インタビュー

エッセンシャルワーカーこそがこれからの時代の主役。建設業のイメージを塗り替え、100億企業へ

PROFILE
東京住宅サービス株式会社 代表取締役
石引 賢一

IT業界から家業の建設業へ

意外な一歩から始まったキャリア

私のキャリアのスタートはIT業界だったんです。学生時代にワークスアプリケーションという会社でインターンをしたのがきっかけで。「IT業界って面白いな」と感じて、新卒でベイカレント・コンサルティングに入社しました。そこで3年ほどSEのような仕事をして、いろんなプロジェクトを経験させてもらいましたね。

転機が訪れたのは、父から「そろそろ戻ってこないか」と声をかけられたときです。正直、父が何の仕事をしているのか詳しくは知らなくて(笑)

でも、このチャンスを逃したら二度とないだろうなと思って、建設業界に飛び込む決断をしたんです。

アナログ文化への戸惑いと「当たり前」の徹底

IT業界から建設業界に来て、最初はギャップだらけでした。FAXがガンガン現役だったりして。でも、私は専門家ではないので、まずは「一般企業として当たり前のこと」から整えていこうと決めました。

整理整頓や挨拶、メールの返信といった基本を徹底すること。現場の人たちが忙しくて手が回らない部分を、一個ずつ潰していった感じです。現場の人が困惑しないように、周りが気づかないくらいのスピードで、でも3年後に振り返ったら「めちゃくちゃ変わったよね」と思ってもらえるような変化を意識してきました。

 

現場のやりがいと「接客業」としての建設業

直接届く「ありがとう」の重み

弊社のメイン事業はUR都市機構様の団地などの改修工事です。退去後の現状復旧や外壁の修繕など、人が住んでいる場所での仕事が中心ですね。

ITのときはエンドユーザーとの距離が遠かったんですが、今は違います。不具合で困っているお客さんのところへ駆けつけて修理する。ボロボロだった部屋を新築の様に綺麗にして引き渡す。成果が目に見えて分かり、お客さんの喜ぶ顔がダイレクトに見えるのは、この仕事の大きな魅力です。

建設業っぽくない「物腰の柔らかさ」が強み

よく建設業っていうと「荒くれ者の職人さん」みたいなイメージを持たれがちですが、弊社はちょっと違うんです。居住者の方と接する機会が多いので、実は接客業的な要素がすごく強い。

だから採用でも、技術はもちろんですが「人柄」や「コミュニケーション能力」を重視しています。社内でも「凡事徹底」を伝えていて。当たり前のことを当たり前にできれば、仕事の偏差値は60までいくと思っているんです。下手に差別化を意識するよりも、当たり前のことを徹底して、弱点がない組織の方が結果的に強いと思います。

 

組織の成長とこれからの展望

4倍の成長を支えた「チーム作り」

私が入社した当時は売上10億程度でしたが、今は40億近くまで成長しました。父からは「自分のチームを作りなさい」と言われていて。先代を立てつつも、自分と一緒に未来を作ってくれる仲間を少しずつ増やしてきました。

最近は自社開発の基幹システムを導入したり、資格取得支援に力を入れたりしています。合格祝賀会でちょっといい焼肉を食べに行ったり、社用車をキャンプや引越しに自由に使っていいルールにしたり(笑)。社員が安定して家庭を持てるような環境を作るのが、社長としての私の役目だと思っています。

100億宣言と「エッセンシャルワーカー」の誇り

次は売上100億を目指すと公言しています。でも、数字そのものより、いい仕事をして、社員がしっかり稼げて、そのサイクルが大きくなっていくことが本質だと思っています。

これからはAIがさらに発展して、ホワイトカラーの仕事は選別されていくでしょう。一方で、絶対に人がやらなきゃいけない「エッセンシャルワーカー」である私たちの仕事の価値は、どんどん上がっていくはずです。若い子たちには、エッセンシャルワーカーが主役になる時代の面白さを知ってほしいですね。

 

編集後記

今回、石引社長のお話を伺って、建設業のイメージがガラリと変わりました。特に「建設業は接客業である」という視点は、ビジネス未経験の僕にとって大きな発見でした。どんなにデジタル化が進んでも、最後は人と人との信頼や、目に見える場所を綺麗にするという「手触り感のある価値」が残るのだと感じます。

また、20代のうちに自律的にスキルを磨くことの大切さも身に染みました。今は「優しく守られる時代」だからこそ、自分を律して学ぶ習慣を身につけておかないと、将来「はしごを外される」という言葉には危機感を覚えました。僕も今のうちに、何事にも「凡事徹底」の精神で取り組んでいこうと思います。