特定技能という新しい制度とともに歩んできた
取引先だったことがきっかけで入社した
私が代表を務めているのは、「BEENOS HR Link(ビーノス エイチアール リンク)株式会社」という法人になります。親会社の「BEENOS株式会社」は、複数の事業会社があるグループ経営をしており、新規事業領域として事業を立ち上げました。BEENOS HR Linkでは、外国籍の方の雇用、特定技能に特化した事業を展開をしています。特定技能の方を雇用する上で必要な支援業務の対応や関連する労務管理、官公署へ提出する書類が簡単に作成できるHRテック(テクノロジーを活用して人事業務を効率化するサービスや仕組み)プラットフォームの「Linkus(リンクス)」の提供、そして外国籍従業員の採用や支援・管理に関するコンサルティングをおこなっています。
BEENOSグループに入社したのは10年ちょっと前のことです。きっかけはグループの子会社が取引先だったことでした。もともと全く違う業界の会社で働いていて、その時の取引先が、エンタメ領域を取り扱っていたBEENOSグループの子会社だったんですよね。そこで知り合った流れから、入社することになりました。
先行事例がない中でサービスと制度を同時につくってきた
事業の立ち上げ期にもっとも苦労したのは、頻繁な制度変化に合わせたサービスのアップデートです。BEENOS HR Linkは、特定技能制度がスタートすることをきっかけに、外国人雇用の課題をITの力で解決することを目指してスタートしました。特定技能は新たな制度ということもあり、関連する法律等もどんどん変わっていくという状況でした。先行している正解のようなものがない中で、新しいサービスを作りながら、新しい制度に合わせてチューンアップしていくことを継続するのは、大変なところのひとつだと思います。
制度の頻繁な変更にどう対応しているのかと聞かれることも多いのですが、制度をきちんとキャッチアップしてサービスに落とし込むというサイクルをしっかりと組んで回せていることが、サービスを続けられている理由でもあり、お客さまに安心して利用してもらえている要素でもあると感じています。
外国籍の方が働きやすい社会をつくるために
受け入れ環境を整えていくことで、制度の健全運用に貢献したい
サービス単体の課題ではないですが外国籍の方が日本で働くことに対して、必ずしも賛成意見ばかりではない事は、きちんと受け止めないといけないと感じています。ルールどおりに日本に来て、しっかりと働き、勤務先を始め日本社会に貢献している人たちも含めて大きな枠で「在留外国人」がネガティブに捉えられている側面はあるのかなと。
そこに対して私たちができることは、企業側の受け入れ環境と支援体制を整えることです。特定技能の雇用では、雇用企業側に特定技能の従業員に対してきちんと教育や支援、管理を行うことが義務付けられています。そうした支援管理がスムーズにできる体制作りや業務の効率化をサポートすることで、雇用企業が適切な支援を行える環境を作り、制度の適切な運用に貢献できればと考えています。
日本人採用、外国人採用という言葉自体がなくなってほしい
5年後、10年後にどうなっていたいかというと、「外国人でもいいから採用しよう」ではなく、その企業にマッチした人が結果的に◯◯国籍だったという様な採用環境、「この人に入社してほしい」と求められてマッチしたポジションや業務内容で採用されるのが当たり前。そんな世の中になっていったらいいなと思っています。まずは特定技能という、新しく始まって広がっている領域を軸に置いて、日本人採用、外国人採用ということが意識されないような、当たり前になる社会を目指していきたいですね。
垣根のない感覚を、いち早く持ってほしい
私たちがおこなっている事業は、外国籍の方のサポートや、外国籍の方を雇用する企業のサポートを軸足に置いているので、日本人・外国人という垣根があまりないような感覚で仕事をしています。BEENOSグループ全体でも国籍の幅は結構あり、日本人ばかりの組織体制ではありません。おそらく今の学生のみなさんも、私たちが学生だった頃と比べると、同じ学校に日本国籍以外の方がいるのは当たり前の環境になってきているのではないかと思います。
そういう感覚が当たり前になっている今の学生のみなさんが、いち早く社会に出て活躍してもらえるような世の中が、早く来るといいなと思っています。海外に行く機会があるのであれば、行ってみることもおすすめしたいですね。この仕事をしていると、日本での「当たり前」がほかの国では当たり前ではないという感覚に触れることが多くあります。日本に働きに行きたいと思っている外国籍の方の中には、日本を旅行して文化が好きになったり、日本に行ったことはなくてもアニメなどのエンタメや食文化などをきっかけに興味を持ったりして、そこから日本で働きたいと思うようになった方もたくさんいます。彼らにとっては、自国以外の文化を知ったことで、ある意味で世界が広がったとも言えます。私自身はこの事業を始める前に海外にたくさん行っていたわけではないので、それが必須だとは思いません。ただ、この領域で働く上で、日本以外の文化も知っていることは、プラスになるのではないかと思っています。
編集後記
今回お話を伺って、外国籍人材の受け入れをめぐる社会の空気と、現場で働く方々への眼差しにギャップがあることを強く感じました。制度も世論も変化し続ける中で、先行事例がないところから体制をつくり上げてきたお話には、学ぶところが多くありました。日本人採用、外国人採用という言葉自体がなくなる未来を目指すという言葉が印象に残っています。私自身も、当たり前を疑う視点を持ちたいと思いました。