インタビュー

吉本新喜劇の弟子入りから始まった、「個性」を大事にする広報のかたち

吉本新喜劇の弟子入りから始まった、「個性」を大事にする広報のかたち
PROFILE
株式会社ベートーベン 代表
西出実華

株式会社ベートーベンで代表を務める西出実華です。広報・PR戦略の立案からWeb制作、動画制作、イベント制作まで、企業の魅力を「誰に、何を、どう伝えるか」から一気通貫でお手伝いをする、広報代行の仕事をしています。

弟子入りから始まったキャリア

吉本新喜劇の脚本家に弟子入りした

もともと子どもの頃から、会社を起業したいという思いがありました。大学生のころ、ものづくりの世界に興味を持ち、吉本新喜劇の脚本家の方へ弟子入りをしました。就職活動をしていた同級生が「弟子を募集しているらしい」と教えていただき、とっさにメールを送ったのがきっかけでした。それから毎週末、大阪に通って仕事を手伝わせてもらう日々を送りました。

舞台からイベントプロデュースへ

大学を卒業したあとは、狂言などを手がける会社で舞台監督の助手として経験を積みました。その後、イベントプロデュース会社へ転職し、事業やイベントのプロデュース領域を着実に広げていきました。お客様の魅力を世の中へ伝えていくという仕事の面白さに気づいたのは、この頃でした。

2010年に自分の会社を設立

お客様の持っている状況や、その中での商品の位置づけを理解したうえで、動画がよいのか、Webがよいのか、イベントがよいのかを考えるところから始めないと、本質的な課題解決にはつながりません。そこに気づいてからは、子どものころからの思いを形にしようと、2010年に株式会社ベートーベンを立ち上げました。

各分野のプロが揃う、社内完結の強み

私はプロデューサーという役割

私自身はプロデューサーとして、企画立案から課題を抽出し、全体のプランを考えて見るという役割を担っています。

映像も、Webも、イベントも社内で完結する

会社に所属しているメンバーは、映像であれば映画監督、イベントであればイベントプロデューサーや舞台監督、Webであればデザイナーというように、各分野のプロフェッショナルたちです。お客さんの状況に応じてチーム編成を柔軟に変えながらプロジェクトを進められることが、強みのひとつだと感じております。

英語対応とAIによる計測改善ツール

海外のお客様もいらっしゃるので、スタッフが英語に対応できることも技術面での強みです。さらに直近ではAIにかなり力を入れており、広告運用受託の際に独自の計測改善ツールを開発、運用しています。始めたばかりですが、去年と同じ手法をと比べて、成果が10倍ほど上がっているケースもあり、広報×AIという領域はかなり強い分野になってきていると感じています。

行政案件中心から、民間への拡大へ

実績の8割は行政案件だった

行政の案件はかなり多かったです。うちには営業担当が在籍しておらず、入札案件にてプレゼンテーションから受託し、事業の年間広報を担うという形が中心でした。ただ、行政の案件はなかなか実績を表に出せないという事情もあります。

民間企業にもサービスを広げたい

行政向けの入札案件には独特の作法があります。分厚い仕様書を読み込む必要があるうえ、行政向けの企画提案書は民間向けとはまったく異なっており、採点表があるようなテスト形式に近いものです。その経験がある方はそう多くないので、声をかけていただく機会は多くありました。それはそれで安定はしていましたが、スタッフから「自分たちが手掛けた仕事を、しっかり表に出していきたい」という声をいただき、民間企業へもサービスを届けていく動きを、今年から強めているところです。

AIを使った発信にも取り組んでいる

これまでは自分たちの会社を外部へアピールすることは殆どありませんでした。今はホームページのSEO対策やAI対策など、AIを使ったさまざまなシステムづくりへも注力しています。

個性を大事にする会社でありたい

創業当時から「個性を大事にする」ということを、なんとなく大切にしてきました。AIの時代の到来により、より個性が大事にされると感じています。お客様の個性を大事にするという姿勢は、創業から変わらず最もこだわっている部分です。

学生へのメッセージ

好きなことをとことん追求してほしい

若いうちは、好きなことをとことん追求していくと、思いもよらない道が出てきたりします。私自身、就職活動をせずに、たまたま同級生から聞いた話をきっかけにメールを送ってみたことが、その後のキャリアを大きく変えていきました。戦略的にいろいろ考えて動いたというよりも、直感と好きという気持ちで動いた先に、面白い出会いがあったという感覚です。

AI時代こそ学生起業がおすすめ

大学のレポートでAIを禁止しているケースも多いと聞きますが、それはもったいないと感じています。若い方のほうが発想も加わるぶん、AIの使い方が面白くなるはずです。AIといろいろ相談しながら、学生のうちに起業したり、商売を始めたりすることも十分にできる時代だと思います。

ロジックと感性のバランスをとる

仕事でもAIを使う機会が増えましたが、情報整理や別の切り口からの提案は得意でも、クリエイティビティという点では物足りなさを感じることがあります。売り手側の未整理な情報や感覚、感性といったものはAIにはあまりないので、そこを意識的に足していかないと、いいものはつくれません。最近は交流会など、人と会って会話する機会を意識的に増やすようにしています。ロジカルな部分と感性の部分のバランスを、うまくとっていくことが大事だと思っています。

編集後記

今回、西出さんのお話を伺って、いちばん印象的だったのは「戦略的に動いたわけではなく、好きという気持ちに従って動いた先に道が開けた」という言葉でした。私自身、まだ学生起業やインターンに一歩踏み出せずにいる部分がありますが、AIを使いこなしながら好きなことに没頭する姿勢は、今の学生にこそ必要な考え方だと感じました。ロジックと感性のバランスという視点も、これからの学生生活で意識していきたいと思います。