インタビュー

手紙を書くような気持ちで、日本中の企業に光を届けたい——「ショート動画屋さん」八重樫 光が地方に挑む理由

PROFILE
株式会社美手紙 代表取締役
八重樫 光

https://www.tiktok.com/@short_movie_store

コロナ禍の就活と、早すぎる独立

就活とコロナが直撃した

大学3年の終わり、2月ごろから説明会がバーっと始まる時期に、コロナが来たんです。これどうなるんだろうって、不安の方がものすごく強い時期でしたね。就活にモロかぶりで、予定していた選考がぜんぶ止まってしまって。とりあえず1社だけ決まっていたところがあったので、もうそこに行くしかないかなという感じで、深く考えずに就職しました。

リモートで経験が積めなかった

入社してからも、コロナでリモートワーク中心だったんです。現場の経験がぜんぜん積めないなと思って。それだったら貴重な20代、自分のやりたいことをやりたいと考えるようになって、1年で退職して独立しました。

学生のころから、関西の FM802 というラジオ局のインターンでウェブメディアの運営をやっていたんです。学生を取材したりとか、データを見ながら記事を考えたりという経験があって。正社員になってからも、そういうことをやってみたいという気持ちはずっとありましたね。

コスメ通販から「ショート動画屋さん」へ

最初の事業はコスメ通販

独立してから、最初はショート動画とは全然関係なくてコスメの通販をやっていたんです。OEM、自分のブランド名で工場から仕入れるやり方があるんですけど、それで工場を取り付けて。お金を払ったら商品は届いたんですが、売り方が全然わからなくて(笑)。

結局うまくいかなくて、フリーランスとしてインスタの運用やホームページ制作など、いろいろやらせてもらうようになりました。頑張って月20〜30万円ほど稼げるようにはなって。

「ショート動画で集客したらすごい」

ある程度結果が出てきたころ、一緒に仕事していた社長さんたちとご飯に行けるような関係が作れるようになってきたんです。その中の方が「ショート動画で集客したらすごいお客さんが来てる」とおっしゃっていて。

それで自分のコスメ通販でも試してみようと TikTok に広告を出してみたら、数字がめちゃくちゃよかったんです。ただ動画の編集は外注していたんですが、自分の満足いくクオリティが全然返ってこなくて。これからの時代、いい動画を作るための会社を作った方がいいんじゃないかと考えて「ショート動画屋さん」をはじめた、という流れですね。

「ショート動画屋さん」が選ばれる3つの理由

サービス名の強さと若さの発想力

強みは3つあると思っていて。まず名前ですね、「ショート動画屋さん」というのがものすごくわかりやすい。事業を始めてすぐに商標も取れたので、相見積もりになった時でも「ショート動画屋さんだしここに頼むか」と決めていただける方もいらっしゃいます。

2つ目は、若い感覚から生まれる動画のクリエイティブですね。ショート動画をやる会社が増えてきましたけど、出だしのころはそんなにいなかったので、若さならではの発想で実績を作れたのが大きかったかなと思っています。

フランチャイズで日本中にリーチ

3つ目が、今一番力を入れているフランチャイズです。自分たちだけでは取れないお客さんがめちゃくちゃいて。私が営業に行くと「この若造が」みたいになることもありますし、私は大阪出身でテンポ感がかなり速かったりと、合わない場合もあるんです。地方のフランチャイズオーナーの方が販売する形の方がうまくいくケースがたくさんあって。今は西日本を中心に全国15支店以上に広がっています。

集客の肝は「一言目」

動画を作る時、集客が目的であれば一言目で刺しに行くことを意識しています。たとえば「1本2万円台からつくるショート動画」と言ったら、通常は月額30万円かかるのに、という驚きで問い合わせを決めてもらえるんです。フランチャイズ募集の動画なら「ショート動画屋さんフランチャイズ募集」の一言で、固定費を軽くショート動画ビジネスを始められるやり方があると伝えられる。その一言を動画の構成に盛り込むことを、すごく大切にしています。

「死ぬほどいいサービス」を届けたい

お客さんの個性を引き出す

お客さんに対して、死ぬほどいいサービスを届けたいという気持ちが根本にあります。動画を作るだけじゃなくて、その会社さんにしかないものが絶対にあるはずで、それを引き出しながらサービスを届けていきたい。それが担当の方の出世につながるとか、将来の起業につながるとか、そういうことに役立てていけたらという気持ちもあります。

フランチャイズオーナーの独立も支援

フランチャイズオーナーさんへの支援にも力を入れています。独立したいけど、どんな事業をやればいいかわからないという方に、事業ごと提供して、さらに税理士さんと提携して融資の支援もしています。起業したら資金のところがめちゃくちゃ困るというのはよくある話で、そこを解決しながらショート動画のビジネスも始められる環境を用意してあげることで、本当に喜んでいただけています。これからもアップデートし続けていきたいですね。

会社名「美手紙」に込めた想い

祖母からの手紙が原点

会社名の「美手紙(びてがみ)」はコスメの通販をやっていたころの名残で。最初はフェイスパックを封筒に入れて、手紙のように届けるというコンセプトで「美手紙」という名前にしたんです。

手紙にこだわった理由は、祖母からの誕生日の手紙がきっかけです。これまでもらったプレゼントの中で、上位に入るほど嬉しかった。ペン代くらいしかかかっていないのに、これだけ与えられるってすごいなと思って。だから自分も、一人ひとりに手紙を書くような気持ちで、みなさんを幸せにしていけるように、人生を美しくしていけるようにという気持ちを込めて、この名前のままでいこうと決めています。

地方の企業を底上げするブランドへ

フランチャイズ100支店を目指す

今はフランチャイズ100支店を目指しているところで、現在は15支店を突破した段階です。1年ちょっとでここまで来られましたが、自分の中ではぜんぜん満足していなくて。この1年で培ったことをもとに、より再現性のあるパッケージにしてもっと喜んでもらえるようにしていきたい。

地方企業の底力を引き出したい

その先に見ているのは、人手不足での倒産やマーケティングがうまくいかない倒産が地方で起きている現状への対応です。各地方にショート動画で助けられるオーナーさんが出ていって、集客や採用をお手伝いして企業の力を底上げしていけるようなブランドになりたいと思っています。地方には本当に面白い企業がたくさんある。そこがもっといい展開をできるように、貢献できたらなと思っています。

学生へのメッセージ

やりたいことがわからないというのは、本当に難しい問題だと思います。SNS に落ちている情報は偏りがあったりするので、視野を広く持つことが大事かなと。大学の中だけにずっといたら、私も今のキャリアにはなっていなかったと思いますし、外に出ることはすごく大切だと感じています。

おすすめは、いろんな企業のインターンにバーっと行ってみること。アルバイトじゃなくてインターンで働いてみる。お金をもらいながら未来を知れる機会がたくさんあるので。焦らずに、でも危機感を持ちながら行動し続けていれば、自分のやりたいことが固まってきて、いい選択肢に出会えると思います。

 

編集後記

「一人ひとりに手紙を書くような気持ちで」という言葉が、取材を通じてずっと頭の中に残っています。コスメ通販でうまくいかなかった経験も、フリーランスとして駆け抜けた日々も、全部が今の「ショート動画屋さん」というサービスに繋がっていて、その軌跡に一本の芯があると感じました。インターン先で「データを見ながら考える」経験を積んでいたこと、祖母からの手紙が忘れられなかったこと——そういった点と点が、地方企業を底上げするというビジョンに結びついているのが印象的でした。やりたいことが見つからないと悩む学生に「インターンでお金をもらいながら未来を知ろう」とアドバイスしてくださった八重樫さんの言葉は、自分自身にとっても刺さるものがありました。まずは外に出て、動いてみることから始めようと思います。