AIの会社として、何をやっているか
「出会えてよかった」をつくる
当社は「“出会えてよかった”をつくる。」を掲げています。私たちが生み出すサービスやプロダクトに、そう思っていただける価値を届けること。もちろんそれが第一ですが、それだけではありません。
一緒に働く人、チームについても同じです。会ってよかった、任せてよかったと思ってもらえる集団でありたい。そういう会社でなければならないと考えています。
「あのサービス、使ってよかった。」「あの人に頼んでよかった。」「アノテテに出会えてよかった。」そう感じてもらいたくて、AIをはじめとしたデジタルテクノロジーでものをつくっています。
4つの事業
当社はAIシステムの開発・提供を軸にした会社で、なかでも受託開発を得意としています。事業は、自社プロダクト、受託開発、コンサルティング、研修の4つです。
自社のSaaSは2つあります。1つはカスタマーサポート向けのAIチャットボット、もう1つは社内の資料を探せる検索システムです。コンサルティングでは企業さまへのAIエージェント導入をお手伝いし、研修では企業向けに使い方をお伝えしています。
ベトナムのAI開発企業との技術提携
AI事業への参入は、流行に合わせて始めたものではありません。ベトナムのAI開発企業と提携し、その技術基盤を持ったうえで乗り込みました。提携先は、現地のIT業界団体VINASAが選ぶ「ベトナムICT企業トップ10」のAI・IoT部門に2度選ばれている会社です。
ChatGPTがリリースされ、生成AIのトレンドが加速する少し前には、日本語に特化した独自の大規模言語モデル(LLM)を自社で開発してリリースしました。この経験が今も効いています。汎用のAIを外から借りて使っているだけでは、見えないことがあります。精度がどこで落ちるのか、日本語という言語のどこが扱いにくいのか。一度自分たちでつくってみると、そこが分かるようになります。
契約の前に、動くものを見せる
受託の現場では、当社自身がAIを使って開発しているので、スピードを大きく上げられています。
一般的な受託は、仕様書や提案書にまとめて発注をいただきます。ただ、この進め方は認識の食い違いが生まれやすい。お客さまからしても、どんなシステムができあがるのか見えにくいという課題があります。AIの場合はとくに、どのくらいの精度が出るのかを事前に数値で示しにくい事情もあります。
そこで当社では、契約の前にデモをつくり、それをもとにご提案しています。動くものと実際の精度を目で見て判断していただけるので、安心してご発注いただけます。
自社でプロダクトを運営しているので、サービス設計や価格の決め方など、開発以外の部分でもお役に立てます。AIエージェントの導入支援でも、ツールを入れて終わりにはしません。現場で実際に回している仕組みを、そのまま動く状態で納品しています。
後発だからこその差別化
自社SaaSのAIチャットボットは、2022年に提供を開始しました。早い企業では2015年ごろから展開しているので、この領域では後発です。
ただ、後発だからこそ、先を行くサービスをよく調べたうえで設計できました。本当に必要な機能だけに絞った、シンプルで使いやすいものになっています。何を足すかより、何を載せないかを決められたのが大きかったと思います。
価格も抑えられています。生成AIを使ったチャットボットには相場がありますが、広告費をあまりかけていないこともあり、およそ半額でご利用いただけます。導入時に負担になりがちな初期設定の代行も無償で行っているので、ご担当者さまの手間を大きく減らせます。
たこ焼き屋から、この会社まで
内定を辞退して、セブ島へ
もともと私は、この会社を創業したわけではありません。ここに至るまでは、少し変わった道を通っています。
大学在学中に内定をいただいていた就職先を辞退して、セブ島でたこ焼き屋を始めました。語学留学でしばらく住んでいた時期があり、そこで出会った方たちと「一緒にやろう」という話になったのがきっかけです。
屋台から始めて、やがて店舗を持ちました。面白かったのは、たこ焼きそのものよりその周りです。看板をつくったり、Facebookページを立ち上げたり。何かを用意して、知ってもらって、お客さんが実際に来る。この流れにいちばん手応えがありました。今の仕事に続く興味は、たぶんここで生まれています。
2年ほどで日本に戻り、ウェブ制作やデザイン、プログラムを学べる社会人向けのスクールに通いました。その卒業制作の発表会で、今の親会社の人事担当者と名刺を交換したことが、今いる場所への入口になっています。
新規事業を任され、分社化
親会社には営業職として入社しました。しばらくして、新規事業を立ち上げるということで、その責任者を任されます。
当初は事業部として進む予定でしたが、途中で分社化の話になり、そのまま代表を務めることになりました。親会社は2000年にWeb制作会社として創業し、そこから分かれる形で2022年に当社が生まれています。グループ全体では5社を展開しています。
AIの会社ならではの、難しさ
追い続けること、伝わるように話すこと
AIを軸にした事業の大変さは、まず情報のキャッチアップです。動きの速い領域で競合も多いので、どう違いを出すか、自社の色をどう出すかが常に課題になります。
お客さまの知識量もさまざまなので、説明のレベルを合わせるのも難しいところです。簡単に話すと詳しい方には物足りず、踏み込むと今度は難しくて入ってこない。ここは今も試行錯誤しています。
加えて、大手のIT企業が1つのサービスを丸ごと置き換えてしまう可能性もある。その危機感は常に持っています。
これから挑戦したいこと
つくって走る、から一段先へ
今後は、もっとうまく回る事業の形をつくりたいと考えています。これまではプロダクトを世に出し、走りながら整えてきた部分が多くありました。グループとしても、人が動いた分だけ売上が立つ文化が強くありました。
そこから一歩進んで、きちんと価値を出せるプロダクトを育て、それを広く届けるところまでを、次の挑戦の軸にしたいと思っています。AIの進化は速いので、当社ならではの研究開発も並行しています。世の中の汎用モデルと並存しながら、自分たちの技術でより便利に使えるサービスを届けていきたい。受託でのAIシステム開発も、引き続き力を入れる分野です。
足りないのは、人
これを実現するうえでの課題は、人です。プロダクト開発ができるメンバーは育ってきました。一方で、AIエージェントの導入支援や研究開発といった新しい取り組みは、動ける人がまだ限られています。経験のある方はもちろん、挑戦したい気持ちのある方が加わってくれれば、事業のスピードはもっと上がります。
新しい領域なので、任せられる範囲は広い。入って早い段階から、お客さまの前に立つことになります。そこを面白いと思える方には、いい環境だと思います。
採用で見ているところ
追い込まれたときに、その人が出る
採用で意識しているのは、直接そう聞くわけではありませんが「これまででいちばん追い込まれた経験は何ですか」ということです。
その時の話と、どう乗り越えたのかを伺うと、困難への向き合い方が見えてきます。仕事で追い込まれた場面に出るのは、たいてい同じ行動や態度だと考えているからです。
うまくいった話より、うまくいかなかった時にどうしたかを聞いています。
学生の皆さんへ
AIと比べられる時代に、何を磨くか
AIの領域にいる者として、日ごろ考えていることをお伝えします。
新入社員や若手の方は、社会に出た時点では経験がありません。そのため、どうしてもAIと比べられる場面が出てきます。知識が少なくても賢く動けるならAIで十分ではないか、という話にもなる。とくにエンジニアを目指す方には、大変な時代だと思います。
経験は入ってみないと身につかないので、そこは仕方ありません。だからこそ、これからは人間性や人柄が評価される場面が増えていくはずです。
仕事の速さや正確さで比べられる分、人にしか担えないコミュニケーションや、その人ならではの魅力を意識して磨いてほしい。そして、そこを見てくれる会社を選ぶ。ミスマッチも起きにくく、いいキャリアにつながると思います。時代は、私が学生だった頃とは違うフェーズに入っています。経験がないことを理由に立ち止まらなくていい。内定を辞退してたこ焼き屋を始めた人間なので、なおさらそう思います。
編集後記
たこ焼き屋からAI開発の最前線へというキャリアの振れ幅に驚きましたが、根底にあるのは「クリエイティブで人の課題を解決する面白さ」への一貫した興味なのだと感じました。契約前にデモをつくるという誠実な開発姿勢や、AI時代だからこそ人間味を磨くべきというメッセージが印象的でした。同じ学生として、経験のなさを言い訳にせず、まずは行動してみることの大切さを改めて学ばせていただきました。