インタビュー

高知で感じた地方の衰退が原点に──ECで企業の「稼ぐ力」を支えて、地方創生に挑む

高知で感じた地方の衰退が原点に──ECで企業の「稼ぐ力」を支えて、地方創生に挑む
PROFILE
株式会社PIC 代表取締役社長
山田 留生

高知の過疎化から見えた、大きな危機感

地元の衰退が起業の原点

私は元々ECのコンサルティング会社に勤めており、数年前に独立しました。起業したいという気持ちは、もともと自分の中にありましたね。

というのも、私自身が高知県の出身で、地元ではかなり高齢化と繁華街の過疎化が進んでいる状況です。それで、学生時代から漠然と地方が抱える人口減少や、街がどんどん衰退していく様子を、かねてからまずいと感じていました。

それに、これは全国でも起きていることだろうと思って、「何とかしなければならない」と感じたのが、そもそもの起業のきっかけですね。自分にできることが何かあるはずだと考えていました。

ECの力で日本のものづくりを届ける

どういった事業や仕事であれば、この課題によい影響を与えられるだろうかと考えたときに、たどり着いたのがECの力でした。

日本が持つ食品や技術、ものづくりには、大きな可能性があると感じていました。ものづくりをインターネットを通して国内外に届け、商圏を広げるお手伝いができれば、地方の活性化につながるのではないかと思ったんです。

そう考えてECという文脈から、企業さんの「稼ぐ力」をつけるお手伝いをすることで、地方創生に貢献しようと決めました。

弊社が定義する地方創生とは、関わる企業さんの売上をアップして、そこに利益が生まれ、さらに雇用が生まれて人が集まる。このサイクルを大きくすることだと考えています。

起業以外の選択肢は考えなかった

地方に関わる働き方には、就職や地域おこし協力隊など、ほかの選択肢もあったと思います。ただ、私はそうした選択肢を検討したことはありませんでした。

自分が思ったことや描いたビジョンを達成するには、自分に権限と責任がないと、本当の意味では取り組めないと思っているんですね。自分に最大限の責任と決定権があるやり方を考えると、出資するしかない。つまり、会社をやるしかないと考えていました。

そういった意味では、どちらにしても自分で起業して、地方の活性化に取り組むところに行き着いたのだと思います。

EC支援とふるさと納税、2つの事業の強み

ワンストップでEC事業の課題を解決

弊社の事業は大きく2つあります。1つはECの運営代行とコンサルティング、もう1つは「ふるさと納税」の運営代行、いわゆる中間支援です。

ECの方は、インターネットで商品を販売できるメーカーさんや商社さん、小売店さんが対象です。ふるさと納税の方は、主に自治体が弊社のお客さまになります。

これらの事業をするにあたり、弊社の強みは大きく3つあると考えています。1つ目は、弊社が「ワンストップの支援サービス」と呼んでいるものです。

EC事業を成長させる上では、商品撮影や商品ページの制作、その後のマーケティング、物流など、多くの課題が出てきます。そこで、EC支援を弊社にお任せいただければ、そうした課題をワンストップで解決できるようにしています。

また、お客様の収支にまでコミットしてサービスを提供しているのも特徴です。事業にとってベストな内容を考えながら、収支まで責任を持ったEC事業責任者のようなイメージで、いろいろとお手伝いさせて頂いております。

成果に応じた料金プラン

2つ目の強みはコストです。弊社では「売上連動型料金プラン」と呼んでいて、成果に対して適正な料金を頂くことを大切にしています。

コンサル会社にありがちなのが、結果が出ていないのに、お客さまがコンサル会社に高い料金を払い続けてしまうことです。クライアントだけが疲弊してしまうパターンですね。

弊社では、こうしたケースを可能な限り少なくしたいと考えています。結果が出ていないのに高い料金を頂くのは、気持ちのいいお金の頂き方ではないと思っているんですね。

そのため、導入コストも可能な限り低くしています。お客さまと一緒に目標値を設定して、「ここまで売上が伸びたらこの料金」というように、段階的な料金設計にしています。その上で、弊社もしっかり成果を出し、その成果に応じた対価を頂く形です。

お客さまと長期的なパートナーとして伴走したいという思いを、言葉だけではなく、料金プランにきちんと落とし込んでいるわけです。

契約後1年の継続率は90%を超える

3つ目は結果で、弊社は契約1年後の継続率が90%を超えています。これは先ほどお伝えしたパフォーマンスとコストに、ある程度ご満足頂けている結果だと思っていますね。対応範囲と料金設計と結果。この3つが、お客さまに選んで頂けている大きな理由なのかなと考えています。

お客さまは地方の企業さんで、特に中小企業が多いですね。ご紹介からお客さまが増えるケースも多いですね。現在は、業務委託を含めて12〜13名ほどで事業を進めています。

中小企業が成長できるエコシステムをつくる

グループで売上100億円を目指す

今後のビジョンとして、私たちはグループで100億円を目指すことを掲げています。そのために、中小企業が成長できるエコシステムをつくりたいと思っているんです。

先ほどお伝えした「ECに関する課題をワンストップで解決する」というのは、あくまでもEC領域の課題解決です。これを最終的には、中小企業が抱えるさまざまな課題の解決を、トータルで支援できる形に広げたいと考えています。

例えば、グループ内に制作会社があって物流会社がある。さらに、人材派遣があってM&Aに関わる機能がある。そういった形で、ECを中心に据えながらも、グループ内に制作・物流・人材・M&Aなど、企業さんの成長を支える会社が揃っている状態をつくりたいんです。

弊社に仕事をお願いしていただければ、資金面から物流面・人材面、さらにはExitまで、企業さんの成長に必要なサービスを提供できる。最終的には、そういう状態にしたいと思っています。

課題は認知とお問い合わせを増やすこと

このビジョンを達成するための課題は、何よりもお客さまに弊社を知っていただくこと、そしてお問い合わせを頂くことだと考えています。

自分たちが提供するサービスの品質には自信があるので、あとはお客さまに来ていただいて、結果を出していくだけかなと思っていますね。

学生へ伝えたい2つのメッセージ

常識を疑い、型にはまらないでほしい

学生の皆さんは、可能性を無限に持っている人たちだと思います。これから何でもできますし、やろうと思えば、絶対に不可能なことはないと思いますね。

だからこそ、1つ目に伝えたいのは「常識を疑ってほしい」ということです。型にはまってほしくありません。あらゆることに疑問を持って、それをクリアするために行動を起こす。そういう癖を今のうちに付けてもらいたいですね。

自分が「これは世の中の仕組みとしておかしい」と思うことや、「世の中にこれが足りていない」と感じるものに、ぜひアンテナを張ってください。

経験に投資することがいちばんの価値になる

もう1つは、とにかく経験に投資してほしいと思います。よく「しっかり貯金しなさい」と言われると思いますが、私は貯金して置いておくだけでは、お金の価値は変わらないと考えているんですね。

一方で、若いうちに経験に使ったお金には、とんでもない価値があると思っています。学生の皆さんには時間がありますし、感性も柔軟です。しかも、今経験したことは、死ぬまで経験値として貯まっていくでしょう。

少し強い言い方かもしれませんが、今の段階では、貯金するよりも経験にお金を使うことの方がはるかに価値があるはずです。ぜひ、今だからこそできるような、多くの経験に投資してほしいですね。

編集後記

今回お話を伺って印象的だったのは、地元・高知で感じた地方の衰退への危機感をきっかけに、ECを通じて企業の「稼ぐ力」を支える事業へとつなげていることです。自分が描いたビジョンを実現するために、権限と責任を持てる起業という道を選んだというお話も、とても印象に残っています。

そして学生への「常識を疑ってほしい」「経験に投資してほしい」というメッセージは、まさに私たちにも、これからの行動を考えるきっかけになる言葉でした。私自身も周りのことに疑問を持ち、さまざまな経験を積んでいきたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。

また、株式会社PIC様では、ECサイトの運営に役立つ情報を発信する専門メディアも運営されているそうです。出店・集客・広告・売上改善など、EC事業者が抱える幅広い課題について解説されています。ECサイトの運営に興味のある人は、ぜひチェックしてみてください。

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