大学入学一週間で「辞めよう」と決めた
勉強より、面白いことを探した
大学は愛知県の名城大学に入ったんですが、入学してから一週間で「辞めよう」と思いました。そもそも勉強が好きじゃないというのと、好きなことじゃないとなかなか続かないって感覚があって。国公立を目指して届かなかった人も多い大きな大学で、机に向かい続けるのはちょっと辛いな、と。
それでもせっかく入ったので、飲みサークルにも入って、いわゆる「ザ・大学生」みたいな生活を満喫しつつ、バックパッカーでアジアを中心にいろんな国を旅しました。
タイのカフェバーから起業へ
実は 18 才のときから起業していて、複数の事業を展開していました。その後、よくタイに行っていたこともあって、仲のよかった先輩と「面白いことやりたいよね」という話になって。タイのカフェアンドバーみたいなところで話しているうちに、「じゃあ店をやろうぜ」となって、19 〜 20 歳のタイミングでバーを起業したんです。
東日本大震災が変えた「幸せ」の定義
1000km 先で困っている人がいたら
震災が起きて 3 日後、当時 21 歳くらいでした。名古屋にいたので被害は少なかったんですが、テレビで見る映像は相当なものでした。そのとき、東北をヒッチハイクで旅していた先輩から「お世話になった人たちが被災してるから、一緒に行かない?」と声をかけてもらって。トラックを借りて物資を集めて、一緒に行くことにしました。
元々、「困ったときに助けてもらえる人でありたい」という生き方をずっと意識していたんです。人生で一番つらいとき、そばに手を差し伸べてくれる人がいるかどうかで、そこから這い上がれるかどうかが変わると思っていて。1000km 先で困っている人がいるなら、行かないでどうするんだって、それだけのことでした。
幸せは外ではなく、内側にある
実際に現地に行って感じたのは、とにかく「無常」ということでした。生きていたい、でも物理的になくなってしまった、という現実を目の当たりにして、「後悔しない人生を生きなきゃいけない」と改めて思いました。
それと同時に気づいたことがあって。みんな便利なものを追い求めて、幸せを外に向けているんですよね。何かが手に入ったら幸せ、もっと成長したら幸せ、という感じで。でも「今生きていることが幸せだ」と思えた瞬間から、もうその人は幸せなんじゃないかと思って。
「小欲知足(しょうよくちそく)」という言葉が好きで、欲を少なく、足るを知る、という意味なんですが、震災で被災された方は、家があって、家族がいて、仲間がいる、それだけで幸せだと思えたはずで。その経験をしていない人ほど、当たり前のものをもっともっととねだり続けてしまう。
幸せになりたいと言い続けて死んでしまったら、結果として幸せじゃなかったということになる。だから、どんなことがあっても「幸せです」と言える状態を内側に持っておくことが大切だなと、そのとき痛感しました。
「当たり前をメンテナンスする」
消防点検の実施率は 約55%
スマテンを立ち上げたのは 2018 年です。ビジョンは「全ての建物に安全な安心を」、ミッションは「法令点検未実施のない世界を創る」。この二つを掲げてやっています。
実は今、消防点検の実施率って 55% くらいしかないんです。車に例えると、車検を通していない車が半分くらい走っているようなもので、普通に考えたら怖い話ですよね。上場企業でも、展開していく中で「実は携帯ショップ 150 店舗以上、点検していませんでした」なんてことが発覚することもあって。
その実施率を上げていくことが、結果的に建物を安全にして、命を守ることにつながると思っています。
誰も気づかないから、価値がある
うちの仕事はセキュリティ業界に近いと思っていて。ランサムウェアの攻撃を未然に防げていたとしたら、そのセキュリティ業者は誰にも褒められず、誰にも知られず終わります。私たちの仕事もそれと同じで、点検をして問題が起きないようにするのが仕事なので、わかりやすく「ありがとう」をもらえる仕事ではないんです。
だからこそ、お客様からの感謝よりも、自分のやっている仕事が社会のためになっているということに誇りを持てる人がスマテンに合うんじゃないかと思っています。
AI でも代替できない現場の価値
AI がどれだけ発展しても、建物の点検や工事は人がやらなければならないものだと思っています。病院での手術だって、ロボットが人体を切開するだけの世界にはなかなかならない。AI を活用しつつも、人間がやらなければいけない本質的な価値にもう一度立ち返ることが、これからより求められると思っていて。
弊社のパーパスは「当たり前をメンテナンスする」という言葉に集約されています。建物のメンテナンスがされていることって、当たり前のように感じられているけれど、実はそれが当たり前ではない。道路に穴が開くことを想像しないのと同じで、誰も意識していないからこそ、それを守り続けることに大きな意味があると思っています。
一緒に働きたい人、探しています
トンネルの中で光を目指せる人と
今、新卒採用もスタートしています。日本一の建物管理プラットフォームを目指しているので、道のりは相当なものだし、まだ何も整っていない状況でもあります。それでも、トンネルの中から自ら光を目指して突き進んでいけるような人と一緒に働きたいと思っています。
AI か人か、大手かベンチャーかという二択で考えるのではなく、どちらも大事だよね、というふうに「AND」で考えられる人が合うと思っています。
行動こそ真実
学生の皆さんへ伝えたいのは、「行動こそ真実」という言葉です。以前、日本経済新聞にも取り上げていただいたんですが、わからないなりにでも突き進むことがとても大切だと思っています。
どっちを選んでもメリットもデメリットもあって、百パーセント勝てると確信して意思決定することなんてほとんどない。「可能性はこっちの方が高そうだ」という判断で動いていくしかないし、9 人に反対されても、一人でも「いける」と思って踏み出したことで成功することがある。
日本一のトップセールスは、日本一断られている人だと思うし、行動量が圧倒的に多い人だと思うんですよね。結局すべては行動でしかないし、失敗する覚悟なしには進めない。業界の当たり前はまだまだ遅れていて、伸びしろも変化も多い。それを楽しめる人と、ぜひ一緒にやっていきたいと思っています。
編集後記
インタビューを通じて、都築さんの「幸せは内側にある」という言葉がずっと頭に残っています。大手企業か、AI を使っているか、福利厚生はどうかと、就活の軸を外に求めてしまいがちな自分に刺さりました。消防点検の実施率が 55% しかないという事実も初めて知って、「当たり前」として暮らしている日常がいかに多くの人に支えられているかを実感しました。スマテンは、命を守ることを事業の核に据えながら、DX という手段でその仕組みをアップデートしようとしている会社です。「行動こそ真実」という言葉を胸に、まず動いてみることの大切さを改めて教えていただきました。