インタビュー

「すべてのスタートラインは『YES』から」——0から1のフェーズを楽しみ尽くす、Cyujo代表・清水良浩の経営哲学

PROFILE
株式会社Cyujo 代表取締役
清水良浩

広島から大阪へ。わずか5坪のバーからスケールさせた起業

21歳、自己資金で小さなバーをオープン。ビジネスの原点

学生時代に最もリソースを割いていたのは、間違いなく『働くこと』でした。アルバイトをしながら資金を調達し、21歳の時にはすでに自身のビジネスをスタートさせていました。

最初のプロダクトは飲食店でした。ただ、最初から大規模な投資をしたわけではなく、わずか5坪の小さなバーという、いわばスモールスタートでした。起業に対してリスクや恐怖が伴うと思われがちですが、当時は無知だからこそブレイクスルーできた部分も大きかったと感じています。初期投資が極めて低く抑えられたこともあり、「まずは挑戦してみよう」というフラットなマインドセットでした。

地元である広島を飛び出し、より大きなマーケットで勝負したいという想いから大阪へ進出しました。広島の店舗のオペレーションは店長に委ね、大阪で次なる新事業の立ち上げを模索し始めたこと。それが現在の株式会社Cyujoの原点です。

複数のパラレルワークを掛け持ち、睡眠4時間のハードコアな1年間

大阪進出直後は、圧倒的な行動量を自分に課していました。早朝の物流仕分けからサウナの清掃、日中は本業のビジネス、週末は引越し現場のサポートまで。1日をフルに使い切るような生活を1年近く継続し、当時の睡眠時間は4時間にも満たない日々でした。

なぜそこまで圧倒的にコミットできたのかというのは、理由はシンプルで、そのプロセス自体が最高に楽しかったからです。自分自身のポテンシャルを信じ、「必ずこの市場で価値を証明する」という強い思いが、無限のエネルギー源になっていました。

資金が限られているからこそ工夫も出来ます(笑)。たとえば、ご飯おかわり自由の朝定食をリミット間際に流し込み、夜までエネルギーをもたせるような。まさにマズローの欲求階層説における『生存欲求』をいかにハックするかに必死なフェーズでした。しかし、当時の私にとってそれらは『苦労』ではなく、未来のハイリターンに向けた『自己投資』という感覚でしたから。

「できます」と言って、仲間と持ち帰った

カタログビジネスからWeb領域への事業転換

大阪で最初に立ち上げた事業は、ホテルや結婚式場に内祝いのカタログを売り込むビジネスでした。内祝いというのは、結婚式に来られなかった方などからいただいたお祝いへのお返しのことです。そのカタログを作って、メーカーや商品を持っている会社に営業をかけていました。

そういった活動の中で、あるお客さんから「ホームページを作れませんか」と相談を受けたのが、今のWebサイト制作事業の原点です。当時はノウハウも皆無。しかし、私は迷わず『可能です』と回答し、チームの仲間とリサーチを重ねながら、力技でファーストプロダクトを作り上げました。

そこからホームページ制作の方が事業として伸びていきました。Webサイト制作を中心に、動画制作、Webマーケティングのコンサルティング、グラフィックデザインと領域を広げながら、今では飲食店経営やスポーツジム、児童保育なども手がけています。本質的に『0→1(ゼロイチ)』のフェーズを創ることに何よりの楽しさを感じるため、自然な広がりとして今の形に帰結しました。

経営の核心にあるもの

人との関わりで育てられた会社

経営において最も重要なコアバリューは、一貫して『関わり』です。私にはそれほど突出したスキルや技術があったわけじゃない。でも、関わってくれる人への感謝の気持ちは自然と持てていました。

何百社ある中から私たちを選んでくれたお客様に対して、必ず恩返しをしようという気持ちで動いてきました。その姿勢がお客様に好きになっていただけた理由だと思うし、スタッフもそういう気持ちで一緒になって動いてくれた。Cyujoは人との関わり合いの中で育てられた会社だと、心からそう思っています。

スタッフの「人生・お金・時間」の自由

今、経営者として一番意識していることは、スタッフのみんなに「人生・お金・時間において自由を持ってもらうこと」です。私自身がその自由を体現したいと考えているからこそ、同じ環境を組織内に構築し、メンバーが自律的に人生をデザインできるようにすることが私の最大のミッションです。

弊社はここ数年、毎年130〜140%のペースで成長してきています。このスケールは意図的な戦略ですが、目的は売上そのものではなく、メンバーの自由度を増やすためのリソース確保にあります。今のトレンドである『AIによる人員削減』というベクトルの真逆を行き、事業を拡大して雇用を創出する、というスタンスを貫いています。

AIとの向き合い方

AIは今後も外せないものになってくると思います。効率化においては中心的な役割を果たしていくでしょう。ただ、私たちが提供したいのは、お客様との関わりや安心感、誠心誠意寄り添うことです。AIを使いつつも、人間としての温かさや喜び、幸せをきちんと届けていく——そのポジショニングを大切にしていきたいと思っています。

AIだけに引っ張られずに、人の部分をしっかり磨くことが、これからの一つのテーマかなと感じています。

学生たちへ——「今はボーナスタイムだよ」

失敗が許されるのは今だけじゃない

情報があふれている時代だから、頭の中でいろいろ理論も持てると思います。でも、考えすぎると動けなくなるし、「失敗した時のかっこ悪さ」を気にしすぎてしまう。

学生時代って、失敗してもいい「ボーナスタイム」だと思うんですよ。まだ経験の少ない人を、みんな応援したがるものでしょ。一生懸命やって、できない人を応援したくなるじゃないですか。だから今の時期に思い切って動いてほしいと思います。

人ってそんなに他人のことを見ていないし、失敗を笑ったりもしない。失敗しても成功してもいい、くらいの気持ちで動けば、いろんなことができるんじゃないかと。

応援されるのは「素直に実直に頑張る人」

応援したくなるのは、やっぱり「素直に実直に取り組んでいる人」ですよね。アニメや漫画の主人公も、最初はできないけど一生懸命前に向かっていくキャラクターって、みんなから応援されるじゃないですか。信(『キングダム』)もそうだし、カフカ(『怪獣8号』)もそう。真正面からぶつかっていく人には、周りが自然と集まってくる。

私自身もメンバーから信頼され、応援される存在でありたいですし、それ以上にメンバーや次世代の学生たちの挑戦のバックアップをしたい。情熱を燃やして走る人間を全肯定する。私の経営・育成のスタンスは、非常にシンプルです。

聞くだけじゃなく、アクションプランを作ってほしい

いろんな社長の話を聞くと、モチベーションがわいてくるし、血が沸き立つような感覚になりますよね。でも、聞いて流れるだけでは、やる気が出るだけで終わってしまう。走り方の理論をどんなに完璧に学んでも、実際に練習しなければ実戦では使えないのと一緒です。

話を聞いたら、「じゃあ自分は具体的に何をするか」というアクションプランをきちんと立てることが大事だと思います。

編集後記

今回のインタビューを通じて、清水さんがここまで来られた理由が少しわかった気がします。「できます」と言ってから考える行動力、生存欲求に突き動かされながらも楽しんでいた若い頃の姿——それはただのガッツではなく、「人との関わりを大切にする」という一貫したフィロソフィーに支えられていたんだと感じました。考えすぎて動けない自分に思い当たる方も多いと思います。清水さんのおっしゃるように、今こそ「ボーナスタイム」。インタビューを聞いて終わりにせず、今日から一つアクションを起こしてみることが、学生の私たちに一番必要なことかもしれません。