サッカー一筋の少年時代
ゲームより、ボールを追う日々
小中高とずっとサッカーをやっていました。小学生のときには神戸市の大会で優勝して、兵庫県でも上位まで勝ち進んだことがあります。毎日ボールを追いかけるのが当たり前の生活で、ゲームなどは一切せず、ずっとサッカーに打ち込んでいました。思い返すと、あの頃に成功体験が身についていたのかもしれません。
大阪から吉本興業へ
不眠不休で書いた台本が道を開いた
小中高とサッカーをした後、実践空手に取り組みました。兵庫県の大会で優勝して、師範に道場を持てとまで言われましたが、当時吉本興業の芸人養成所に通っていたこともあり、どうしようか迷っていました。そんな中で、阪神大震災が起きました。誰とも連絡が取れず、空手も出来なくなって、これを機会に大阪に行こうとなりました。相方と二人で神戸から大阪に出て、お風呂もトイレもない、ねずみが出るような部屋に住みながら過ごしていた時期がありました。ブラックマヨネーズや野生爆弾、次期課長などと同期として、3年ほど芸人活動を続けたのちにコンビを解散し、裏方に回ることになりました。その後、放送作家をやりながら、吉本新喜劇の脚本を書くという仕事を頂き、そこからは、どうすれば人の心が動くのか? と言うことだけを考え続ける日々でした。何回も何回も書き直しては、アドバイスを頂き、また書き直して、気がつけば72時間、不眠不休で脚本を書いている事もありました。体調を壊して、入院をして、それでも面白いことを書き続けないといけない日々。苦しいようで楽しくもあり、無我夢中で駆け抜けていました。しかし、その時の切磋琢磨があったからこそ、多くの技術が身についたのだと思います。
放送作家として掴んだもの
一流企業を巡った脚本の仕事
東京に来てから携わった仕事の一つに、NHKの「芸人先生」という番組があります。サンドウィッチマンさんのような人気芸人が、ネタづくりで培ったクリエイティブ能力やコミュニケーション能力を活かして、企業に行って授業をするという番組でした。それも、KIRINさんやJALさん、ANAさん、カルビーさんといった、いわゆるナショナルクライアントと呼ばれるような一流企業ばかりを巡る内容で、その構成・脚本を担当していました。
人生の分岐点となったビジネス講師
2時間で40万円、そこから広告へ
放送作家として活動していた僕のもとに、塾を経営する法人様からコミュニケーション論の講演をして欲しいという話が舞い込みました。塾の先生というのは、子どもとも保護者ともコミュニケーションを取らなければならない仕事で、コミュニケーション能力がとにかく求められます。そこでどうすれば親とも子供とも適切なコミュニケーションが取れるのかを講義したところ、2時間で40万円の報酬を頂けました。「授業をしてほしい」と頼まれて、2時間話しただけで40万円をいただいたこともありました。だんだんとビジネス寄りの依頼が増えていって、SNS広告を出す仕事もうまくいくようになったんです。それまでずっと漫才やコントの台本を書いてきた身からすると、いかにしてお客さんの気持ちを掴むかというお笑いの難しさに比べたら、広告はまだ扱いやすい感覚がありました。そうして作ったものが評判になり、あちこちから「お願いしたい」と言われるようになって、気づけば広告代理店を経営するようになっていました。今はその広告代理店を経営しながら、広告やマーケティングを教える講座も開いていますし、採用支援も同じ考え方でおこなっています。
広告という枠に収まらない
心の移動距離をどう作るか
弊社がやっていることは、目的を広告そのものに置いているわけではありません。いかにして魅力を伝えるか。そのために言葉の選別にこだわり、選別された言葉と言葉が連なり、1つの文章になっていき、その文章の連なりがアイデアとして認識されていく。それによってどう人を振り向かせるかというところでは、広告も採用も、やっていることは変わらないんです。ですので、広告という狭い枠に自分たちを閉じ込めたくなくて、弊社は「WEBメディア戦略パートナー」と名乗っています。広告もランディングページもホームページも、人の心を動かす技術は同じ、というスタンスです。それこそが、弊社の強みであります。私はそれを「心の移動距離を作る方法」と呼んでいるのですが、この技術を使う事で、個人や法人の魅力を最大化して、世の中に発信できるお手伝いができると考えています。
数字が語る、伝え方の力
広告費60万円で6人採用
たとえば、弊社が支援している建設会社さんの採用でも、同じ考え方で取り組みました。建設会社では、今は普通に採用募集をかけても20代の職人さんはなかなか集まらず、50代や60代の方ばかり応募が来てしまう状況があります。人材紹介会社に頼めば、1人採用するのに年収の3分の1ほど、だいたい150万円ほどかかってしまうこともあります。そこで、私がランディングページと動画をつくり、社長へのインタビューをもとにした10分ほどのヒストリー動画も制作して採用活動をおこなったところ、広告費60万円で6人の採用につながりました。20代の職人さんが3人、40代の営業職の方が2人、事務員さんが1人という内訳で、その後も辞めずに続いています。
面白いだけでは残れない
最後に問われるのは人間力
放送作家として活動していた頃、痛感したのは「面白いだけではダメだ」ということです。放送作家として本当に必要とされる人というのは、企画力もライティング力もプレゼン力も、ある程度のレベルでみんな備えています。そのなかで最後に差がつくのは、結局は人間としてちゃんとしているかどうか、人間力なんですよね。遅刻をしない、1分2分の遅刻すら誰もしない、人が嫌がることでも率先してやる。そういう人しか、あの世界には残っていけません。人をやる気にさせる言葉遣いができるかどうかも大切で、優秀な人しかその輪のなかには入れないんです。逆に、一緒に仕事がしづらい人は、自然と淘汰されていなくなっていきます。私自身、あるとき「自分は仕事ができる」と慢心してしまった瞬間があって、そこからアイデアへの成長が止まってしまった経験があります。慢心してしまう人、天狗になってしまう人は、どこに行っても伸びません。高学歴であることが悪いわけではないのですが、勘違いしてしまう人ほど、結局は心の問題に行き着くのだと思います。今、自分が経営者になって難しさを感じているのは、この人間力の大切さを社員にどう伝えるかというところです。若いうちはどうしても「これは俺がやった」「なぜ自分を評価してくれないのか」という気持ちが出てきてしまいますが、その心のあり方こそが一番大事なところで、ものづくりというのはみんなで取り組むものです。関われる環境にいること自体をラッキーだと感じて、感謝できる人には、自然と次の仕事の声がかかっていきます。
フォレストリンクスという名前に込めた思い
一本の木が、美しい景色になるまで
私自身がもともとお笑いの世界にいたこともあり、お笑いで人を笑顔にすることは今はできなくなりましたが、その代わりにビジネスの力を使って、関わる人たちを笑顔にしたいと思っています。関わる人が笑顔になり、その周りの人たちが元気になり、地域が笑顔になり、日本人全体が笑顔になっていけばいいなと考えています。自分たちの人生の景色に美しい花を咲かせようと思ったら、表面的な部分だけでなく、深く根を張らなければいけません。大変なことはたくさんあると思いますが、多少の雨や風、逆境にもびくともしない強いビジネスをつくるためには、しっかりと根を張り、胸を張って、一本の木が大きく美しい花を咲かせることが必要です。それが1本、2本、100本と増えていけば、今まで見たことのない美しい景色が見えてくるはずです。それが「フォレストリンクス」という社名の由来になっています。木々がつながり、まだ見たことのない美しい景色をつくっていく。そんな笑顔が咲き誇る世の中になればいいなと思っています。
学生へ伝えたいこと
動いてみることでしか分からない
学生の皆さんに伝えたいのは、本当に自分がやりたいことをやるのがいいということです。苦しいことをやっても続きません。ただし、何をやってもいいと思うので、思いっきりやって、失敗もすればいいと思います。大切なのは心のあり方で、感謝することだと思っています。挑戦させてくれる環境があるなら、その環境に感謝すること。感謝を言葉にするのが恥ずかしい人も多いと思いますが、謙虚に感謝することさえできていれば、何をやってもいいと思います。周りの大人は、そこをしっかりと見ているものです。もし、やりたいことが見つからないという人がいたら、まずは一度動いてみることをおすすめします。動いてみると、それが面白くなってくることがありますし、動かないうちに判断すると、たいてい間違った判断になってしまいます。まずは動いて、失敗もしてみて、それでもやりたいと思えるなら、それが本当にやりたいことなのだと思いますし、違うなと感じたら、そこでやめればいいと思います。
編集後記
林さんのお話をうかがって、放送作家として培った「面白いだけでは残れない」という気づきが、経営者としての今の姿にまっすぐつながっていることが伝わってきました。感謝の心を忘れずに、まずは動いてみる。シンプルながら、これからの学生生活や就職活動においても大切にしたい言葉だと感じました。