平凡な学生だった、でも好きなことだけは譲れなかった
バスケと美術、ふたつの夢中
学生時代は、本当に平凡な学生だったと思います。勉強はあまり得意な方ではなかったのですが、部活動には一生懸命打ち込んでいて、中学、高校とバスケットボールを続けていました。もうひとつ夢中になっていたのが美術です。小さいころからずっと好きで、いつかそういう仕事に就きたいという気持ちもありました。ただ、芸術系の仕事はなかなか数が少なくて、現実的には難しいものだなと感じていました。
深く考えずに選んだ進路
高校を出たあとは、美術系の短大に進学しました。とはいえ、将来のビジョンをしっかり持って進路を選んだかというと、正直そうではありません。今思えば、あの時期にもっと先のことを考えながら学校や道を選んでいればよかったな、と振り返ることもあります。当時はどこか能天気に構えていた部分もあって、深くまで考えていなかったというのが正直なところです。
前職の福祉の仕事で学んだこと
人との関わり方を学んだ日々
短大を卒業してからは、長く福祉関係の仕事に携わってきました。この仕事を通じて学んだのは、いろいろな人との接し方や関わり方です。地域に根差した現場だったこともあって、人とのつながりの大切さを肌で感じる毎日でした。今の事業にもこの経験がそのまま生きていると感じています。
趣味で磨いたマーケティングの感覚
仕事とは別に、当時は仲間内でゲームをつくって発信するという趣味に没頭していました。マーケティングを仕事にしていたわけではありませんが、こうした活動を通じて自然と発信の感覚が身についていったように思います。この経験と、もともと持っていた挑戦したいという気持ちが、のちの創業につながっていきました。
40歳を目前に、ようやく踏み出した一歩
もっと早く挑戦していればという思い
創業に至ったのは、40歳を迎える手前のタイミングでした。人生を振り返ったときに、ずっと挑戦したいという気持ちを持ち続けていたことに気づいたんです。本当はもっと若いころから考えて、早く創業できていればよかったのですが、当時は自分に自信もなかったですし、社会人としての人脈もまだまだでした。そうしているうちに年齢を重ねてしまったのですが、思い切ってチャレンジしようと決意しました。
前職のつながりがそのまま事業に
今の会社では福祉用具や介護用品の販売も手がけていますが、これは前職で長く関わってきた業界だからこそ実現できたことです。当時からのお客様に声をかけていただき、メディア事業とあわせて取り組むようになりました。
狭いエリアで、深く関わる経営スタイル
エリアを広げず、あえて絞る理由
会社があるのは静岡県富士宮市です。実は創業したばかりのころは、今よりもう少し広いエリアで活動していました。ただ、エリアを広げることで、サービスが行き届かなくなってしまう場面が増えて、それなら狭いエリアで地道に、濃厚に関われる形の方がよいと考えるようになりました。これは前職の経験からも感じていたことです。エリアを広げるとサポートがどうしても薄くなってしまうので、逆にエリアを絞って一つひとつに濃く関わる方が、自分たちの強みになると思っています。
富士宮という土地の柔らかさ
静岡県、とくにこのあたりは柔らかい人、優しい人が多い印象があります。前職からずっと、人に対して困るという経験があまりないんですよね。気候が穏やかなことも関係しているのかもしれません。地方でのびのびと働きたいという学生さんには、静岡はおすすめできる土地だと思っています。
利益だけを追わない、地域とともにある経営
大事にしているのは、人とのつながりです。ただ自分たちの利益だけを追い求めるのではなく、地域全体にとってメリットになることを考えながら進めていくようにしています。地域に特化しているからこそ、内容の濃いサポートができることが、いちばんの強みだと感じています。
経営者になって見えてきた景色
スケジュール管理という新しい難しさ
経営者という立場に立ってみると、これまでとは視点がまったく違うことに気づかされます。とくにスケジュール管理は、以前よりもしっかりやらないと物事が回らなくなってしまうので、そこは大変だと感じる部分です。とはいえ、大変というよりも楽しいと感じることの方が多いですね。
自分の目標に向かって進める喜び
自分で会社をつくってよかったと思うのは、自分がやりたい方向性に向かって、目標を定めながら進んでいけることです。地域に特化したサービスをここまで育ててきましたが、今後はエリアを広げていく視点も持ちながら、ひとつ目標を達成したら次の目標に向かうという流れをつくっていきたいと思っています。
これからの目標、地域に欠かせない存在へ
まだまだ成長段階の会社です。まずは会社としての基盤をしっかり整えること、そして今おこなっているサービスを少しずつ育てて、地域にとってなくてはならない存在にしていくことを目指しています。そのためには、もう少しスピード感を持って取り組んでいく必要があると感じていて、時間の使い方は今のわたし自身の課題でもあります。
学生へ「悔しない選択を」
僕自身、40歳を迎える手前で起業して、今があります。学生時代にああしておけばよかった、こうしておけばよかったという思いは、正直今でも残っています。だからこそ、今の若い人たちには同じ後悔をしてほしくないんです。まだ若いうちは、失敗してもやり直しはいくらでもできます。40代になったわたしでさえそう思うのですから、やりたいことや目標があるなら、どんどん挑戦してもらいたいです。
それは起業に限った話ではなく、趣味でも何でも構いません。やりたい、挑戦したいと思ったら、すぐに行動に移すことが大切だと思います。わたしたちが学生だったころは起業のハードルが高くて、資本金も500万円以上必要な時代でした。今は1円からでも起業できますし、AIをはじめとしたさまざまなサービスも登場していて、挑戦しやすい環境が整っています。ぜひ、後悔のない選択をしてほしいと思います。
編集後記
今回、中村さんのお話をうかがって印象に残ったのは、「後悔しない」という言葉を何度も繰り返されていたことです。学生時代は将来をあまり深く考えていなかったという中村さんが、40歳を目前にして一歩を踏み出した姿は、年齢に関係なく挑戦していいのだと教えてくれるものでした。地域に深く根差しながら事業を育てていく姿勢からも、目先の利益だけでなく、長い目で物事を見る大切さを学ばせていただきました。私自身もまだ学生ですが、迷ったときはまず動いてみるという中村さんの言葉を、これからの選択の指針にしたいと思います。