インタビュー

意思決定が未来を拓く──Neautech代表 水本明宏が語る、キャリアと変革の原点

株式会社Neautech 代表取締役社長 水本明宏
PROFILE
株式会社Neautech 代表取締役社長
水本 明宏

自律的なキャリアを歩む決意

大学附属の高校から進学した環境で、かつての私は大きな挑戦を避けて過ごしていました。しかし大学時代、ある転機を経て自分の性格や思考、行動は劇的に変化しました。「人生で何を成し遂げたいか」「後悔しない生き方とは何か」を真剣に考えるようになったのです。

その答えは、ビジネスの力で社会にインパクトを創出することでした。自分の意志を事業という形で社会に貢献したい――その覚悟が決まったとき、私は大手企業からの内定を辞退し、周囲の予想に反してベンチャー企業への就職を選びました。

意思決定の数が成長をつくる

入社したのは営業力の強い人材系ベンチャーでした。私は社会人1年目から事業開発に携わる機会を得て、2年目からは、副社長直下の事業でプロダクト責任者を務めることになりました。その時に副社長から言われて、今でも印象に残っている言葉があります。それは「人の成長はどれだけ意思決定を重ねたかによる」ということです。

大きな組織では意思決定の場を得るまでに時間がかかりますが、ベンチャーであれば若いうちから事業の責任を担い、その回数を圧倒的に増やすことができます。失敗を恐れず、僅差の判断を迫られる場面で数多くの意思決定を積み重ねること。それが何よりの成長につながると確信しています。

オンライン診療との出会いから創業へ

2020年、コロナ禍をきっかけにオンライン診療が解禁されたタイミングから、本格的にこの領域での仕事をスタートさせました。

当時、同じチームで行っていた美容クリニックの事業を通じて感じたのは「距離や時間や金額が壁となり、価値を届けきれない人が多い」という課題でした。オンライン診療を通じて、より多くの人に治療の価値を届けたい。その一心で2022年2月にNeautechを起業しました。

強みは、治療を完遂させる「継続支援」

現在、自由診療領域における多くのビジネスモデルは「薬へのアクセス向上」に留まっています。しかし、私たちが目指すのは単なるオンライン診療の普及ではありません。「治療・ヘルスケア体験の変革」をミッションに掲げ、従来の「対面診療・投薬・通院」という固定化された構造をデジタルでアップデートすることを本質的な目的としています。

他社と決定的に異なるのは「治療の継続支援」です。単にお薬を届けるだけではなく、患者様が治療を完遂するまで、デジタル技術を用いて伴走し続けます。根治までサポートする体験そのものを構築すること。これこそが、Neautechが提供する最大の価値です。

代表に就くまでの経緯

創業当初、私は代表ではなく取締役として事業を牽引していました。その後、経営体制の見直しを経て代表を引き継いだのは、資金調達という経営上の重要局面でした。スタートアップにおける「人」と「金」の課題は避けて通れないものですが、私には事業価値に対する確信が揺るぎませんでした。キャッシュフローの正常化に注力し、経営基盤を確立することが、私の最初の重大な責務でした。

医療ヘルスケア体験をもっと広く

私たちは今、皮膚領域からスタートしていますが、この知見は他の疾患領域や保険診療にも応用可能です。日常生活を壊すことなく、治療を完遂できる医療体験を社会実装したい。

ただし、この壮大な挑戦は私たち単独では難しいと考えています。例えばパナソニック様からの出資は、大手企業がオンライン診療ベンチャーと連携するケースとしては非常に稀な事例です。これは私たちのビジョンの大きさや、本気で目指している未来に対する共感の現れだと捉えています。こうした信頼関係を基盤に、今後も多様な企業と連携し、ヘルスケア体験の変革を加速させていくつもりです。

志を高く、正しいことをする

私たちの会社の行動指針にも掲げている「Do The Right Things(正しいことをする)」と「Aspirations High(志を高く持つ)」は、単なるスローガンではなく、私の人生哲学でもあります。

志を低く見積もると、目先の些末な事象に追われ、本質的な課題解決に時間を使えなくなります。高い志を持つことで、常に大局的な視座から「今、何をすべきか」を問い続けることができます。この危機感が、組織を成長させ、より大きなビジョンの実現へと繋がっていくのです。社会にどのようなインパクトを残し、いかにしてより良い社会を創り上げるか。常に高い志を持ち続け、その実現に貢献することこそが、Neautechの存在意義です。

学生へのメッセージ:自分の人生を自分で生きる

就職活動中の学生へ伝えたいのは、「他人の人生」ではなく「自分の人生」を生きてほしいということです。自律的なキャリア観を持つ学生は増えていると思いますが、一方で「なんとなく良さそうな企業」を選ぼうとしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

自分の人生の主導権を自分が持ち、自分にとっての幸せを定義すること。その意思決定と行動を一つひとつ積み重ねること。その姿勢こそが、未来をより良い方向へと切り拓く唯一の道だと信じています。

編集後記

「意思決定の数が成長をつくる」という言葉が、就職活動を控える身として強く印象に残りました。治療・ヘルスケア体験を本気で変えようとする姿勢と、「自分の人生を生きてほしい」というメッセージは、キャリアの岐路に立つ多くの若者の背中を押すはずです。私自身も、目の前の選択を「なんとなく」で終わらせず、自分の意思決定として引き受けていきたいと思います。