部活一色の高校生がFPと出会うまで
部活しかしていなかった高校時代
高校時代は部活が盛んな学校にいて、本当に部活しかやっていない生活を送っていました。吹奏楽部だったんですけど、そこから音楽で進路を考えるというか、その先の職業として選ぶのは難しいなと感じていたんですよね。
じゃあどうしようかと考えたときに、私は商業科にいたので、簿記などの商業系の勉強は高校時代からやっていました。その科目が割と得意で好きだったので、そっちの道で何かないかなと調べ始めたのがきっかけです。
商業科で出会ったFPの仕事
調べていくなかで、たまたま知ったのがファイナンシャルプランナーという仕事でした。お金に関する幅広い知識を持って、課題解決をしていく仕事なんだと知って、これは面白そうだなと思って目指すことにしたんです。高校3年生のときですね。
それでFPになるための勉強をしようと、日本大学の商学部に進学しました。大学に入った目的がはっきり「FPになるため」だったので、少し特殊なタイプだったかもしれません。
目的意識なしに過ごせなかった
高校時代は部活しかやっていなかったので、大学に入ってからはサークルに参加したり、アルバイトをしたりと、いわゆる普通の学生生活も送ってはみたんです。ただ、半年くらいで飽きてしまいました。
目的意識なく過ごすことが、どうにもできなくなっていたんですよね。そこで一度立ち返って、「FPになるためにちゃんとやろう」と考えてサークルを1年間休み、資格取得の勉強に専念するようになりました。
「FPになるなら起業するしかない」と気づいた大学時代
FPの求人がほとんどない
卒業後にFPになるため求人を調べていくと、新卒はもちろん、中途ですらFP事務所の求人がほとんどないことがわかったんです。ファイナンシャルプランナーとして募集が出ていても、基本的には保険を中心に営業の仕事ばかりでした。
FPは幅広い分野を学習するのですが、保険会社に行けば保険の分野しか活かせないし、証券会社に行けば金融の分野しか活かせない。広く学んだうちの一部しか活かせない就職先ばかりだったんですよね。
総合的に解決するのがFPの本分
保険会社や証券会社、銀行に勤めたとしても、結局FPらしいことはできないし、できたとしても一部の分野に限られてしまう。学生時代に調べていて、そのことがわかりました。
私は、幅広い知識を持って総合的に課題を解決していくことこそが、FPの本分だと認識していたんです。じゃあ職業の本分をちゃんと活かすんだったら、日本では起業するしかないなと。そう思ったのが大学2年生のことでした。
学生時代から起業準備を開始
起業すると決めてからは、FPの勉強だけでなく経営の勉強も同時並行で進めて、学生時代から起業準備を始めました。いろいろな社会人の方にお会いしたりもしましたね。
単位を取り終えてからは、ベンチャー企業で働いたりもしながら、とにかくFPになるため、FPとして独立するために時間を使った学生生活でした。
FPが活躍できる場をつくる
芸能事務所のようなFP会社
今の会社は2回目の起業で、1社目はFPサテライトというファイナンシャルプランナーの会社を経営していました。そこでは、保険や証券といった金融商品を販売しないビジネスモデルにしていたんです。
FPは個人事業主や一人社長が多いんですけど、そうではなく、芸能事務所のような形の組織をつくって、所属FPとして活動してもらっていました。FPが実務を担い、私は経営や営業交渉など、実務以外の細々としたことを担ってきたんです。
FP特化の事業企画会社
FP業界はプレイヤーがほとんどで、FPのマネジメントをする人はあまりいないんですよね。そこを担ってきたことが、まず私自身の強みだと思っています。
今の会社はFP事業そのものは自社で抱えず、FPがもっと活動できるための事業を生み出したり、イベントを企画したりしています。FPと異業種がコラボして、新しい価値を生み出せるようにするのが弊社のコンセプトです。
リクルートさんのような事業企画会社の、FPに特化したバージョンというイメージですね。このコンセプトでやっているのは弊社だけだと思います。
事業承継で感じた難しさ
今は2回目の起業で、まだまだ創業期です。この1年はゼロからすべてをつくり出してきて、2回目でもやっぱり大変だなと感じています。
前職では、会社が成長するにつれて、どんどんフェーズが変わっていきました。売上が立つようになると、次はもっと売上を上げなきゃいけないのに人材が足りない、という板挟みの時期もありましたね。
最終的には、若い人に事業承継することになりましたが、創業の思いをどこまで引き継いでもらえるのかというのは、今も現在進行形で難しさを感じるところです。
唯一無二のコンセプトを形に
事業を理解されにくいのが課題
唯一無二のコンセプトでやっているからこそ、事業への理解を得るのがなかなか難しいんですよね。いまだにFP会社だと思われて、個人の方からご相談をいただくこともあります。
今までにないコンセプトをどう理解してもらうかは、今後の課題です。事業を形にするのには時間がかかるので、まずは今あるいくつかの事業を、しっかり回していきたいですね。それで形ができてくれば、こういう会社なんだという理解も、徐々に広がっていくのかなと思います。
人をつなぐことにも、やりがいを感じる
前職の頃から、異業種の方や保険業界など、FPの周りの業界の方に会う機会がありました。いろいろなコミュニティに顔を出していると、顔見知りがどんどん増えていくんです。
そうすると、「この人とあの人を一緒にしたら面白いだろうな」と思うことも増えてきて。実際にマッチングした方たちが一緒に仕事をするようになることも、ここ数年で少しずつ出てきました。
私がいなければ知り合わなかった人たちが、いい仕事や価値を生み出していく。みんなが幸せになれることなので、動いてよかったなと思う瞬間ですね。
専門学校で地方創生論も担当
学生さんに関わるところでいうと、弊社では代々木にある専門学校東京ビジネス・アカデミーで講師の仕事も受けています。担当しているのは地方創生論という、新しくつくられた科目です。
この学校は、技術を教えるだけでなく、起業や自分でビジネスを生み出す力、ビジネス社会で生きる力をつけることを目指しているんですね。意欲のある学生さんには、弊社の本社がある北海道帯広に来てもらい、十勝のさまざまな会社を見たり、土地を肌で感じたりするフィールドワークのような話も出ています。
地方でのビジネスやフィールドワークに興味がある方は、ご連絡いただければ一緒に何かできるかもしれません。
学生へのメッセージ
打ち込めることに打ち込もう
私が学生時代の話をすると、「学生時代なんて何も考えてなかったよ」と驚かれることがよくあります。ただ、私はたまたま運よく打ち込めることが見つかったから、今ここにいるだけです。それがまったく実らない未来もあったと思うんです。
だからこそ、何か打ち込めることがあれば、先につながるかどうかに関係なく、打ち込んだらいいと思います。とはいえ、絶対に打ち込めるものがないといけないとか、何かに向かって頑張らなきゃいけないわけでもないんですよね。
楽しいと思うことに向かう
やりたいことが決まっていない人は、今の時点で「楽しいな」「興味があるな」と思うことに向かっていったらいいんじゃないかなと思います。私も高校時代は音楽しかしていなかったですし、FPがたまたまヒットしただけなんです。
FPはできることが幅広いので、いろいろな道があるだろうという打算も若干ありましたけど、それは結果論ですね。なんとなく楽しいと思うことを大事にしながら、いろいろ調べてみる、少し勉強してみる、といったアクションを起こしてみてほしいです。
決めた道に縛られなくていい
実は私、今はFPとしてはあまり活動していないんです。業界を見ているうちに、就職先がないという理由で、FPを諦める人を結構見てきました。興味を持ってくれた人が業界に入らず去っていくのは、ものすごい損失だと思ったんですよね。
私一人がFPとしてやっていても、そういう人たちを救えるわけではない。そう気づいて、FPが活躍できる組織をつくり、私自身は経営や裏方に回るようになりました。学生の皆さんも、何かを目指した結果、こっちの方が合っているなと道を変えるのも一つの選択だと思いますね。
今を全力で生きてほしい
私は目標を持っていないと、ちょっと生きられない人間になってしまっていますが、それが正解というわけではありません。
何が何でも決めなきゃいけないとか、決めたからにはそこに進まなきゃいけないとか、そういう焦りや縛りを持たずに、楽しくやれたらいいんじゃないかなと思います。学生さんには、今を全力で生きてほしいですね。遊ぶなら全力で遊ぼう、でいいと思いますよ。
編集後記
「FPの本分を活かすなら起業するしかない」という決断を、学生時代に下していた町田さんのお話に、終始圧倒されました。それでも印象に残ったのは、「目指した道と違う方向に進んでもいい」という柔らかいメッセージです。
FPを目指しながら、FPが活躍できる場をつくる側に回ったという選択は、目標に一直線に進むことだけが正解ではないと教えてくれました。私自身も学生生活の中で、「決めなきゃ」という焦りを感じることがあります。今を全力で生きるという言葉を胸に、まずは目の前の興味に対して、素直に向き合っていきたいと思います。