学生時代、飲食の世界に足を踏み入れた
映画好きから銀座の飲食店でアルバイト、天職をみつけた
学生時代、映画が好きだったためアルバイトするなら銀座がいいと思いました。そこで選んだのがPRONTOの1号店、働くうちに飲食業が自分の天職だと感じました。学生のうちに現場のプロになろうと思い、レストラン、バー、カフェ等、いろんな飲食店でアルバイトをしていました。アルバイトでしたが、お店によっては時間帯責任者やマネージャーを任せてもらっていました。当時、サントリーには飲食店をサポートする部署があって、取引先に対して飲食店のブランド開発やメニュー開発、トレーニングをされていました。私はサントリー系列の飲食店でアルバイトをしていたこともあって、学生時代から、開業のプロジェクトのお手伝いをしていました。同時期に、サントリーがMYUプランニング&オペレーターズという飲食店のプロデュースやコンサルティングする事業会社を作ったこともあり、大学生の後半は、その会社の現場や企画プロデュースのサポートもしていました。そんなご縁があって、大学を卒業するタイミングで、サントリーの事業会社に新卒として入社をしました。
28歳の転職、独立の夢を胸にワンダーテーブルへ
会社を移った理由
大学生の頃から、飲食業が自分の天職だと思ったことから、いつかお店を持ちたい、いつか社長になりたい、独立をしたいという夢がありました。前職の勤務時代にも仲間と会社を作ってお店をやっていたんです。しかし、当時20代半ばで、まだまだ経営者として実力も人脈も足りないと感じていました。特に、前職がプロデュースやコンサル業だったので、実業でしっかりやって実績をつくりたいと思っていました。そんな時期に、たくさんのクライアントさんから、「うちに来ないか?」「一緒にやろう!」と誘っていただきました。複数の会社のなかで、選んだ会社が、当時、東証二部上場企業の富士汽船(ワンダーテーブルの前身)です。海運業から飲食業への転換期で苦慮している中でも、ポテンシャルが高く、何よりも一緒に働きたいと思った人が複数いたからです。当時は特別な条件提示こそなかったものの、最も魅力を感じた同社へ28歳の時に転職しました。その後、林祥隆(現ヒューマックス社長)と私の二人三脚でワンダーテーブルの再生を果たし、同社の社長、のちに会長に就任しました。現段階では、個人の独立の夢を捨て、このグループを成長させることを優先しています。
ヒューマックスエンタテインメントの社長として
エンタメ事業の統括を任された
ワンダーテーブルの社長を務めながら、並行して親会社であるヒューマックスの取締役として、グループ全体の経営管理もしていました。コロナ禍は大変でしたが、ワンダーテーブルは比較的早くV字回復ができました。一方で、グループにはエンタメ系の事業会社が複数あり、思うように回復していなかったんです。親会社の取締役メンバーで議論し、しっかり社長を据える必要がある。回復させるために「秋元にやってもらおう!」という話になりました。2023年、まずヒューマックスシネマとヒューマックスコミュニケーションズの社長を引き受けました。翌年、他の事業会社であるヒューマックスエンタテイメントという会社も含め3社が合併し、総合エンタメ企業として、ヒューマックスエンタテインメントを設立しました。
合併し早期に黒字化、3社合併から3期目に入った
現在の会社は、2024年4月の合併から新しいスタートを切っています。親会社の経営戦略部門の試算では、3社足すと赤字の見込みでしたが、社員の努力やビジネスモデルの見直しで2期連続黒字化を達成することができました。この4月で3期目に入ったところです。
展開しているエンタメ事業 2つの事業部で6つの事業を展開
店舗部門のライブエンタテインメント事業部
事業は大きく二つあります。一つは箱物と呼ばれる店舗部門のライブエンタテインメント事業です。シアター事業として映画館「HUMAX CINEMA」を運営しているほか、ライブハウス事業として「新宿FACE」や「五反田BLAZE」というブランドでライブハウス・ライブホールを運営しています。またアミューズメント事業として、「クロスポ八王子」という総合型のスポーツエンタメ施設、新宿歌舞伎町で54年ほど続く「新宿コパボウル」も手がけています。
ソフト部門のメディア事業部
もう一つが、新宿区富久町に拠点を置くメディア事業です。放送・配信チャンネル「Vパラダイス」を運営していて、スカパー!やJ:COM、Amazon Prime Videoで自社番組を放送しています。映画を流すこともあれば、バラエティー番組を自分たちで制作することもあります。加えて、制作プロダクションとしてドラマや映画の制作や企業PVを制作しています。また、「HACスタジオ」というポストプロダクションの編集スタジオも持っていて、有名アーティストの映像や音楽の仕上げをおこなっています。
合併後にまず始めたこと
全社員との1対1面談
合併を公表してから、各社の社員の多くは不安を抱えていました。業績も不振で先が見えないと感じていました。まずはじめに、全社員との1対1面談をしたんです。事業内容は違いますが、共通点がありました。それは、今の仕事が好きでやってるということです。お客さまのために、あるいはより良いオペレーションにしたいからと、自分を犠牲にしながら一生懸命働いているメンバーがたくさんいました。彼らは好きなことを仕事にしている人たちがほとんどだったので、ビジネスモデルを修正し、好きなことを商売にできるようにしてあげたいと思いました。同時に、アイディアを募りたくさんのチャレンジをさせる環境をつくりました。3年前から「好きを仕事に、好きを商売に」ということを軸にやってきています。
仕事の原動力
一生懸命が報われる会社に
原動力は社員の成長と働きがいです。好きな仕事を一生懸命やって、それがきちんと報われる会社にしないといけないと考えています。結局、一生懸命頑張っても、業績が悪ければ会社も社員も報われません。赤字では、社員の給与を上げることはできませんし、設備投資をすることもできません。各事業のビジネスモデルを見える化し、目標を設定しながら売上や利益の向上策を打ちました。採算が見込めない事業は一部閉鎖しましたが、既存事業については全て業績アップを達成できました。前期は、特別に賞与を引き上げることもできました。また、労働環境を見直し、過度な残業や休日出勤とならないよう本部もモニタリングしながらコントロールしています。
映画「鬼滅の刃」、36回上映の裏側
昨年、映画『国宝』や『鬼滅の刃』が大ヒットしました。配給会社からの要望もあって、朝7時半から上映を始めて、シネコンの10スクリーンをほとんど使いながら鬼滅の刃だけでスタート時は1日36回近く上映していました。それ以外の作品もラインナップとして10作品程度は上映しなければならないので、社員は始発から終電までいることもありました。それでも一生懸命やれるのは、スタッフ自身が映画や映画館が好きで、その先にいるお客様が映画館で作品を観て喜んでくれる姿にやりがいを感じているからなんです。
目指すビジョン
世界中の人々に彩りを
弊社のビジョンの目的は、「ユニークなエンタテインメントを共創することで、世界中の人々に彩りを与える」ことです。私たちのつくるコンテンツや場所を通じて、いろんな人の人生に幸せな思いを与えられたらいいなと思っています。
自社制作映画を自社の映画館で
昨年、全国の映画館でロードショーした映画を、当社の企画・プロデュースで制作しました。俳優の高杉真宙さん主演の「架空の犬と嘘をつく猫」という小説を映画化したものです。残念ながら大ヒットとまではいきませんでしたが、会社を作った当初から「自分たちで作った映画を、うちの映画館で流したい」と社員と話していたことが、実際にかたちになりました。俳優を呼んで舞台挨拶やトークショーもおこない、自社の映画館で上映するという、当社ならではのソフトとハードを組み合わせた取り組みができたと思っています。
新規事業、ナイトクラブへの挑戦
現在、新規事業としてナイトクラブを準備しています。2027年末オープン予定の「MU:IN TOKYO」に関して6月頭にプレスリリースを出したところです。昨年、日本を訪れるインバウンドの数は4,000万人に上りました。レストランはコロナの影響もあって閉店時間が早くなっていて、外国人観光客が夜遅くまで楽しめる場所が少ないんですね。しかし、新宿・渋谷・銀座を中心にナイトクラブが増えてきており、若者や外国人がエキサイティングな夜を過ごしています。当社のグループは、80年代・90年代に新宿・渋谷・六本木でディスコを牽引してきた歴史があります。残念ながら、今の社員に当時を知る人はいませんが、箱物を運営する力はあります。来年末にはライブハウスの「BLAZE」と海外の有名ナイトクラブのブランドである「MU:IN」との2毛作にチャレンジしたいと考えています。できれば今年度中に、ナイトクラブの一号店を作りたいと、物件を探しているところです。
採用と大事にしている価値観
いまは一部の部署で採用を進めています。昨年は映画が大ヒットしたこともあって映画館のメンバーが足りず、映画館で働きたい方の募集をしています。また、HACスタジオの編集部門の募集をおこないました。新卒も採用していて、複数の部署でいまも募集をしています。
5つの価値観に共鳴する人
私たちには5つの価値観があります。遊び心を持つこと、お客さまの立場になって考えること、できる方法を見つけること、異なる意見を歓迎すること、そしてワンチームであり続けることです。この5つの価値観に共鳴できる人でないと、入社しても報われません。給料や条件、なんとなく面白そうという理由ではなく、エンタメの事業が好きで、私たちの価値観に共鳴してくれる人に来てもらえたら嬉しいです。
若い世代へのメッセージ
世界が求める日本のエンタメ
飲食もエンタメの仕事も、実はとても魅力的な産業なんですが、就職先としてはあまり若い人に人気がありません。だからこそ、若い人たちが憧れる産業にしていきたいというのが、私の人生のミッションでもあります。日本のアニメや映像コンテンツ、J-POPは世界から求められています。世界が求めている日本のエンタメ産業に、まだまだ若い人の就業者が追いついていない状況です。しかし、未来は明るいと思っています。次の世代を担う若い人たちにぜひ興味を持ってもらって、私たちの産業に入って頂き、世界の舞台で活躍してもらえたら嬉しいです。
ヒューマックスエンタテインメントは、ソフトとハード両方を持っているのが強みです。時代に合わせて新しい音楽や映像を自分たちで作り、それを自分たちの箱でお客さまに楽しんでもらう。そういったものをこれからも増やしていきたいと思っているので、弊社が提供するコンテンツにも、働く場所としても、ぜひ注目してもらえたら嬉しいです。
編集後記
今回、秋元さんのお話をうかがって、「好きを仕事にする」ということの本当の意味を考えさせられました。学生時代のアルバイトから一つひとつ経験を積み重ね、いまは会社のトップとして「好きを商売にできる人」を増やそうとされている姿が印象的でした。鬼滅の刃の上映裏話からは、エンタメの現場を支える人たちの情熱が伝わってきましたし、ナイトクラブという新規事業への挑戦からは、変化を恐れない姿勢も感じました。私自身もいつか、好きなことを仕事にできる働き方を模索していきたいと思います。