二度目の挑戦から始まった、ANEWの歩み
中学生の頃から抱いていた独立への思い
独立したいと思い始めたのは、中学生の頃です。当時から具体的にやりたい事業があったわけではなく、「サラリーマンはやりたくない」という、漠然とした独立心が出発点でした。
高校卒業後は、経営学科のある大学に進学しました。その後、社会人1年目のタイミングで、親友と一緒にルームシェアを始めたんです。私はアパレルの営業、彼はアパレルの専門学校出身で、デザイナーとして働いていました。
お互いに会社員を続けながら、副業として2人で事業を始めたのが最初の挑戦です。ただ、その事業は途中で頓挫してしまいました。
人との出会いが、もう一度挑戦するきっかけに
会社員は29歳ごろまで続けていました。当時は都内に住んでいたのですが、そこで知り合ったアパレル会社の社長さんに、「サラリーマンはもったいないから、自分でやって稼いだら」と声をかけていただいたんです。
その言葉が、もう一度独立に挑戦するきっかけになりました。自己資金に、その方からお借りしたお金を合わせて立ち上げたのが、現在の会社です。
一度目の挑戦はうまくいきませんでしたが、二度目の挑戦で今につながる事業を始めることができました。それから約10年、試行錯誤しながら会社を続けています。
買取業から、EC、そして韓国古着へ
女性向けのアパレル買取からスタート
最初に手がけたのは、女性向けのアパレル買取事業でした。ナイトワークに従事する方を含め、衣類を多く所有する女性を主なお客様とした買取専門店です。女性スタッフが接客を担当し、私は運営やバックオフィスを担っていました。
ただ、買取事業では仕入れにまとまった資金が必要で、買い取る商品の状態や再販価格によって収益が大きく変わります。そうした不確定要素の多さを感じる中で、自分たちで商品を企画し、販売する事業へと転換していきました。
中国の工場を開拓し、栃木に物流拠点をつくる
自分たちで商品を企画し、ネットで販売する。それが、現在にもつながる事業の原型です。
中国の工場を開拓し、現地とやり取りをしながら、オリジナル商品をつくる体制を2〜3年かけて整えていきました。
もともとは東京で事業を行っていましたが、家賃の負担を抑えるため、独立して2〜3年目に栃木に物流倉庫を設けました。現地でスタッフを採用し、商品の発送拠点として整備していったんです。
まだ着られる服に、韓国古着の可能性を見いだした
EC事業を6〜7年ほど続けた後、新たな可能性を感じたのが韓国の古着でした。
きっかけは、韓国で、まだ十分に着られる服が大量に捨てられている光景を目にしたことです。日本のファッショントレンドにも合う服があり、こうした服には日本でも需要があるのではないかと感じました。
その可能性を事業にしたのが、韓国古着専門店「GOODFLAT-KOREA-(グッドフラットコリア)」です。
2026年9月時点で、全国40都道府県で累計70回を超えるポップアップを開催してきました。ゴールデンウィークに渋谷で開催した際には、1週間で延べ約1万人の方にご来場いただきました。現在は、韓国古着事業とEC事業が当社の2本柱になっています。
事業を始めた当時、「韓国古着」は、まだ広く知られたカテゴリーではないと感じていました。だからこそ、韓国古着に特化したブランドとして発信し、商品を売るだけでなく、カテゴリーそのものを育てていく意識で取り組んできました。
今では、韓国古着を掲げる店舗も各地で見かけるようになり、市場が少しずつ広がっていると感じています。
また、紹介を中心に、栃木県内の企業からECやデジタル活用について相談をいただくこともあります。コンサルティングの営業を積極的に行っているわけではありませんが、自分たちの事業で蓄積してきた経験を、地域企業の課題解決にも生かしています。
栃木を拠点に、全国へ挑む
全国を見据えた組織をつくる
栃木を拠点にしていても、競い合う相手は全国の企業やブランドです。その中で事業を伸ばしていくには、全国を基準にしたスピード感や目標水準を、組織全体で共有することが大切だと考えています。
ただ、それを日々の仕事に落とし込んでいくことは簡単ではありません。採用や人材育成、組織づくりは、当社にとっても大きな課題です。
一方で、地域で新しいことに挑戦したい人や、都市部で得た経験を栃木で生かしたい人と出会えると、大きな可能性を感じます。そうした人たちが力を発揮できる環境を、私たちがつくっていきたいですね。
地方だからこそ、挑戦が地域に届きやすい
地方で事業をする強みは、企業や行政、メディア、地域の皆さんとの距離が近いことだと感じています。何のために挑戦しているのか、どのような成果が生まれたのかを伝えやすく、実際に新聞やテレビなどで取り上げていただく機会も増えてきました。
地域の中で信頼と実績を積み重ねながら、採用や育成にも継続して力を入れていく。その積み重ねが、栃木を拠点に全国へ広がる会社をつくることにつながると考えています。
全国で培ったノウハウを、地元へ還元する
2026年12月12日・13日には、宇都宮市のマロニエプラザ大展示場で、当社が主催する「GOOD CYCLE FES」を初めて開催する予定です。食品ロスや衣料廃棄の削減をテーマにしたイベントです。
会場では、食品の無料配布や特価販売、0円古着、古着販売、地産地消マルシェなどを予定しています。また、家庭などで余っている食品を持ち寄る「フードドライブ」も実施する予定です。
企業や団体、学生ボランティアなど、地域の皆さんにも協力を募り、2日間で1万人規模の来場を目指しています。
こうしたフェスを主催するのは初めてですが、全国のポップアップで培ってきた集客や運営のノウハウを、今度は地元・栃木に還元したいと考えています。
事業の力と地域の力を組み合わせ、食品ロスや衣料廃棄といった社会課題の解決につなげていく。それが、このイベントを開催する目的です。
学生や20代へ伝えたいこと
好きなことをやればいい。起業だけが正解ではない
学生の皆さんに伝えたいのは、まずは「好きなことをやればいい」ということです。ただし、それが必ずしも起業である必要はありません。
起業するのであれば、「自分は何をやりたいのか」という軸を持つことが大切だと思います。特に、人を雇う段階に入れば、自分だけの挑戦ではなくなりますから。
「会社が嫌だから」という理由だけで、起業を選ぶ必要もないと思います。会社員だからこそ得られる経験もありますし、起業だけが正解ではありません。
自分がどんなことに取り組みたいのか。そのためには、どんな働き方が合っているのか。そこから考えてみてほしいですね。
失敗から学び、次の挑戦につなげてほしい
お金を稼ぐことも大切ですが、それだけを基準に選択してしまうのは、少しもったいないと感じます。学生時代や20代には、その時期だからこそ経験できることがたくさんあります。
自分にとって何が大切なのかを考えながら、いろいろなことに挑戦してほしいですね。
もちろん、失敗そのものが目的ではありません。ただ、うまくいかなかった経験から学べることは大きいですし、その経験が次の挑戦を支えてくれることもあります。
周囲に大きな負担をかけず、取り返しのつく範囲で、何度でも挑戦してほしいと思います。
外の市場を知り、その経験を地域へ
地方で起業したい人にとって、東京などの大都市圏や全国規模の市場で経験を積み、そこで得た基準や人脈を地域に持ち帰ることは、有効な選択肢の一つだと思います。
地方から事業を始める場合も、大切なのは、地域の中だけで基準を完結させないことです。
外の市場や競争環境にも触れ、そこで得た学びを自分の事業に生かしていく。そうした視点を持つことが、地域で新しい可能性をつくることにもつながると考えています。
「おもろい会社」でありたい
「おもろい会社」をつくりたいんです。
個性のある人が集まり、新しいことに挑戦し、その成果にきちんと報いる。そんな会社でありたいと思っています。
面接に来た方から、「栃木では珍しい会社ですね」と言っていただくこともあります。そうした当社らしさを大切にしながら、これからも挑戦を続けていきたいです。
将来は、「栃木といえばANEW」と言ってもらえるような会社にしていきたいですね。
編集後記
今回、株式会社ANEWの谷中さんにお話をうかがいました。買取業からスタートし、自社製品のEC、そして韓国古着専門店「グッドフラットコリア」へとたどり着くまでの道のりには、何度も試行錯誤を重ねながら、事業を柔軟に変化させてきた歩みが感じられました。栃木という地方だからこその難しさと、そこにある伸びしろの両方を、実体験をもとに語ってくださったのが印象的でした。私自身、社長さんの話を聞きたくて経営者インタビューの世界に飛び込んだひとりとして、中でも「取り返しのつく範囲で、何度でも挑戦してほしい」という若い世代へのメッセージが強く残っています。