高卒からパチンコ業界へ、そして経営の壁にぶつかった日々
大学もホテル業界も、全部落ちた
前提として、私は高卒です。現役の時に受けた大学は、すべて不合格でした。本当はホテル業界に就職したかったのですが、そちらも全部落ちてしまいました。なかなか思うような進路へ進めない日々でした。
パチンコ機メーカーへの入社
大学にも思うような会社にも入れなかった中で、学生時代のアルバイト先へ来てくださっていたお客さまがパチンコ機のメーカー店に勤めており、「うちの会社、募集してるよ」と声をかけてくれたんです。それがきっかけで、新卒でパチンコ業界に入社しました。パチンコをやったことがないまま、営業職として働き始めました。
経営を知らない自分に気づく
営業をしていると、お客さまであるパチンコ店のオーナーさんや店長さんから、経営の相談を受けるようになったんです。そのたびに、自分の勉強不足を感じました。ちょうど20代の頃、会社の本社で経営陣と話す機会があり、いろいろな提案をしたんです。そうしたら「元気はいいけど、何を言っているかわからない」と一蹴されてしまいました。
営業のことはわかっていても、経営のことはわかっていなかったのです。それに気づけたのが、大きな転機でした。
一度きりの人生をかけて
そこで中小企業診断士という国家資格に挑戦することにしました。勉強を進める過程で、経営コンサルティングという業界があることを知りました。お客さまの課題を解決して、その対価として報酬をいただける仕事に魅力を感じました。一度しかない人生ですから、思い切って独立しようと決めたのが、創業の経緯です。
創業後に訪れた、二つの大きな山場
民間の仕事がゼロだった創業初期
コンサルタントの仕事には、国から補助金が出て支援を行う公的な仕事と、企業さまが報酬を出してくださる民間の仕事があります。私は民間の仕事に就きたいと思い、公的機関からの仕事をあえて断ってスタートしました。ただ、始めてみると、まったく仕事がありませんでした。いわゆる「マスオさん生活」で、なんとか食いつないでいました。
その時にまさしく向き合ったのが、今の私の事業の中心にもなっているパーパス経営支援です。恥ずかしながら、経営理念もビジョンもないまま創業してしまっていたので、この時期に理念やビジョンとしっかり向き合って考えました。
コロナ禍で、もう一度理念と向き合う
もう一つの山場は、コロナ禍です。研修の仕事は0件になり、コンサルティングの仕事も半分以下になって、売上は前年対比で7割ほど落ち込みました。
その時、理念やビジョンはすでに決めていたのですが、もう一度、特に15年ほど先を見据えた長期のビジョンを考え直しました。当時住んでいたマンションのベランダで、朝5時から夜10時まで、毎日自分と向き合い続けました。そこから2年後の2023年ごろから、事業は大きく伸びていきました。この二つが、私にとってのターニングポイントになります。
経営コンサルティングと研修、二つの事業の強み
翻訳力・設計力・伴走力
事業は大きく二つあります。一つが経営コンサルティング、もう一つが研修事業です。
経営コンサルティングは、中小企業さまや中堅企業さまに対して、経営理念やビジョン、戦略を立てて実行まで伴走する仕事です。計画を立てたあとが、実はいちばん難しいです。経営者の方々の頭の中にある想いを言語化する「翻訳力」、それをビジョンから戦略へと落とし込む「設計力」、そして実現するまで並走する「伴走力」。この3つを使いながら、ビジョン達成までお手伝いするのが私の特徴だと思っています。
大企業にこそ必要な、外部からの視点
研修は、中小企業さまや中堅企業さまに加えて、売上高が何兆円という規模の大企業さまにもご提供しています。大企業は、いきなり大企業になったわけではなく、中小、中堅を経てここまで来ています。ですから、ビジョンや戦略はすでにあるという事になります。
ただ、長年事業をやっていると、自社の中に「こういうものだ」という思い込みが生まれてしまうものです。優秀な方が多いからこそ、外部の人間として、その常識を打ち破るようなマーケティングやイノベーションの視点をお伝えする。理念やビジョンがなかなか組織に浸透しきれていない部分を、研修という形で補っています。
コンサルティングと研修を両方手がけている人は、意外に少ないです。研修だけだと知識のインプートはできても、実務でどう使うかまでは伝えきれないことが多いのですが、私はコンサルティングの現場で日々実践しているので、実務での応用の仕方まで一緒に考えられることが強みだと思っています。
300人体制で挑む、これからのビジョン
書籍という形で、想いを届ける
今、大きく二つのことに取り組んでいます。一つは、自分の考え方をメソッドとして本にまとめることです。単著は今までなかったのですが、まもなく『志の磨き方』という本を出版する予定です。もともと偏差値40ほどで、受験も全部落ちてきた凡人でも、努力すれば事を成せるということを伝えたい本になっています。
あわせて、企業さまへの支援メソッドも、私の頭の中だけにとどめていては300人体制で展開できません。そこで『志の経営』という本も、あわせて出版する予定です。
ソフトウェアで、支援の輪を広げる
もう一つ、すでに動いているのが、上場企業さまと共同で開発したソフトウェアです。中堅企業さまの事業計画や戦略づくりを支援するためのソフトで、先日、さらにブラッシュアップした新しいバージョンが完成しました。私のやり方をソフト化することで、より多くの企業さまを支援できる仕組みをつくっています。現在、中小企業診断士を中心に「ビズクリサポーター」を30名ほど育成していて、その方々と一緒に企業支援を進めているところです。これが、2026年から2027年にかけて力を入れていることになります。
中小企業診断士300人と歩む未来
これまでは、どちらかというと私個人の力に頼るところが大きかったのですが、これからは中小企業診断士やMBAホルダー、士業の方など、志を共にする300人ほどの仲間と一緒に、企業さまのビジョン活用をサポートしていきたいと考えています。
今、お客さまの課題を解決しようとしても、自社だけではワンストップで提供しきれていない部分があります。ビジョンや戦略の実行支援はできても、たとえばホームページ制作は他社にお願いする、といった具合です。300人体制をつくることで、お客さまのビジョン達成を、より強固にサポートできるようにしたいと思っています。
学生の皆さんへ
自分の可能性に蓋をしない
10代から20代前半の学生の皆さんには、無限の可能性があると思っています。行きたかった大学に行けなかったり、周囲と比べて自分は優秀ではないと感じたり、いろいろな事情があると思います。逆に、いい大学やいい会社に入れて安心している方もいるかもしれません。ただ、大学や会社に入ることがゴールではなく、無限に自分のパーパスやなりたい姿に向かって高めていくことが大切だと思っています。
志や目標を持って、誰にも負けない努力をする。稲盛和夫さんの言葉ですが、自分の分野において誰にも負けない努力をすると、短期的には成果が出なくても、中長期的にはまったく違う景色が見えてくるはずです。私自身、先ほどお話ししたとおり偏差値40ほどで、中小企業診断士の試験でも、1,000人中997位を取ったことがあります。ただ、志を高く持って努力を続ければ、上位1%の世界にも十分に行けます。ぜひ、自分の可能性に蓋をせず、挑戦してほしいと思います。
壁は、レベルが上がった証
挑戦する過程では、必ず壁にぶつかります。レベルが上がると、今まで褒められていたことが褒められなくなったり、お客さまから感謝されていたことがそうではなくなったり、通っていた見積もりが通らなくなったりする時が来るものです。それは、自分のレベルが上がることで、お客さまからの要求も高くなっていくからです。
そうなった時に「自分には無理だ」と引き返すのではなく、「一段階ステージが上がったんだ」とプラスに捉えて、もう一度努力してほしいと思います。野球で言えば、県大会では5割打てても、全国大会に行くと2割しか打てなくなる、という感覚に近いかもしれません。何でも挑戦して乗り越えるのは難しいですが、自分がここで一番になりたいと思える分野であれば、それは成長に必要な通過点として、ぜひ乗り越えてほしいです。
編集後記
高卒、受験全落ち、営業職からの叩き上げ。そんな青木さんの経歴を伺いながら、学歴やスタートの形にとらわれすぎていたかもしれない自分に気づかされました。とくに「壁はレベルが上がった証」というお話は、就職活動を控える身として、とても励みになりました。誰にも負けない努力を、自分の志の分野で積み重ねていきたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。