インタビュー

消防士からメタバースの荒波へ。VRゴーグル1つで見えた「来るべき世界」

消防士からメタバースの荒波へ。VRゴーグル1つで見えた「来るべき世界」
PROFILE
株式会社modegination 代表取締役
江畑翔吾

消防士からメタバースの荒波へ。VRゴーグル1つで見えた「来るべき世界」

株式会社modeginationで代表取締役をしております江畑翔吾です。Roblox(ロブロックス)というゲーミングプラットフォーム上でのゲーム制作をはじめ、3D制作やCG映像、VR・XRコンテンツの制作を手がけています。

消防士だった私が独立を決めた理由

「人を救う」現場で感じたこと

前職は東京消防庁の消防士でした。実際に働く中で感じたのは、現場で人を救っているのは医療従事者ではなく、「バイスタンダー」と呼ばれるたまたま居合わせた一般の方々が多いということでした。そうした人々の知識をもっと底上げできたらいいなという想いが、独立を考えるきっかけの1つになっています。

給与の限界が見えていた

もう1つの理由は、率直に言うとお金です。「もっといい車に乗りたい」、「しっかり休みを取りたい」などの気持ちがあったものの、先輩たちのキャリアの上がり方を見ている中で、給与の限界値がある程度見えてしまい、この先どうなっていくかが想像できてしまいました。それなら若いうちにいろいろな挑戦をしたほうがいいと思い、独立して会社を作ろうと決めました。

メタバースとの出会いは「VRゴーグル」だった

何をやるか、ずっと迷っていた

独立を決めたものの、最初から今の事業をやろうと思っていたわけではありません。プログラミングや映像編集、ライティングなど、いろいろな選択肢を検討したのですが、正直どれもピンとくるものではありませんでした。

フルベットのきっかけ

転機になったのは、Facebook社が社名をMetaに変えたタイミングでした。ちょうどその頃、VRゴーグルの価格がかなり安くなっていたため、試しに購入してみました。そして、VRゴーグルに触れたことで、VRやメタバースという分野は絶対にこれから来ると確信し、そこにフルベットしようと決めました。

いろいろなクライアント様と接する中で気づかされたのですが、事業内容が一見わかりにくいと言われることもあります。しかし、ゲームやVR・XRという「表現の手段」が違うだけで、根っこにあるのは「人にどう届けるか」という部分だと考えています。

Roblox(ゲーミングプラットフォーム)上でのゲーム制作や3D・CG制作の技術は、独学で身につけてきました。自分で実際に手を動かして作ってみることやいろいろな方に話を聞くことを繰り返し、手探りで回り続けながら経験を積んできたという感覚です。

創業後にぶつかった壁

ビジネスマナーすらわからなかった

創業してから一番苦労したのは、ビジネスで必要な知識やマナーという基礎の基礎からでした。消防士という公務員の立場からの独立だったため、仕事をどう進めていけばいいのか、何から勉強すればいいのかもわからない状態からのスタートでした。

「メタバースって何ですか」から始まる営業

さらに、「メタバースって何ですか」と尋ねられてしまうことも多く、思ったように案件が取れず、収入が安定しない時期が続きました。そこをどう乗り越えていくかは、今でも試行錯誤を重ねながら向き合っている課題です。

少数精鋭で回すチーム体制

クリエイターの採用はSNSから

意外にも、クリエイターの採用については比較的スムーズに進んでいます。X(旧Twitter)で募集をかけると応募が来たり、クリエイター同士で紹介してもらえたりすることが多いからです。ただ、少ない人数で業務を回しているのが現状のため、会社を大きくしていく中でそこは強化していきたいと考えています。

体制としては、私が100%株主の代表を務め、執行役員が2人います。あとはクリエイターやエンジニア、デザイナー、秘書などの業務委託の方々に力を借りながら事業を進めている状況です。

グループ企業を増やしていきたい

既存事業を伸ばしながら新しい会社を作る

今後のビジョンとしては、まずは今ある事業をしっかり伸ばして売り上げを積み上げていきながら、並行して多くの関連会社を作っていきたいと考えています。さまざまな人と一緒に仕事をしたいという思いがあり、それが理由で、グループ会社を作るというビジョンを構想しています。

立ち上げでは現場に入り、任せていく

新規事業に関しては、現場が好きなので、実際に立ち上げに関わっていきたいと思っています。立ち上げ終えたら次の人に任せて、また新しい事業の立ち上げに入る、というサイクルを繰り返していきたいです。

形になっていく瞬間が一番楽しい

3D制作の仕事は、最初はテキストやラフなデザインから始まります。それが少しずつ3Dの形になり、「こういうゲームを作りたいよね」と話していたものが実際にゲームとして形になっていく瞬間こそ、チームで積み上げてきたものが形になる瞬間であり、最もやりがいを感じるところです。

クライアントは幅広く、若年層向けのPRに強み

本当に多種多様なクライアント様から依頼をいただいています。「ゲーム制作でPRをしていきませんか」というのが弊社の売りですので、若い世代にマーケティングをしたい企業様や新しいマーケティング手法を試したい企業様とマッチングすることが多いです。

新規開拓という今一番の課題

グループ会社を作りたいというビジョンに対して、現状とのギャップを感じている点は、新規営業です。一緒に営業を担ってくれる人材がまだ少なく、営業人材を増やすことやメディアへの露出を通じて問い合わせを増やすこと、会社の知名度を上げることなどに、もっと力を入れていく必要があると感じています。

この会社のよくある質問

どんな人が向いていますか。 現場に入って実動しながら物事を進めていくのが好きな人には合っていると思います。決まったジャンルにこだわらず、幅広いクライアント様と向き合う仕事なので、柔軟に動ける方に向いています。

未経験でも活躍できますか。 私自身、消防士からこの世界に入り、技術は全て独学で身につけてきました。実際に実務を担いながら学んでいく姿勢があれば、未経験からでも十分に挑戦できる領域だと思います。

編集後記

今回お話をうかがって、消防士という安定した立場から一歩踏み出し、VRゴーグルとの出会いをきっかけに事業をフルベットで立ち上げた江畑さんの姿勢は、進路に迷うことが多い学生の私自身にも刺さるものがありました。若いからこそ周りを頼っていい、というメッセージは、これから挑戦する多くの学生の背中を押してくれるはずです。貴重なお話をありがとうございます。