インタビュー

「元気になってほしい」から生まれた、ちょっと贅沢な七味 ― グッドスパイス株式会社 代表取締役・赤崎 美奈子

「元気になってほしい」から生まれた、ちょっと贅沢な七味 ― グッドスパイス株式会社 代表取締役・赤崎 美奈子
PROFILE
グッドスパイス株式会社 代表取締役
赤崎美奈子

クリエイティブの世界から、七味唐辛子の会社へ

元気になってほしいという原点

私はもともとは長らく、広告業界でデザイナー、アートディレクター、クリエイティブディレクターをしてきました。この10年ほどは、ITマーケティングの事業会社とクリエイティブエージェンシーでクリエイティブディレクター・アートディレクターを務めてきました。

仕事をしながらずっと思ってきたのは、世界中で紛争や震災、自然災害が起こるたびに、「世界中の人に元気になってほしい」という願いでした。失われた30年のあいだに働いて きた中で、私自身が好きな辛いものを食べると元気になって、また頑張れるという繰り返しでした。皆様にも少しでも楽しいことや元気になれるきっかけが増えてほしい、そんな思いで私の人生を長らく支えてきてくれた七味唐辛子をご提供できないかと思いました。

七味のためだけの会社

仕事は辛いことも大変なこともありますが、そのなかで楽しさや活気を届けたいという思いから、7me【shichi-me】シチミーという商品を作ろうと決めました。食品は口に入るものなので、中途半端な気持ちでは世の中に送り出せません。そのミッションが自分のなかでとても強く、「人の心を豊かにするモノ・コトを創造し、クリエイティブ力で豊かな社会づくりに貢献する。」を理念に、7me【shichi-me】シチミーのためだけに会社を作りました。会社設立は2年前、商品発売は約1年半前のことです。

「グッドスパイス株式会社」は、「七味株式会社」と言ってもいいくらい、七味だけに特化した会社です。もちろん今後は商品ラインナップを増やしていきたい気持ちもありますが、まずは、7me【shichi-me】シチミーの1商品でみなさまに元気になってほしいという思いで立ち上げました。商品のキャッチフレーズは、” Live lively! ”『いきいきと!』です。

 

パッケージにかけた思い

ワクワクから生まれたデザイン

商品を作るとき、パッケージデザインの力はとても大切だと思っています。よくある「受けやすいパターン」のデザインもありますが、私はそうではなく、見た人がワクワクするような、湧き出るアイデアのなかから生まれたデザインが一番よいと考えました。発想が湧き上がる勢いをそのまま形にしたような、ほかに類似しないデザインを目指した結果、少し変わったパッケージになりました。

安心安全への挑戦

食品を扱う以上、安心安全には力を入れなければなりません。自分の専門外のことも学びましたし、EC で売るだけなら必要のない資格も、あえて取得しに行きました。出店に必要な知識も、知人や食品業界、IT業界で培ったネットワークを通じて学んできました。おかげで、いまはほぼ少人数で会社を回せる体制ができています。

ひとりで回す会社

IT の力でマルチタスクに

ビジュアルやEC、パッケージ、SNSなどは、ほとんど社長である私ひとりで担当しています。配送などは一緒に行ってくださる協力会社様がいてくれていますが、企画、営業、クリエイティブ、マーケティングなど基本的にはワンオペです。人間はマルチタスクに向かないとよくいわれますが、ITを活用することで、一人でもさまざまな業務を効率よく進められるようになりました。そうした仕組みを取り入れながら、日々グッドスパイスを運営しています。アナログなイメージを持たれがちなスパイスの分野ですが、弊社は常にトレンドを取り入れ、情報を収集・発信することを心がけています。クリエイティブに関してはこだわって、いまだに、地道に手作りしています。

世界から見られるホームページ

7me【shichi-me】シチミーのホームページは、世界中からアクセスがあります。SNS はいまリアルタイムで翻訳されますし、弊社のECサイトは世界中の方々に、想像以上に遠い場所からも見てもらえています。

現代の生活に寄り添う七味

和風にとどまらない表現

パッケージやメインビジュアル、EC サイト、SNS の表現では、ワクワクする面白さや楽しさと、食品としての真面目さを両立させたいと思っています。長く食品、ファッション、ビューティー、音楽関係の仕事など様々なクリエイティブに関わらせて頂き、博物館学芸員の資格も含め、その経験もいきているのではないかと考えています。

古くからの調味料である七味唐辛子は、いまの生活にすっかりなじんでいる一方で、和風で昔ながらのイメージが強い分野でもあります。そこで私は、現代の日本人の生活感をそのまま表現してもよいのではないかと思いました。畳に座るというより、ソファや椅子で過ごすことが多い現代の暮らしに合わせて、ビジュアルも作っています。

ちょっと贅沢なご褒美調味料

日本らしさを大切にし、日本人のそのままの生活感を映す。そんな日常の国産100%原材料が今は贅沢になっています。だからこそ、「ご褒美調味料」にしたいと思って作りました。

こだわり抜いた中身

3つの柑橘と国産へのこだわり

七味唐辛子には山椒や海苔を使うものも多いですが、世界中の人に柑橘の爽やかな味や香りは受け入れられるのではないかと考え、柑橘を三種類使うことにしました。高知県の柚子、和歌山県のじゃばら、広島県のレモンです。そこに唐辛子、白ごま、黒ごま、生姜を合わせて独自にブレンドしています。最近はフルーティーな七味ともいわれますが、発売以前はあまりなかった組み合わせだと思います。

外の缶も含めてすべて国産100%にまとめることにもこだわりました。商品を作ってゆく中で、日本製だけで作る難しさを改めて実感しましたが、国産100%にこだわりました。これは商品の特徴の大切なひとつになっています。

料理が苦手だからこそ

正直なところ、私は料理が得意ではなく、家族からもよくいわれます。会社を立ち上げてからはさらに忙しくなり、料理をする時間もなかなか取れていません。それでも7me【shichi-me】シチミーをかけると何でもおいしくなるなと、個人的にはいつも感じています。時短の味変にも役立ててほしくて、横浜にある焼き鳥の名店「地葉」の代表・地葉将人氏に商品を評価していただき、名古屋の「CHIBA PLUS+」でも味変用として採用いただいています。

広がる七味の輪

「楽しんでほしい」から生まれた「七味の椅子」

まだ商品は7me【shichi-me】シチミー1商品しか開発できていませんが、みなさんに楽しんでもらいたいという思いから、セレクト商品として、缶を置くためのミニチュアの椅子も販売しています。メインビジュアルでは椅子に7me【shichi-me】シチミーを座らせて登場させていたのですが、誰も買わないかもしれないと思って椅子をECで販売をしたところ、焼き鳥の名店、「地葉」の代表・地葉将人氏が名古屋の「CHIBA PLUS+」のすべてのテーブルに置いてくださっていたり、今では、高速道路の海ほたるパーキングエリアでも椅子を堅調に販売頂いています。

セレクトショップのような商品展開

椅子のように7me【shichi-me】シチミーに合うグッズをセレクトショップのように選んで展開しています。缶にマグネットをくっつけるという、当たり前のようで誰もやっていなかった発想も、7me【shichi-me】シチミーがSNSなどでよく使う絵文字の、ハート柄を想起してもらい、楽しんでもらえたらと思ってセレクトしました。夏はサングラス型のマグネットも販売しています。

名前を消して届ける

主役はお客様

7me【shichi-me】シチミーに関しては、主役はお客様と7me【shichi-me】シチミーなので、自分自身はできるだけ前に出ない様にしています。実際のクリエイティブディレクター・アートディレクターでの活動は別の名義で行っていて、7me【shichi-me】シチミー界隈では、あまり目立たないように心がけています。

アートの領域へ

ビジュアルの方向性が固まってからは、和風にこだわらなくていいと考えるようになりました。自分の予想を超えて、表現そのものがどんどんアートの領域に近づいていると感じています。広告表現というより、自由度のある、みんながワクワクする現代アートのような表現になってきたと、自分では感じています。

社会貢献という原動力

これまでの仕事から

私の原動力は、自分が生み出したもので誰かを元気にできることです。これまで社会貢献に直結するような仕事も携わらせて頂いてきました。誰かがそれを見て元気になる姿を見るのは、何にも代えがたい喜びです。

世界中の人に食べて元気になってほしいというのが、私の願いです。将来的には、世界中の食卓に、気づけば7me【shichi-me】シチミーが当たり前に並んで笑顔を産んでいる、ということができたら、嬉しいなと思っています。

若い世代へのメッセージ

勝ち組・負け組ではない生き方

成長する過程では、いろいろなことが起こります。思ったように勉強できる人もいれば、そうでない人もいます。お金を稼ぐことだけが人生の目的ではなく、それ以上に人のためになることのほうが、自分にとってはうれしいことだと感じています。お金だけがすべてではないという考え方で、時間の自由がほしいという考え方もあり、いろいろな生き方があってよいと思っています。

美術大学を出ていることで、進学校からすると少し違う見られ方をすることもありました。それでも、いろいろな生き方をしている人が世の中には普通にいます。「勝ち組」「負け組」といった枠組みで人を判断する必要はないと考えています。私は子育てをして、人は生まれて、育ってくれているということだけでも奇跡で、有難いことだと痛感しています。人生はそれだけで、奇跡です。就職活動で思ったところに入れなくても、人生を豊かにできるチャンスはいくらでもあると思います。副業を推奨する会社も増えているいま、自分にできることをもうひとつ探してみるのもよいのではないでしょうか。「好きこそものの上手なれ」です。

冷蔵庫を開けたら七味

社会人になると大変なことも多いと思いますが、そんなときは、毎日7me【shichi-me】シチミーをふりかけてほしいと思っています。冷蔵庫を開けたときに7me【shichi-me】シチミーが目に入ると、開けたときにちょっと明るく見えるんです。ぜひそんな使い方をしてもらえたら嬉しいです。

編集後記

赤崎さんのお話を伺って、一つの商品にここまで思いを込められることに驚きました。パッケージのデザインから中身の柑橘の選び方、国産へのこだわりまで、すべてが「元気になってほしい」という願いにつながっていることが伝わってきました。会社を大きくすること以上に、目の前の人に楽しさを届けることを大切にする姿勢は、これから社会に出る私たちにとっても、生き方のヒントになると感じます。