インタビュー

二十歳、学生八人で挑む「大分を代表するIT企業」。AIスタートアップNeurestX代表・佐藤光河のいま

二十歳、学生八人で挑む「大分を代表するIT企業」。AIスタートアップNeurestX代表・佐藤光河のいま
PROFILE
株式会社NeurestX 代表取締役
佐藤 光河

ロボット研究部で培った技術とチーム力

高専時代はロボット研究部だった

高専に入って一年生から三年生までは、ロボット研究部に所属していました。二年生のときには先輩方と一緒に、アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2022で全国準優勝をいただいたこともあります。三年生のときにはメインプログラマー兼制御班長として活動していて、一年生から三年生では技術的なことを、班長をしていた時期にはチームマネジメントをしっかりと学びました。

DCONとの出会いが起業のきっかけ

高専四年生・五年生のころには、日本ディープラーニング協会さんが主催する「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)」というコンテストに出場していました。DCONは、高等専門学生が日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品を制作し、その作品によって生み出される「事業性」を企業評価額で競うコンテストです。ビジネス系・技術系、さまざまなコンテストにも参加していて、いろいろな方とお会いして視点を深めていきました。

DCONでは、一次審査を突破すると「DCON Startup応援一億円基金」という企業支援を受けられる権利を得られます。そこで起業する権利を得た、という流れになりますね。

仲間といつでも戻れる場所をつくりたい

コンテストを続けるなかで、起業家マインドのようなものを養われた部分もありますし、なにより仲間とずっとやっていくこと自体が楽しくなっていったんです。そのコミュニティを、これからも仲間と続けていきたいという思いが強くなっていきました。

一緒に事業をやっている仲間も、多くは学部三年生か四年生です。彼らはきっと大企業に就職するだろうな、というのは個人的に思っているんですけど、いつか転職したいと思ったときや、私自身は福岡でずっとやっていくつもりなので、福岡に戻ってきたいと思ったときに、ワンクッション置けるような企業でありたいと考えています。いつでも戻ってこられる企業やコミュニティを、あらかじめ作っておきたいという思いが、起業した背景のひとつです。

もうひとつは、二十代という時間を無駄にすることなく、少しでも興味のある起業に飛び込んでみたいという思いがあったことも大きいですね。

大分発、AI受託開発のスタートアップ

事業内容は、いわゆるAI受託開発です。主に三つの軸で展開していて、デジタルコンサル、デジタルデータの分析からAIソリューションのご提案、そして各企業様が抱える課題に合わせたAIシステムの開発・運用・保守を行っています。

私たちの特徴は、大分高専発AIスタートアップとして認定を受けている、正式なスタートアップであるという点です。大分や福岡を拠点に、DXがあまり進んでいない製造業や建築、土木といった業界の企業様向けに、本当に現場で生きるAI、カスタマイズ型のAIをご提供しています。

学生ベンチャーゆえの壁と、地場とのつながり

創業時は、学生ベンチャーということでどうしても舐められがちで、「学生で本当にできるの?」と見られることが多くありました。営業方法も分からなければ、どういった提案が刺さるのかも、各業界が抱える課題感もまったく分からないまま走り出したので、私たちの提案が刺さらないことが正直ありましたね。

まだ四ヶ月ほどの企業ではあるんですけど、そこから本格的に業界研究をするようになりました。事実を並べるだけではなく、本当に活かせるAIとはどういうものかをしっかりと精査していったことで、少しずつ提案が刺さるようになってきています。

営業はフォーム営業や展示会での逆営業、ご紹介などを中心に行っていますが、今は大分・福岡を拠点としたDX系のコミュニティや地場産業とのつながりを強化している最中です。そういったつながりが本当に大事なんだなと、最近痛感しています。

プロダクト開発にも力を入れている

AI受託開発とは対照的な取り組みとして、プロダクト開発も進めています。世界初のAI枕「FAIP」というプロダクトを開発しているほか、長岡花火財団さんへの提案が実り、聴覚障害者の方向けの支援デバイスとなるIoTリストバンドの実証実験を今年に行う予定です。

大分を代表するIT企業へ

今後のビジョンとしては、まずAI受託開発の側で、売上基盤・経営基盤をしっかりと整えていきたいと思っています。社内で各業界向けのAIの調査やノウハウ、視点を少しずつ蓄積していって、会社が簡単には潰れないというくらいのチームをしっかりと整えていきたいですね。

対照的に、プロダクト開発の側ではFAIPのキャッシュを使いながら開発を進めて、実証実験を開始し、最終的には法人向けにご提供していきたいと考えています。

自分たちが掲げていることとしては、まず大分を代表するIT企業にすること。そして数年規模では、仲間がいつでも戻ってこられるような企業にしていきたいという思いがあります。現在は、私を含め八名で活動しています。

学生へのメッセージ

起業に興味がある学生の方に向けてお話しするなら、まずは足を突っ込んでみて、何かしら行動してみるのがいいと思います。学生の多くは親御さんの支援を受けながら大学生活を送っているので、借金などをしなければ、基本的にはリスクゼロから始められます。少しでも興味があれば、まず行動してみることが本当に大切だと思いますね。

起業だけではなく、いろいろやりたいことがある方も多いと思います。やりたいことや興味、そういった欲求が少しでもあるなら、何も考えずまずやってみることが、本当に重要になってくるんじゃないかと思います。

編集後記

今回は、大分高専発のAIスタートアップNeurestXを立ち上げた、佐藤さんにお話を伺いました。学生ベンチャーとして最初は提案が刺さらなかったという率直なお話や、仲間がいつでも戻ってこられる企業をつくりたいという思いには、同じ学生としてとても勇気をもらいました。リスクゼロからまず行動してみる、というメッセージも、これから何かに挑戦したいと思っている方の背中を押してくれる言葉だと感じています。