独立という選択
CyberAgentのグループ会社で社長を経験
もともとサイバーエージェントに新卒で入社して、そこでグループ会社の社長を3、4社経験させてもらいました。当時から複数のサービスの立ち上げや運営に携わっていて、その中でできたサービスが今の事業のもとになっています。1つの会社だけでなく複数の組織を任せてもらったことで、経営という仕事の解像度がかなり上がったように思います。サイバーエージェントのグループ内にとどまるより、いろいろな企業と一緒にやったほうが展開の幅が広がるという判断を、当時の役員会メンバーと行いました。ひとつのグループの中だけで完結させるより、外部のパートナーと組んだほうがサービスをより多くの人に届けられると考えて、グループから独立することになりました。社長として複数の組織を見てきた経験があったからこそ、独立という選択にも迷いはありませんでした。振り返ると、この時の判断が今の事業のかたちを大きく決めたなと感じています。
ファンダムインフラサービスとして展開
mellow-fanという基盤
弊社のサービスは、ファンダムのインフラサービスです。私たちでプラットフォーム「mellow-fan(メローファン)」を運営しながら、そのプラットフォームを活用してくれているタレントさんやクリエイターさんと一緒に、イベント展開やグッズ展開、海外展開などを行っています。オフラインとオンラインの両方を展開しているので、ユーザーにタッチポイントを幅広く展開が可能です。プラットフォームの運営だけで終わらせず、そこで生まれたつながりをリアルなイベントやグッズという形に落とし込むところまで一貫してできるのが特徴です。ファンとタレントさん、クリエイターさんの距離が近いところで熱量が生まれる瞬間を、できるだけ多くつくっていきたいと思っています。オンライン上のコミュニティで生まれた盛り上がりを、そのままで終わらせずにオフラインのイベントやグッズという形に変えていく、その一連の流れをすべて自分たちで設計できるところが、私たちらしいやり方だと思っています。
めざす未来
関東から全国へ、そして海外へ
ファンダムを活性化することで、応援する人とされる人の双方にエネルギーが生まれると思っています。エンターテインメントを通して、日常のライフスタイルに小さな喜びから大きな喜びまで届けられれば、日本のエンタメ業界はもっと盛り上がるはずです。オフラインでは全国展開しながら、オンラインでは常に海外も視野に入れて、関東から全国へ、全国から海外へと少しずつ広げていきたいと思っています。1つの都市や1つの国だけで盛り上がりを終わらせず、いろいろな場所でファンとタレントさんがつながる場をつくっていくのが、これから力を入れたいところです。国内で培ったオフラインのノウハウとオンラインの仕組みを組み合わせながら、海外のファンにも同じような熱量を届けられる形をつくっていきたいと考えています。今すぐに海外展開のすべてが整っているわけではありませんが、段階を踏みながら着実に広げていくつもりです。
いま向き合う課題
組織の規模を広げたい
ユーザーさんやクリエイターさん、タレントさんから「こんなことをやりたい」というニーズがとても大きいんですよね。それを実現するチーム体制、つまり人数を含めてもっと大きくしないといけないと考えていて、組織の規模を広げることが今の課題のひとつです。現在は90名ほどの体制ですが、これを1.5倍から2倍くらいには広げていきたいと思っています。採用の手法は新卒採用も中途採用も、どちらも行っています。ニーズに応えられるだけの体制を整えていくことは、今の会社にとって一番の伸びしろだと感じています。
採用の発信力を高めたい
組織を大きくしていくうえでは、自分たちの魅力をどう見せるかという発信の部分にも、まだまだ工夫の余地があると感じています。事業の面白さや働く環境の良さは実感してもらえていると思うので、それをどう外に伝えていくかは、これからも力を入れて取り組んでいきたいところです。ファンダムという少し珍しい領域だからこそ、興味を持ってもらうきっかけづくりから丁寧にやっていく必要があると感じています。知ってもらえれば魅力を感じてもらえる自信はあるので、まずはその入り口を増やしていきたいと思っています。
学生時代に打ち込んだこと
愛媛での野球少年時代
出身は愛媛県松山市です。学生時代はもともと野球をずっとしていて、部活動に打ち込んでいました。「ずっと」と振り返るくらいなので、それだけ長い時間をグラウンドで過ごしていたのだと思います。チームで1つの目標に向かって取り組んだ経験は、今振り返ると、複数の組織を経営してきた今の仕事につながる部分もあるのかもしれません。
大学で出会ったダンス
大学時代はダンスにのめり込んで、クラブのショーケースで踊ったり、タレントさんやアイドル、アーティストさんのバックダンサーをしたりと、こちらも結構力を入れて取り組んでいましたね。野球という団体競技からダンスという表現の世界へ移ったのは、自分でも大きな変化だったなと思っています。ずっと同じ場所にとどまらず、興味を持ったことにはとにかく飛び込んでみる、という今につながる姿勢は、この頃から少しずつできていたのかもしれません。
挑戦をためらわない
全く違う領域へのトライは、プライベートも含めてどんどんやってみるといいきっかけになると思っています。野球からダンスへの転向もそうですが、何かを始めることへのためらいは、大小関わらずどんどん取っ払っていく経験を、学生のうちにしたほうがよいのではないかと思います。今の会社を経営するようになってからも、この考え方はずっと大事にしています。新しい事業やサービスを始めるときも、結局は「まずやってみる」というところから始まっているように思います。
自社の強み
プラットフォームとコンテンツプロデュースの両輪
私たちでサービスを開発・運営するプラットフォームと、コンテンツをプロデュースして作っていく部分、この両方を持っている会社は意外と多くありません。どちらか一方というところが多いのですが、私たちは両方を持っているので、自分たちで作ったコンテンツを自分たちのプラットフォームに乗せることで、展開の幅が広くなります。プラスして、オンラインだけでなくオフラインの運営もできることも強みとして評価いただくことが多いです。このダブルスタンダードのような考え方は、これからも大事にしていきたいと思っています。プラットフォームを持っているからこそ、ユーザーさんの反応をすぐにコンテンツづくりへ反映できるところも、私たちらしいやり方だと思っています。外部のプラットフォームに頼らず、自分たちで一連の流れをコントロールできることが、結果としてスピード感にもつながっていると感じています。
編集後記
野球からダンス、そしてサイバーエージェントでの社長経験を経て独立というキャリアの振れ幅に、まず驚かされました。兵頭さんが繰り返し口にしていた「挑戦へのハードルを取っ払う」という姿勢は、まさにご自身の学生時代から一貫しているのだと感じます。プラットフォームとコンテンツを両方持つという強みも、ファンとクリエイター双方の熱量を大切にする姿勢から生まれているのだと感じました。「mellow-fan」がこれからどう全国、そして海外へ広がっていくのか楽しみです。