとあったんです。

もともとの強みだったサイト運営や集客の知見、それからおしゃれが好きだったこと。この二つのフィルターをかけたときに、アクセサリーはありだなと思いました。調べていくうちに、金属アレルギーという悩みがかなりのボリュームを持っていることがわかり、そこに参入しようと決めたんです。

はじめた当初は、すでに競合がたくさんいる、いわゆるレッドオーシャンの市場でした。ただ、強そうな企業を見ていくと、アパレル会社が片手間に通販をやっている印象のところが多く、つくり込みが甘いなと感じる部分がありました。それに加えて、競合の口コミがあまりよくなかったんです。安いから品質もそれなりだろうと思われて、購入をためらうお客さまも多いのではないか。だったら逆に、高評価の口コミを地道に増やしていけば売れるはずだと考えました。

実際にその方針で進めた結果、いまでは口コミが6,000件以上たまっています。ある程度の評価が積み重なっていくと、自然と売れるようになっていく。その仮説が当たった感覚がありますね。

少数精鋭で会社を回すという選択

立ち上げ期は業務委託中心の経営スタイル

立ち上げからここまでは、正社員を多く抱えるのではなく、業務委託のメンバーを中心に運営してきました。ブランドの業務委託のなかでレイヤー(階層)をつくっていて、たとえば管理者を一人置いて、その下に撮影・仕入れ・検品を担当するかたを置くといった形でチームを組んでいます。

発送などは協力会社にすべて任せていて、検品が終わった商品は外部の会社で保管と在庫管理をしてもらっています。サイトで売れたら、そのまま発送まで進んでいく。自動販売機のような仕組みをつくれたのは、たまたま噛み合ったところが大きいですね。

集客やWebまわりも、ITをうまく活用しながらすすめています。少ない人数で事業を回せる状態をつくれているのは、ここまでの一つの成果だと思っています。事業が育ってきたいまは、中心メンバーの正社員化など、次のフェーズに向けた組織づくりも少しずつ進めているところです。

せどりで培った「情報を制する者が勝つ」感覚

学生時代はヤフオクで稼いでいた

私はいま40歳なのですが、学生だった20年前、20歳だったころはメルカリのようなフリマアプリはまだなくて、パソコンでYahoo!オークションに出品するのが主流でした。町の古着屋のようなところでは安く売られているものが、ヤフオクだと高く売れることがよくあったんです。そこに目をつけて、リアルの店舗で買ってネットで売る、いわゆるせどりをやっていました。

当時いちばん大事だったのは、できるだけ情報を分析すること。なにが高く売れるのか、どんなトレンドがあるのか、それが今年だけの流行なのか過去5年続いているものなのか。そういったデータをすべて分析して判断していました。他社よりも情報を集め、分析できるかどうかがすべてだったと感じています。この感覚は、いまのアクセサリー事業にもつながっている部分があります。

これからのビジョンと向き合う課題

リアル店舗でお客さまとの接点をつくりたい

いまはネット通販限定で展開していますが、今後はポップアップストア(短い期間限定で開設される店舗)も含めてリアルの店舗でお客さまとの接点をどんどんつくっていきたいと考えています。

一方で、アクセサリー市場自体はそこまで大きくないので、拡大していくうえでどこを攻めていくかは課題の一つです。たとえば、ピアスホールを開けられないかたに向けてイヤリング専門のブランドを展開するといった構想も持っています。

ニッチな市場でナンバーワンを狙う

こうした展開をすすめていくと、どうしても市場はニッチになっていきます。ただ、そのニッチな市場でナンバーワンを取っていくことを、会社の方針として考えています。どの市場を狙うか、どんな悩みにアプローチしていくかは、これからもさらに探していかなければならないと思っています。

学生へのメッセージ

考えるよりまず行動する

いまはAIを使えば、誰でも80点は取れる時代になっていると思うんです。だからこそ、考えるよりも行動することが本当に大事だと感じています。すぐに始めること、そして仮に失敗したとしても、それが次につながっていく。アクションを起こすというその一点に尽きると思います。

編集後記

今回は、金属アレルギー対応アクセサリーブランドを展開するSeedia株式会社の木村さんにお話をうかがいました。学生時代のせどりの経験から、情報分析を徹底する姿勢が一貫しているのが印象的でした。正社員を雇わずに事業を回す発想や、口コミを地道に積み上げて信頼をつくる戦略は、これから事業をつくりたいと考えている学生にとっても、多くのヒントがある内容だったと思います。