建設に関わることは、なんでも引き受ける
「困りごと」をまるごと解決する
弊社は解体で出たごみを処分場まで運ぶ仕事から始まり、今では大手ゼネコンさんと似たような立ち位置で、お客さまの依頼を一気通貫で引き受けています。最近は、設備工事の現場のついでにドアホンや防犯カメラを取り付けてほしいと頼まれることも増えていて、困ったことがあれば弊社でできる範囲で解決してあげたい、という考えでやっています。
eスポーツ会社の経営でつまずいた
大学2年生で会社を立ち上げた
代表として着任したのは2019年3月です。それまでにはいろいろな経緯がありました。もともとは前代表と私の父が共同で会社を経営していたのですが、前代表が別に経営していた会社の業績が厳しくなり、「それなら自分たちだけでやっていこう」という話になって、袂を分かつことになりました。
ちょうどそのころ、私は大学2年生で株式会社PACkageという、ゲームやeスポーツ、アニメのイベントを手がける会社を立ち上げていました。しかし、経営はかなり難しくて、うまくいかないことが重なっていました。
父が会長、私が代表に
父に相談していたら、「経営から学び直せ」と言われましたね。父が会長という名義になり、私が代表としてその下で経営を学ばせてもらう、という流れで今の立場になりました。振り返るとなかなか面白い経緯だったなと思います。
予算のない現場にこそ向き合ってきた
「町の何でも屋」としての苦労
苦労してきたポイントは大きく2つあります。1つは、なんでもやると言うからには本当になんでも頼まれる、ということです。草刈りのようなものから、防犯カメラの設置やネットワーク監視まで、業者に頼めば多額の費用が発生し、場合によってはかなりのコスト負担になることもあります。ですが弊社のお客さまは最初からそこまでの予算を出せない方がほとんどで、大手企業のようにセキュリティー会社さんへ頼める余裕がないケースも多いんですよね。だからこそ、カメラを仕入れてきて、お客さまのスマートフォンで設定するところまで対応する、というオーダーメイドに近いやり方でお応えしてきました。これはこれで、かなり大変だったなと思います。
職人不足という、業界全体の壁
父の引退が見えてきている
もう1つの苦労は、建設業界に共通する人の問題です。父もそれなりの年齢になり、そろそろ引退を意識する時期に差しかかっています。となると頼りになるのは職人さんなのですが、その職人さんがどんどん減ってきています。弊社でできなくなった分を他社にお願いしようとしても、どの会社も同じように職人さんが減っていて、人手不足というよりも「任せられる人がいない」という状況に近いんです。
若手が定着しにくい
若い方にぜひ来てほしいのですが、建設業は敬遠されがちな業界でもあります。確かに日中は体を動かす仕事ですし、以前、デスクワーク中心だった友人を誘った際も、体への負担が理由で定着には至りませんでした。ただ、始まりと終わりの時間が決まっているため、スケジュールは非常に立てやすい仕事です。私自身は運動部にいたこともあり、慣れてしまえば無理なく続けられると感じています。だからこそ、まずはこの業界の魅力や働きやすさを正しく伝えて、応募してくれる方の母数を増やしていくことが、今いちばん挑戦したい課題ですね。
採用の壁を超えるために
SNSでの発信はこれからの課題
採用については、ハローワークや人材紹介会社を主に利用しています。ところが、他の建設会社がTikTokで現場の様子を発信しているのを見ると、弊社もあのような取り組みをやりたいと思いながら、なかなか手が回っていないのが実情です。個人宅の案件が多い一方、下請けとして大手ゼネコンさんの現場に入る際はセキュリティの制約も大きく、SNSでの発信自体が難しい側面もあります。
地域のお困りごとを、まるごと解決する会社に
地元ネットワークで実現したい
職人さんが減っている中でも、弊社は町の工務店としての歴史を積み重ねてきました。ガレージに屋根をつけたい、外壁をきれいにしたい、リフォームしたい、という個人のお客さまから、繁忙期に人手が足りない法人のお客さままで、困りごとをまるごと解決できる会社にしていきたいと考えています。それは弊社だけの力ではなく、地元のネットワークを生かして、地域社会全体で実現していきたいことでもあります。
学生へのメッセージ
運動部出身なら、案外向いている
建設業界はしんどいというイメージを持たれがちですが、運動部の経験がある方であれば、案外簡単に感じられると思います。だからこそ、食わず嫌いにならず、もう一度挑戦してみてもいいのではないかと感じています。私自身、父から会社を学び直せと言われて20代で飛び込みましたが、実際にやってみるとそこまでしんどくはありませんでした。むしろもう一つの会社でパソコンに向かって夜遅くまで作業していたころのほうが、体力的にはきつかったと感じるくらいです。
仕事は仕事として割り切りたい方や、ものづくりが好きな方には、ぜひ挑戦してみてほしい業界です。弊社としても、そうした思いを持った方に来てもらえたらとてもうれしいですし、まずは建設業界そのものに目を向けてもらえたらと思います。
編集後記
今回のインタビューでは、ゲームやeスポーツの会社を立ち上げた経験を経て、家業である建設会社の3代目に着任するという、山口さんならではの歩みが印象的でした。予算が限られたお客さまにも真摯に向き合ってきた姿勢や、地域とともに困りごとを解決していきたいという思いから、地に足のついた経営者像が伝わってきました。職人不足という業界共通の課題に向き合いながらも、前向きに次の一手を模索し続ける姿に、学ぶところが多いインタビューでした。