インタビュー

地方をステージとして、地域と人をつなぐ挑戦を続ける理由

地方をステージとして、地域と人をつなぐ挑戦を続ける理由
PROFILE
株式会社MARUKU 代表取締役
小山 光由樹

学生時代

サッカー一筋の少年時代

小学校からずっとサッカーをやっていました。高校は進学校を選びましたが、それもサッカーができる環境を探した結果です。大学でもサッカーを続けていて、勉強しろと言われた記憶はほとんどありません。自分の中で考えながらやってきた感覚が強いですね。

ゼミで知ったベンチャーの世界

大学は経済学部に進み、ベンチャー起業論のゼミに入ることになりました。ベンチャーとは何かもわからないまま飛び込んだんですけど、研究をされている教授のもとで学ぶうちに、これはおもしろいなと感じるようになって。ここで意識的に興味を持ったのが、今につながるスタートだったと思います。

ファーストキャリアと海外挑戦

広告代理店からのスタート

最初は総合広告代理店に入りました。制作系の仕事を3年ほど経験して、その後インターネット広告代理店に移り、GoogleやYahoo!といった主要なプラットフォームと広告を扱う仕事をしていました。広告業界を選んだ理由は、大学時代に好きだったペンション経営にさかのぼります。ペンションのチェーン経営をしているところが国内に少なくて、自分でやるとしたら広告費が大きなコストになると気づいたんです。だったら自分で広告を回せるようになろうと思ったのが最初のきっかけでした。

単身、カナダへ

インターネット広告代理店で働いたあと、海外に行くことを決めました。行き先はカナダで、ビザはワーキングホリデーです。自分のことも言語も知らない場所で、自分にどれだけのポテンシャルがあるのか試せる機会は今しかないと思い、即決しました。最初は英語も話せない状態でしたが、滞在するうちに日常会話くらいはできるようになりましたね。

カナダでの生活で得られたものは、大きく2つあります。1つは、日本以外の国に住むのが初めてで、いろいろな国の人と話す中でカルチャーショックを受けたことです。多様性というか、そういう考え方もあるのかと理解の幅が広がったのはいい経験でした。もう1つは、挑戦の連続だったからこそ根付いたチャレンジ精神です。周りが状況を変えてくれるわけではないので、自分から動かないと何も変わらないと実感しました。

海外から客観的に見ると、日本人は個性的だと感じます。歴史のある国で鎖国文化もあったので、情報のキャッチアップや外に出ていくことに積極的ではない印象がありました。海外の方は自分の意見をはっきり主張しますし、喜怒哀楽もストレートに出してきます。日本には出さない美学もありますが、考えを伝えることが必要だという印象を強く持ちました。

帰国後はSNSマーケティングの会社に入り、その後独立して、今の会社で3社目になります。

現在の事業

ソリューションとプロダクトの2軸

事業部は2つあります。1つはソリューション事業部で、企業や自治体向けのウェブサイト制作、アプリ開発、デジタルマーケティング支援を受託しています。もう1つがプロダクト事業部で、自社サービスを4つ展開しています。

LINEで完結する地域体験

自社サービスは、LINEで参加できる「mawaru Digital Stamprally(マワル・デジタルスタンプラリー)」、地域で使える「mawaru Digital Guidebook(マワル・デジタルガイドブック)」、地域体験を深める「mawaru QUEST(マワル・クエスト)」、関係人口プラットフォームの「TADAIMA QUEST(タダイマ・クエスト)」の4つです。

Digital Guidebookは、デジタルクーポンブックのようなものです。こちらは熊本県の「旅するくまモンパスポート」として展開していて、今は27万人ほどのユーザーに使っていただいています。mawaru QUESTは体験や予約の機能を持ち、AIがユーザーに合った体験を自動でレコメンドする仕組みです。TADAIMA QUESTは、来年4月から開始される総務省の「ふるさと住民登録制度」に先立って、地域と人の関係をつくる土壌として立ち上げたプロダクトです。

カスタマイズができますし、ほかのアプリケーションとのデータ連携もできます。LINEに特化してここまでやっている企業は多くありませんし、今は全国300地域を超えて導入が進んでいます。

創業期を振り返って

熊本で「宇宙人」と呼ばれて

創業期が一番大変でした。熊本につながりがあったわけではないので、オフィス探しから始めました。今の本社があるオフィスも、もともとは床がなく屋根も落ちていた空き家で、それをお借りしてリノベーションしたものです。

熊本出身でないうえ、IT畑にいた人間が地方に来ると、みんな身構えるというか、よそ者に対する警戒感がどうしてもあります。最初は「宇宙人」というあだ名をつけられました。ITは横文字が多いですし、このテンションで話していたので、何を言っているかわからないと思われていたんでしょうね。そこから話をして、お互いの理解を深めて信頼関係をつくっていく作業には、本当に時間がかかりました。今ではアドバイザーもさせていただいていますが、宇宙人からここまでくるのは簡単な道のりではなかったです。

これからの展望

1700自治体の20%へ

今はプロダクトに力を入れたいと考えています。全国には1,741の自治体があり、そのうちの20%、およそ400地域への導入を1つの目標にしています。導入が広がれば、プロダクトに込めた思いがより多くの地域や人に伝わっていくはずです。

弊社のミッションは「人と地域の輝きを感動体験で磨き上げる」というものです。それぞれの地域には固有のよさや資源があります。それを磨き続けられる会社であり、プロダクトを出し続けていきたいと思っています。そのために、プロダクト導入後も伴走できるカスタマーサクセス型のポジションの採用にも力を入れています。

学生へのメッセージ

選択肢を増やす生き方

人生の選択肢を増やすということを、常に考えて生きていくといいと思います。私自身もそうやってきました。大手企業に行けばいい、この会社に行けばいいという声もいまだにありますが、それはそれでいいんです。ただ、自分がやりたいことや気になることをいつもキャッチアップしておいて、それを早い段階で実現できる環境がどこにあるのかを考えてみてほしいです。

それはどこかへの就職かもしれませんし、起業という選択肢かもしれません。ほかの道もあるはずです。選択肢を持ちながら挑戦を重ねていけば、実現したい人生に近づいていくと思います。

編集後記

今回、株式会社MARUKUの小山さんにお話を伺いました。サッカー一筋だった学生時代から、単身カナダへ渡った経験、そして熊本で「宇宙人」と呼ばれながら地域との信頼関係を築いてきた歩みまで、1つひとつの選択に一貫した挑戦の姿勢を感じました。地域の課題に正面から向き合いながらも、着実にプロダクトの導入を広げている姿は、これから社会に出る学生にとっても大きな学びになるはずです。人生の選択肢を増やすという言葉を胸に、私自身も日々の挑戦を積み重ねていきたいと思います。