サッカー部でのケガがきっかけ
私は今年で31歳になるのですが、四年制大学を卒業してサラリーマンを経験したあとに独立をしました。就職活動をしていたころから、いつか自分でビジネスを起こしたいという漠然とした思いをずっと持ちながら会社員生活を送っていました。
今はパーソナルジムを二店舗経営していますが、もともとジム経営をやりたいと思っていたわけではありません。自分の強みを改めて考えたとき、大学の終わりごろに出会った筋トレを通じて体が変わり、人生が豊かになったという実体験が一番近いものだったので、そこから事業を始めました。
きっかけは大学三年生の後半です。ずっとサッカーをしていたのですが、腰のヘルニアが再発してしまい、引退までボールを蹴れそうにない状態になりました。所属していた大学のサッカー部の施設にパーソナルトレーナーの方がいて、マンツーマンで体を見ていただける環境があったので、そこで仲良くなっていろいろ教わっているうちに、三か月ほどで体が大きく変わったのが、私にとっての成功体験になっています。
前職での経験と独立への思い
前職はレバレジーズという人材紹介の会社で、看護領域のキャリアアドバイザーをしていました。体育会系の社風で自分自身は働きやすさを感じていましたが、今やっていることとは全く違う職種です。その後、転職を経てエンジニア職も三年ほど経験しました。
独立を意識するようになった背景には、自由という価値観がありました。サラリーマンという働き方には時間的な制約もあり、収入にもある程度の上限があります。当時からそうした制約のない働き方を、頭のどこかで考えていたように思います。
三鷹台と深大寺、二つの店舗
現在は東京都三鷹市と調布市で、パーソナルトレーニングジムを二店舗運営しています。百店舗規模の展開を目指しているわけではなく、自分の目が届く範囲で、地域に密着した形で五店舗、十店舗ほどまで着実に広げていきたいと考えています。
ジムに通うこと自体が難しいエリアにお住まいの方向けに、オンラインで食事面をサポートするオンラインダイエットコーチングというサービスも別軸で展開しています。オンラインでのトレーニング指導は、細かい体の動きまで見切れないという理由から、今のところ現実的ではないと考えています。
カフェのような空間をつくる理由
パーソナルジムはすでにコモディティ化が進んでいて、都内の主要エリアだけでも競合が数多く存在します。価格ではなかなか差がつきにくい中、弊社が大切にしているのは、スタッフの育成に加えて、いわゆる「ジムっぽくない」空間づくりです。
私自身トレーニング歴が十年近くあり、鏡張りでマシンがずらりと並ぶような本格的なジムも大好きなのですが、実際に来店されるお客様の多くは、トレーニング未経験の方や、過去にジムに挫折した経験のある方です。威圧感のある空間では続けにくいと考え、コーヒーマシンや観葉植物を置き、居心地の良さを大切にした、鍛えるというより整えるジムを目指しています。
言語化という壁
開業当初、特に難しかったのは指導の言語化でした。開業前に副業でパーソナルトレーナーを三年ほど経験していましたが、自分の感覚では長年できてしまうトレーニングでも、いざお客様に指導しようとすると、関節の動きや体の角度といった細かい部分を言葉にするのが難しいという課題がありました。今も採用したスタッフの指導を通じて、この言語化と指導の標準化に向き合い続けています。現在はスタッフを含めて業務委託の四名で運営しています。
これから広げていきたいこと
まずは弊社、Re:Glowという会社の認知度を広げていくために、目の前のお客様にしっかり向き合いながら、必要とされる分だけ店舗数を三店舗、五店舗、十店舗と着実に増やしていきたいと思っています。
一方で、パーソナルトレーニングまでは踏み出せないという方が一定数いらっしゃることも肌で感じています。そうした方とのギャップを埋めるために、オンラインでの施策や、実際に動き始めているピラティスの導入など、市場のニーズに合わせた新しい取り組みも進めています。立ち止まらずに、少しずつでも前に進み続けることを大切にしています。
学生へのメッセージ
前職では人材紹介の仕事を通じて、多くの方の働き方に関わらせていただきました。私自身も営業職からエンジニア職へと転向し、そこから起業してサービスを立ち上げるという流れで、いろいろなキャリアを歩んできました。振り返って思うのは、結局はやってみないとわからないということです。
大企業に入って一生そこで働くという働き方が少しずつ減ってきている中で、そうした働き方を否定するつもりはありませんが、自分が輝ける場所はどこかにあるはずだと思っています。私自身、最初に入った人材業界のやり方に馴染めず離れた経験もありますし、次のエンジニア職でも、他社のプロダクトをつくることにはなかなかモチベーションを持てませんでした。今、自分で起業してサービスをつくる中では、時間を忘れて没頭できる感覚があります。
何が自分に合うのかは、実際に飛び込んでみないとわかりません。試行をやめないこと、常に考え続けることが何より大切だと思います。特に若いうちは、もがきながら自分に合うものを探し、楽しい人生をつかんでいってほしいと思います。誰にでも、そのチャンスはあるはずです。
編集後記
サッカー部でのケガという思いがけない出来事から筋トレに出会い、人材業界やエンジニア職を経て今の事業にたどり着かれた保戸塚様のお話からは、遠回りに見える経験もすべて今につながっているという実感が伝わってきました。「ジムっぽくない」空間づくりや、指導の言語化にこだわる姿勢からは、初心者に寄り添う誠実さを感じます。やってみないとわからないという言葉を胸に、自分自身も一歩踏み出す勇気を持ちたいと思いました。