梱包資材会社から食品づくりへ
きっかけは知識のない挑戦だった
この会社を始める前は、まったく違う仕事をしていました。トレーなどの梱包資材を扱う会社に勤めていたんです。
そこで働いているときに、別事業として食品を作るという企画が立ち上がりまして、特に知識はなかったのですが、その担当をすることになってしまったんです。
企画が終わった後に、製造自体を止めるという話になったのですが、せっかくここまでやってきたのだからということで、独立して始めたといった流れになります。ノウハウは元の会社で学んだというよりは、自分でやりながら独立したという感じです。
農家さんの悩みから見えてきたこと
独立してからは、人脈を使いながら商品を継続して販売してきました。もともと地元の農家さんたちが、規格外の野菜を作っても販売先がなくて、捨ててしまっているという状況があったんです。それを見て、そういったものを使って、経済循環をつくれないかと考えるようになりました。
北海道であまり作られていなかったさつまいもが、新しい素材としてでてきたタイミングがありましてね。規格外になってしまったものの、行き場所がなかったので、それを活かして観光資源にできないかということで、商品展開を始めたのがきっかけです。
北海道の「じゃがいものイメージ」との闘い
北海道で「さつまいも」を広げる難しさ
当時、さつまいもを使った商品は、なかなか北海道になかったので、販売するにも実例がなく、新しく開拓していかなければいけませんでした。
北海道といえば、じゃがいもやとうもろこしのイメージが強いと思います。そこをさつまいもを前面に出していくと、観光客の方から「じゃがいもでなければ、いらない」といった反応をいただくこともありました。
「何で北海道でさつまいもなの?」という見方もされがちですし、定着しているイメージを変えていくというのは、やはり苦労しました。
主力はOEMとオリジナルブランド
弊社の事業内容としては、お惣菜関係をOEMで作っているのに加えて、それ以外にも柱が必要だということで、お菓子の製造・小売販売もはじめました。
ブランドを作り、観光土産として自分たちでお客さまに販売していく事業です。こちらは創業と同時にスタートしました。
依頼から広がる商品開発と事業展開
相談から広がる商品開発
今使っている素材の商品販売を増やしていく仕事もありますが、最近は新たな農家さんや自治体さんから素材持ち込みで生産をお願いされることが増えてきています。ごぼうやお米など、規格外の作物を何とか商品にできないかと、お話をいただくことが多いんです。
私自身が「次はこの素材を使いたい」と決めて進めるよりも、農家さんや役所の方などからいただく相談に合わせて、商品づくりを進めているような状況です。
もちろん、素材によって向き不向きはあります。基本的には今作っている商品の延長線上にはなりますが、できる限り問い合わせに応じて、商品化していきたいと思っています。
全国、さらに海外に広げたい
北海道でも野菜の利活用を望んでいるものの、実現できていないところは非常に多くあります。全国にも同じような課題を抱える農家さんや自治体があるので、今後はそういったところの力になれるような事業を、国内外を問わず展開していきたいと考えています。
現在は、北海道の方をなるべく優先しながら商談しています。一方で、北海道以外からのお話もあって、鹿児島や東京などから、相談をいただくこともあります。OEMについては、本州からの依頼も多いです。
ただ、使っている原材料は、ほとんど北海道のものです。北海道以外では、農家さん1軒あたりの規模が小さかったり、収量が少なかったりして、単独では製造するのが難しい場合もあると思います。ただ、そういった場合でも、地域にお金が残る仕組みをつくりたいと考えています。
相手から選ばれる仕事も増えてきた
自社から営業をかけることもありますし、商談会に出ることもありますが、最近はこちらから出向くよりも、直接連絡をいただくケースが増えてきました。
自分たちから「どうですか」とお願いするのと、相手が自分で調べて「この会社とやりたい」と思って問い合わせてくれるのでは、やっぱり違うんです。
わざわざ自分で探して連絡をくださる方は、ある程度期待を持った状態で話をしてくれます。その期待と私たちができることが合えば、話もまとまりやすい。最近は、そういう流れが多くなってきたと感じています。
価値のなかったものに、新しい価値を与える
これまで価値のなかったものや、見出されていなかったものに、違う価値を与えてあげることが、私のモチベーションのひとつです。規格外なのに「正規品よりもすごいものができた」と感じてもらえるようなものを、弊社が作って提供できるとうれしいです。
例えば、これまで捨てられていたはずの野菜を使った製品が、何かの賞で1番を取ったりすると、それは新たな価値の創造ではないでしょうか。それまで価値を見出されていなかったものから、新しい価値が生まれたということだと思うんです。新しいものを探して、形にしていくということが、大きなモチベーションになってきたなと感じます。
学生に伝えたいこと
私は、すでにあるものに対して、あまり価値を見出さないタイプの人間です。学生のみなさんは若いですから、今までなかった新しいものを創造して、それを提供できるような人になってほしいです。
実際、学生さんには期待していますし、課外授業をしたり、一緒に商品開発を進めたりすることもあります。今あるものだけを見るのではなく、「これまでになかったものをつくれないか」と考えて、それを実際に形にしていってほしいです。新しい価値を生み出せる「挑戦者」になってもらえたらと思います。
編集後記
カドウフーズ株式会社の代表取締役、嘉堂聖也さんにお話をうかがいました。規格外の野菜や、地域になかった素材に新しい価値を見出していくお話が、とても印象的でした。実例のないところから商品をつくり、北海道に定着したイメージを変えていくのは、簡単なことではないと思います。
なかでも印象に残ったのは、これまで価値を見出されていなかったものに、新しい価値を与えていくという考え方です。学生との商品開発にも取り組まれており、「挑戦者になってほしい」という言葉が、実際の活動にもつながっていると感じました。
学生である私自身も、すでにあるものだけにとらわれず、新しい価値を考えて形にしていく姿勢を大切にしたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。