インタビュー

「スマッシュヒットを生む場所でありたい」広告からクラフトビールまで、Stay Hungryが挑戦を続ける理由

「スマッシュヒットを生む場所でありたい」広告からクラフトビールまで、Stay Hungryが挑戦を続ける理由
PROFILE
株式会社ステイハングリー 代表取締役
大西 隼人

会社員時代から独立まで

人を売る仕事だった

新卒で広告代理店に入り、そこから同じ業種で転職して、10年ほど会社員として働いていました。学生時代から起業を考えていたわけではないので、まさか自分が会社をやるとは思ってはいませんでした。ビジネスの基礎を学べたのは会社員時代のおかげですし、その経験があったからこそスムーズにいったことも間違いなくあります。

とくに音楽業界や映画業界といったエンターテインメント領域は、物を売るのではなく、人やことを売る仕事です。人とのつながりと自分だけのノウハウ、そしてガッツがものをいう世界でした。土日も朝も夜もないような働き方をしていましたし、エンタメ業界特有のハードさは人よりも経験してきたと思います。そのころに培った粘り強さが、独立してからも支えになっています。

半年かけて円満退社

広告代理店は一人ひとりの裁量が大きい業界で、スキルによって働き方も成果もまったく変わってきます。スキルがついてくるとお客さまもついてきて、少しずつ「大西君に頼みたい」と言われるようになっていきました。

3年目あたりから自分の力がついてきた実感があり、5年目には「これは自分でもいけるな」と思い始めました。そこから1年ほど準備期間を設けて、独立したときに助けてもらえるよう各所に交渉していきました。6年目で独立を決めたときも、会社に迷惑をかけたくなかったので半年のリードタイムを取り、その間は業務委託のような形で会社を手伝いながら独立の準備を進めました。社長と取締役にもきちんと事情を伝え、お互いに損のない形で送り出してもらったという経緯です。

選ばれ続けるために、信頼を積み重ねる

続けることに価値がある

ホームページを見ていただくとわかるとおり、当社のクライアントには大きな企業も多く含まれています。大手企業の担当は、その枠に食い込むこと自体が非常に難しく、そこを維持し続けるのはもっと大変です。

大手企業では思いつかないような提案や、幅広い営業手法を持って向き合うことで、「この会社になら任せてみよう」と思ってもらえるようになります。ただ、1回任せてもらっただけで満足するのではなく、そこから継続して信頼を積み重ねることが大切だと考えています。事業もプライベートも、継続することを常に念頭に置いてきました。1年、いえ3年かかることもありますが、それを積み重ねてきたからこそ大手企業とのお取引が実現できていると思っています。

時代とともに変わる広告

直接つながる時代へ

当時はメディア側の力が強く、たとえばテレビや雑誌を扱うには必ず大手の代理店を経由しなければならない時代でした。小さな会社やスタートアップと直接仕事をするという発想自体があまりなかったと思います。それがwebやSNSの台頭によって、企業とダイレクトにつながれる時代に変わっていきました。デジタル黎明期からその変遷を見てきたことは、私にとって大きな財産になっています。

今はだれでも事業を起こせる時代になり、企業に所属する人たちの働き方や価値観も大きく変わってきました。振り返ってみると、今の時代がいちばんいいのではないかと思っています。

スマッシュヒットを生む場所でありたい

100人が5万人になる瞬間

エンタメの現場では、まだ100人規模のライブ会場で会話をしていたアーティストが、5年後には5万人を集めるようになる姿を間近で見てきました。本人がアーティスト業に真剣に向き合い、その周りのスタッフが支え、どんなときも乗り越えていく過程をずっと見続けていると、関わった人たちも一緒に強くなっていくんですよね。ヒットを共に体験し、共に作り上げるという経験ほど大きな財産はないと思っています。会社が大きくなるほど、その体験を共有できる人は少数になっていきます。

だからこそ、私たちの中でスマッシュヒットを生む場をつくり、そこに関わる人を増やしていきたい。広告でもクラフトビールでも、根っこにあるのは人の心を動かすこと。僕らが大切にしている『Entertain you』も、そこにつながっています。関わった人たちが新しい世界を外に作ってくれることで、社会に貢献したいというのが会社としての思いのひとつです。

広告の魅力を伝えたい

広告代理業はかつて、人気の就職先ランキングに入るほど花形の仕事でした。今はそのポジションが少しずつgoogleやamazon、スタートアップなどに移り、広告代理店を志望する熱量は下がってきているように感じます。

それでも、広告が世に出たときの感動や、テレビcmを見て人の心が動いた瞬間の力は、なくしたくないと思っています。若い世代に広告の本当の魅力や考え方を伝えていくことは、ビジョンというよりミッションに近い感覚です。クリエイティブを追求すること、そして足で稼いで得られる本当のターゲティングの価値も、伝え続けていきたいと考えています。

二度目の挑戦、クラフトビール

新人1年目の気持ちで

会社が10周年を迎えたタイミングで、新たにクラフトビールの醸造所を立ち上げました。私にとってはこれが2回目の起業のようなものです。ステイハングリー自体の立ち上げは、これまでお話ししてきたとおり会社員時代のつながりもあって、それほど苦労はありませんでした。ただ、クラフトビール事業はまったく勝手が違いました。私には飲食のキャリアはなく、クラフトビールが好きでよく飲んでいたという程度からのスタートです。

自分たちでプロダクトをつくり、リアルな場でお客さんと接点を持ち、そこからコミュニケーションを生み出していく。広告で培ってきた経験とリアルな体験を掛け合わせながら、新しいエンターテインメントをつくっていきたいと思っています。

これまでエンタメ業界で積み上げてきたビジネスの作法は、飲食店系の業界にはそのまま通用しません。今も新人1年目のような気持ちで、足を運んで挨拶をし、いろいろな話をして、翌日にはお礼のメールを送るという基本を大切にしています。今も苦労の渦の中にいますが、それも含めて楽しんでいます。

学生へのメッセージ

怖がらず前に出てみる

やってみれば、意外となんとかなるものです。怖がらずに前に出てみたらいいと思います。学生であれば、失敗しても必ずだれかが助けてくれます。だから、いろいろなことに挑戦してほしいです。「ステイハングリー魂のもとに」というのが私たちからのメッセージです。

編集後記

エンタメ業界での経験を土台に、大手企業からの信頼を積み重ねてきた大西さんのお話からは、営業力だけでなく「継続すること」への一貫した姿勢が伝わってきました。会社員時代に半年ものリードタイムを設けて独立したというエピソードは、周囲への誠実さを大切にする人柄がよく表れていると感じました。10周年を機にまったく畑違いのクラフトビール事業に挑戦されている姿からも、学生に向けたメッセージに嘘がないことがよくわかるインタビューでした。