母が創り上げた「明るい教習所」というブランド
コピーライターだった母
弊社を創業したのは、私の母です。1989年の設立以来、多くの方に支えられながら歩みを続けてまいりました。もともとコピーライターとして賞をいただくなどしていた母が、ブランディングの世界に深く関わるようになったきっかけは、今でもメインクライアントである教習所との仕事でした。
車の車体から制服のデザインに至るまで、すべてのCI(コーポレート・アイデンティティ)を形にし、ブランドを創り上げたのが当時の母でした。
暗いイメージを明るく変える
昔の教習所というと、暗くて怖い教官がいて、おしゃれとはほど遠い会社が多い業界でした。そこを明るくて楽しくておしゃれな場所にしようというコンセプトで、母はずっとブランディングを作り上げていきました。教習所があまりやらないようなイベントを企画したりと、元気な教習所というイメージを作り続けた結果が、今につながっているのだと思います。
代表取締役になるまで
取締役としての年月
私自身がアイムに関わり始めたのは早く、取締役に就任したのもかなり前になります。ですが、実際に経営の舵取りをメインで担うようになったのは、ここ2年ほどのことです。それまで他の会社で経営をした経験はなく、経営そのものを担うのは今が初めてになります。
代表就任と、次なるステージへの挑戦
先代から経営のバトンを引き継ぎ、代表に就任した際、弊社は大きな転換期を迎えていました。当時のアイムは、メインクライアントである教習所への売上依存度が90%以上という状態でした。そこで私は、これまでの信頼関係を大切にしつつも、新たな施策として「外部チャネルの開拓」を掲げました。弊社の強みである「キャッチコピー(言葉の力)」を前面に打ち出し、東京ビッグサイト等の展示会へ毎年出展。少しずつですが、大手企業様をはじめとする新たなクリエイティブパートナーとの繋がりが広がっています。
弊社の強みと成長戦略
企画からブランディングまで一貫
弊社の強みは、これまで培ってきたポスターや看板、チラシといった総合的な制作力に加えて、Web制作や動画制作までを一貫して手がけられることです。企画やコンセプト、ブランディングをお客様と一緒に作り上げたり、すでにあるものをさらにブラッシュアップしたりすることもできます。単に広告を作るだけでなく、お客様が今抱えている課題を一緒に解決していく、いわば伴走支援ができることが、弊社の特徴だと思っています。
業界でも評価をされるキャッチコピー
2026年交通広告グランプリでは優秀賞を受賞し、弊社のクリエイティブ力は今なお評価いただいていると感じています。
人が生み出すキャッチコピーとグラフィックを大切にし、企業や商品が持つ魅力を引き出しながら、よりクオリティの高いブランディングへと発展させられることが、弊社の強みです。
M&Aと成長戦略
昨年はM&Aも実施し、さらなる成長戦略を今まさに進めているところです。この2年間の動きを振り返ると、自分でも驚くくらい変化があったと感じています。
経営者として直面した課題
予算とご要望のバランス
代表になってから苦労してきたことは、たくさんあります。中でも大きいのは、クライアント様のご要望にどこまで応えられるかという、予算とのバランス調整です。新しい分野でのブランディング強化を進め、さらに成長していくためには、やはり人材が必要だと強く感じています。
人材確保という壁
優秀な人材は、どの会社も欲しいと思っているものだと思います。今までのやり方を活かしつつ、プラスアルファでどういう戦略で成長していくかを考えたとき、それを実行できる人材が、今の弊社に十分にいるわけではありません。業界を熟知したプロフェッショナルな人材に、もっと弊社に関わってもらい、良いサービスを提供していく。この成長戦略と人材獲得、そして事業拡大が、今まさに弊社の課題になっていると感じています。
これからのビジョン
AIとどう付き合うか
今後のビジョンとして、まず課題に挙げているのは、AIとどう付き合っていくかということです。動画も含めて、AIでできてしまう時代にどんどんなっていくのは間違いありません。それでも人が作るものにこだわり、そこを追求していくことができれば、人材の確保も含めて成長していけるのではないかと考えています。大枠でいうと、AIとうまく付き合いながら、人が作るものにこだわっていくというのが、弊社のビジョンです。
外の風を取り入れる
いろいろな分野の仕事が生まれ、プロフェッショナルな会社が増えている中で、弊社がその波にきちんと乗れているかというと、まだまだ足りないところがたくさんあります。だからこそ、外部の風をもっと取り入れていきたいですし、学生の皆さんも含めて、挑戦したいという人がいれば積極的にチャレンジしてもらいたいと思っています。弊社を利用して挑戦してもらうということも、大いに歓迎したいです。動画でもポスターでも、普通の広告であれば、他のデザイン会社さんでも作れると思います。しかし弊社は、少しでも面白く、少しでも人の目にとまる、他とは違う広告づくりにこだわり続けています。これからも、クライアントやクリエイターとともに、新しい表現を追求しながら成長していきたいと考えています。
学生の皆さんへ
若さという可能性
私の記憶に残っている話があります。小学生くらいの頃、見知らぬ年配男性に「君たちが日本の将来を支えていくんだよ」と言われたことがあり、当時は何を言っているのかまったくわかりませんでした。ですが、自分がその年齢に近づき、会社を経営してみると、若い人はこれから活躍できる期間がまだまだ長いことに気づかされます。自分たちの活躍できる期間はだんだん短くなっていくと感じる中で、若い人にはものすごい可能性があると思うようになりました。あの頃、意味がわからなかった年配男性の言葉も、あながち間違っていなかったのだと、最近とくに実感しています。
その一方で、AIがどんどん進化していく中で、仕事自体がなくなっていくのではないかという不安も正直あります。需要と供給のバランスが崩れ始めていて、AIの進化の速さに警鐘を鳴らすニュースも増えてきました。それでも、優秀な人材はいつの時代も必要とされると思っています。もちろん優秀さだけに限らず、人材そのものが大切だと思うので、まずは将来に貢献できる人になってもらいたいという思いがあります。
チャレンジしなかった後悔
最近見聞きした話で、人生の最後に後悔することは何かと聞くと、チャレンジしてこなかったことを挙げる人が多いそうです。平凡に生きてしまったとか、もっと無茶をしておけばよかったとか、そういう後悔をする人が多いという話でした。だからこそ、チャレンジできるうちに、いろいろなことに挑戦して、失敗することがあってもいいと思っています。人生の最後に「いい人生だった」と思えるように生きてもらいたい、というのが、優秀な学生の皆さんに伝えたいことです。
学生時代に戻れたら
もし学生時代に戻れるとしたら、という質問については、少し複雑な気持ちがあります。小さい頃は、芸能人になりたい、有名になりたいという思いもありました。知り合いにミュージシャンがいて、彼らのマネージャーをしていた時期もあり、若くして有名になる華やかな世界を間近で見てきました。ただ、今の時代は、何かあるとすぐに誹謗中傷を受けてしまうような世の中になっています。有名になりたかったという思いがある一方で、こういう時代であれば、有名にならなくてよかったのかもしれないとも思うようになりました。そもそも、有名になれたかは分かりませんが(笑)
学歴についても、もっと頑張ればよかったと思うことはあります。その一方で、学歴にこだわらなかった分、違う経験ができたということでもあるので、一概には言えません。強いていえば、自分が経験してこなかった道を歩んでみたいという気持ちくらいで、大きな後悔というほどのものはないのかもしれません。
編集後記
今回のお話はとても考えさせられるものでした。長井さんが語ってくださった「AIとうまく付き合いながら、人が作るものにこだわる」という姿勢は、これから社会に出る私たちにとっても、大切な視点だと感じます。チャレンジしなかった後悔をしないでほしいという言葉を、私自身も胸に留めておきたいと思いました。貴重なお話をありがとうございました。
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