株式会社シーズンで代表取締役をしている清水数希です。全国のスーパーやドラッグストアに設置されているリサイクルステーションの利用促進 や、web制作、デジタルマーケティングなどを手がけています。もともとは父が創業した会社で、私はそれを受け継いだ二代目という立場になります。
父が会社を立ち上げた理由
「人に指示されたくない」
株式会社シーズンは、私の父が創業した会社です。2023年ごろに、父から私が引き継いで社長になりました。あまりかっこいい理由ではないのですが、父はもともとサラリーマンをしていて、人から指示をされるのがあまり好きではなかったみたいなんですよね。もとは印刷ブローカーとして印刷の仕事をしていたのですが、この仕事だったら自分でもできるぞと思ったらしいんです。まわりの同僚や社長を見ていても、自分でもできるかもと思ったみたいで。「自分でもできそうだ」というのと「人に指示されるのがいやだ」という、この2つが重なって創業したという経緯です。
資源回収の機械から生まれた、幅の広い事業
店頭のリサイクルステーションをまるごと支える
弊社の事業は、ちょっと特殊です。全国のスーパーやホームセンターの店頭に「リサイクルステーション」というものがあって、たとえばペットボトルを入れるとポイントがたまる機械があるんですよ。イオン系だとその回収機に入れるとWAONポイントがもらえたり、セブン系だとnanacoがもらえたりする機械が、2,500台以上くらい置いてあります。弊社は、その機械のメーカーさんと仲がよくて、設置にまつわる販促をまるごと担っています。
設置しただけでは使ってもらえないので、キャンペーンと言って、この期間に持ってきてくれたらボックスティッシュをプレゼントする、といった催事をおこないます。オープニングキャンペーンでは使い方を説明するスタッフを派遣したり、新聞折込のチラシを配ったりと、こうしたリサイクル機器ができたことを知ってもらうための販促をおこなっています。
デザイン・イベント・マーケティングの3本柱
弊社の事業は、デザイン・イベント・マーケティングの3つが大きな柱となっています。まずデザイン事業については、BtoBクライアント向けの会社案内や製品カタログの制作、コーポレートサイトの構築、動画制作、さらには展示会でのブース装飾まで多岐にわたります。ただ作るだけでなく、お客様のブランドイメージを正しく伝えるためのクリエイティブを追求しています。
そして、リサイクルステーションの設置に伴うイベント運営、SEO対策やWEB広告といったデジタルマーケティングまでを一貫して手がけています。たとえばDM(ダイレクトメール)を送る際も、デザインを変えてA/Bテストをおこない反響を分析するなど、オフラインとオンラインの両面から成果を最大化させる施策を提案しています。デザイン・イベント・マーケティングというこの3つの事業がバランスよく機能し、それぞれの専門性を発揮していることこそが、弊社の強みです。
2033年に50人体制を目指している
削るより、投資して売上をつくる
弊社が目指しているのは、2033年に50人の会社にすることです。広告予算は不景気だと真っ先に削減されがちですが、費用に対してそれ以上の効果が見込めるのであれば、むしろ積極的に予算を投じるべきだと私たちは考えます。だからこそ、単にお願いして売上を上げるのではなく、クライアントの目的や目標達成に向けた総合プロモーションを提案し、確かな成果で投資に見合う価値を提供すること。この発想で、クライアントと共に成長できる強い組織体制を築いていきます。
10人ちょっとで幅広くやっていた時代
なぜ50人なのかと言うと、少し前の3〜4年前くらいまでは10人ちょっとしかいませんでした。10人ちょっとの規模にしては、やっていることの幅がすごく広くて、web制作やパンフレット制作、展示会、動画制作、イベントなど、なんでもやっていたんですよね。そうすると、社員みんながジェネラリストでないと厳しくなってきます。たとえばデザイナーひとつとっても、web用のデザイナーと紙用のデザイナーとでは考え方がまったく違うんですよ。それでも弊社は幅広く事業をおこなっているので、お客さまに合わせて最適な提案をしたいという思いがあって、なんでもできる人が多く、広く浅くになりがちなところもありました。ただ、弊社のビジネスモデルを考えると、やれることはどんどん広げていく方向を目指したいと思っていて、たとえばSNSも、以前はやっていなかったのですが、いまはおこなっています。
採用と教育がずっと課題
チームで動くことに慣れていなかった
弊社は創業から40年を超えていますが、そのわりに、10人前後の体制が長く続いてきたんですよね。10人くらいの規模だと、チームで動くというより、営業がいて、デザイナーがいて、というかたちが中心でした。いまはディレクターやマーケターも在籍し、チームでおこなう案件も増えてきていて、規模が大きくなってきています。ただ、まだチームで動くことに慣れていない部分もあって、情報共有がうまくいかず、自分だけでやってしまうというのが、弊社の悪しき伝統みたいなところとしてあります。優秀な人が多いからこそ出てしまう課題だとも思っています。
中途社員が最初に戸惑うところ
採用は中途採用がメインなのですが、中途で入社した方は、それまでの会社でのやり方があるんですよね。それを弊社に合わせてもらう必要があって、「弊社はこういう仕事の仕方をしているから、こうしていこうね」「これを大事にしているからね」という部分が、まさに教育の部分になります。弊社は幅の広いサービスを軸に提供しているので、そこに戸惑う中途の社員もいます。「私はそれをやったことがないんだけど」という声もあるのですが、弊社はやったことがないこともどんどんやっていこう、というスタンスなんですよね。それが自分のノウハウになって成長につながるからです。採用のときにはそこを弊社の強みとして伝えて入ってもらうのですが、実際に入ってみると、少し違ったという感覚を持つ方もいます。人を増やしていく必要があるからこそ、採用と教育はずっと弊社の課題になっています。
学生時代は授業に出ない生活だった
大学生のころは遊んでばかりで、まったく勉強しませんでした。バイトばかりして、友達と飲みに行くような日々でした。授業にはほとんど出ません、というくらいの生活をしていました。
就活生に伝えたいこと
ギャップがあること自体は普通
そういう生活をしてきたなかでいまは経営者という立場になったのですが、学生さんに伝えたいことがあります。どんな会社に入るかは、みなさんいろいろ考えると思うのですが、入ったあとに結構ギャップはあると思うんですよね。「思っていたのと違うぞ」とか、上司ガチャのようなことも含めて、1日でやめてしまったり、3ヶ月でやめてしまったりする方も多いと思います。ただ、私が思うのは、どこの会社に入っても、思っていたのと違うことや理不尽なことは必ずあるということです。そこに不満を置いたまま終わらせるのではなく、入った会社で自分がどう働くか、その環境でどう成果を出すかをまず考えたほうが建設的だと思っています。みなさんは熱心に企業研究されていると思いますが、ちょっと違うなと思ったときにそこで愚痴をこぼすのではなく、その環境でどうやって働いていくのかを考えるスタンスで、ぜひ仕事をしてほしいなと思います。そう考えたほうが、仕事は前向きに、ポジティブに楽しくなっていくはずです。
大手にも負けない対応力
お客さまを深く知ることが強み
弊社の差別化のポイントは、事業の幅の広さと企画デザイン力、それから対応力の3つです。このなかでも絶対に負けないと思っているのが、対応力の部分です。お客さまがどういうビジネスモデルでやっているのか、なぜこのカタログを作りたいのかといったことは、深くヒアリングしないとわからないんですよね。弊社はこのヒアリングのレベルがかなり高くて、お客さまのことを深く知ったうえでデザインや企画をつくっています。だからこそ、しっかり刺さるデザインや企画ができるんだと思っています。
広告代理店では、大手さんのような企業が出てくるコンペもあります。それでも、お客さまを知るということに関しては、弊社は30人ほどの規模ですが、大手にも負けないと思っています。時間をかけてお客さまのことを誰よりも知っているのは、弊社の営業なんですよね。だからこそコンペに採用されますし、お客さまにきちんとマッチした企画やデザインの提案ができます。これがお客さまとの長いお付き合いにつながっていて、30年以上、紙の会社案内だけのお付き合いから始まったお客さまが、いまではweb制作や動画制作までいろいろ相談してくださるようになっています。お客さまを深く知って、ヒアリングして理解する。この対応力こそが、弊社ならではの強みだと思っています。
編集後記
早稲田大学3年生で、学生ながらビジネスにも挑戦している立場から今回のお話をうかがいました。とくに印象に残ったのは、削るのではなくあえて投資するという考え方です。厳しいときほど守りに入りたくなるものですが、そこで攻めるという発想は、就活を控える身としてもとても学びになりました。清水さんの、環境でどう成果を出すかを考えるほうが建設的、という言葉も、これから社会に出る前にしっかり心に留めておきたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。
メタディスクリプション:株式会社シーズン代表取締役・清水数希さんに、父からの事業承継や2033年に50人体制を目指すビジョン、採用と教育の課題についてうかがいました。