インタビュー

一年で会社が倒産、そこから見つけた「自分でやる」という選択

一年で会社が倒産、そこから見つけた「自分でやる」という選択
PROFILE
合同会社ゼソット 代表社員
佐藤崇紀

新卒一年目、まさかの倒産からのスタート

入社一年で会社が倒産した

新卒で入った会社は、実はデザイン関連の仕事だったといいます。学生時代は社会学部でデザインとはまったく縁がなかったにもかかわらず、社会に出て最初に飛び込んだ先は、すでにものづくりに近い世界だったわけです。ところが、その会社はわずか1年ほどで倒産してしまいました。辞職ではなく倒産、しかも新卒1年目という早いタイミングでのことだったので、「まさか自分の身に起こるとは」と振り返ります。

再就職先はまさかのブラック企業

数ヶ月後に再就職をしたのですが、そこが今なら間違いなく問題になるような会社でして、労働時間も長く、夜中どころか朝まで働かされることもざらにありました。ストレスはどんどん溜まっていきましたね。

同期との出会いが起業のきっかけに

25歳で仲間と会社を辞めた

その会社に同期で入った、同い年の仲間がいたんです。二人でよく話をしていて、「会社に属するより、自分の思うように自由にやってみたい」という気持ちが少しずつ大きくなっていきました。当時25歳ぐらいで、若さもあって「ダメならダメでいいか」という感覚で、二人で会社を辞めることにしたんです。

未経験からのデザイン挑戦

デザインの本格的なノウハウを学んだのは、再就職した会社でのことでした。この会社はテレビ関連のコンテンツ制作を手がけており、ウェブ系のデザインやDVDなど、コンテンツ系のデザインに携わったのがきっかけです。ソフトの扱い方すら知らないところから、一から学んでいきました。新卒で入った会社が23歳、2社目に入ったのが24〜25歳、そして起業したのが25歳と、社会人になってから2年ほどの間に一気に環境が変わったことになります。そこで得たノウハウをもとに、無謀にも独立してみようと思ったのが、今につながっています。若さに任せてやってみた、という感覚が大きかったですね。

「安さ」から始まった差別化戦略

最安値と無料修正で勝負した

会社を立ち上げたときに、何か売りがなければほかに埋もれてしまうという話をしていました。最初は価格で勝負するしかなかったんです。それなら安くても修正には対応できる、という形でサービスを打ち出したのが始まりで、それが今も受け継がれています。

今は「寄り添うデザイン」を大切に

今は価格を全面に出すというより、お客さまに寄り添ったデザインづくりに重きを置くようになりました。当時掲げたサービスの形は変わらず続けながらも、大事にする軸は少しずつ変化しています。

二人だからこそできること

人件費を抑えて手厚い対応を実現

一番お金がかかるのは人件費だと思うんです。だからこそ二人でできるところまでやる、という体制を続けています。無料修正のような手厚い対応ができるのも、人件費を抑えているからこそだと感じています。創業時に一緒に会社を辞めた仲間と、十何年経った今も変わらず二人でやっています。

集客の壁と顧客対応の難しさ

最初はアルバイトをしながらの経営

起業したばかりの頃は、まずお客さまをどう集めるかで苦労しました。ホームページはつくったものの、それだけではもちろんお客さまは来ません。どうしたらいいかを考えながら、最初はアルバイトをしながら会社を続けていました。お客さまがしっかり見つかるまでは、本当に手探りの状態が続きましたね。

クレーム対応も二人で背負う

お客さまが見つかり、流れに乗り始めてからも、大変なことは尽きませんでした。会社に属していれば、多少難しいお客さまがいても組織がフォローしてくれます。ですが、起業後は二人だけですべての責任を負うことになるので、いろいろなお客さまへの対応は今でも苦労するところです。いろんな人を相手にする分、二人での対応は今も簡単ではありません。

得意はパンフレットとカタログ

紙からウェブへ、形を変えて続く需要

昔からずっとつくり続けているのは、パンフレットやカタログです。紙媒体は時代とともに年々少なくなってきていますが、ウェブ系の冊子という形で需要は続いています。中でも教育系、士業系の分野は、広報誌や会報誌など発信力のある媒体も多く手がけております。

リピーターに支えられるサブスク

リピーターのお客さまが多く、毎月、場合によっては毎週ご依頼をいただくこともあります。定期的にご依頼くださる方には、決まった月額でお得にご利用いただけるようにしています。今は、リピーターのお客さまの割合のほうが多いですね。

着実な成長と、これからの課題

具体的な数字より着実な成長を

時代の変化に対応しながらも、長く続けられる会社にしていきたいと思っています。具体的な数字の目標はまだ持てていませんが、着実に成長していきたいですね。実際のところ、横ばいな部分も大きいので、AIをはじめとするいろいろなツールを取り込みながら、変えていきたいと考えています。

新規顧客獲得と営業体制が課題

今はリピーターのお客さまが多い分、これから新規のお客さまをどう獲得していくかが課題です。二人ともデザインや制作の人間なので、営業を担当する人がいません。営業代行など、外部の支援も今後検討していきたいと思っています。

学生へのメッセージ

好きなことをやり直しはきく

私も大学生のころ、学生団体が発行するパンフレットに載っていた、大学の卒業生で起業した方のインタビューを見て、かっこいいなと思ったんです。起業とまではいかなくても、自分の意思で縛られずに進んでいきたいと、そのとき漠然と感じました。今回のインタビューの話をいただいたとき、その気持ちを思い出しましたね。何をやろうか迷っている学生さんも多いと思いますが、若いうちはやり直しがきくので、まずは自分の好きなことを突き詰めてみてほしいと思います。そのほうが、きっと後悔はないはずです。

編集後記

今回のインタビューでは、新卒1年での倒産、ブラック企業での経験を経て、わずか2年ほどの間に起業へと踏み切った決断の速さがとても印象的でした。何度もの逆境を糧に、二人だけで会社を十何年も続けてこられた原動力は、「価格」だけでなく「お客さまへの寄り添い」という姿勢の変化にあると感じます。営業体制の強化という次の課題に向けて、今後どのように挑戦されていくのか、私自身も楽しみにしています。貴重なお話をありがとうございました。