東京での活動経験を活かし、福岡での起業へ
コロナをきっかけに福岡へ戻った
私はもともと東京で俳優活動と舞台プロデュースをしていたのですが、コロナのタイミングで地元の福岡に戻りました。俳優をやっていた分、俳優に対しての思いが強くあり、バイトをせず、お芝居だけで生活できる状態を俳優たちに届けたいという思いが芽生えました。
福岡の俳優が置かれている環境に気づいた
芸能活動はずっと東京でやってきたので、福岡に戻ってきたときに「福岡の俳優さんたちはどういう活動をしているのだろう」と気になりました。調べてみると、テレビ局がドラマを撮れていなかったり、映像のお仕事が少なく舞台が主な活動という現実がありました。その現状を変えるべく、今の会社を創業し、縦型ショートドラマを軸にいろいろな案件を獲得しながら福岡でもお芝居の現場を作っていくことが出来ました。おかげさまで今は、弊社の俳優はみんなバイトをせずに生活できています。今よりもさらに年収をアップさせて、いずれは東京の地上波やNetflixなど、福岡や地方にいても芸能活動ができるという希望のような存在の会社になっていけたらいいなと思っています。
プレイヤー目線を武器にした事業とマネジメント
俳優からショートドラマの経営者になった強み
弊社では、マネジメントや育成の活動に加えて、縦型ショートドラマの制作にも取り組んでいます。舞台にも出ていましたし、俳優からショートドラマアカウントの経営者になっている人はなかなかいないと思います。どちらかというと私自身、経営者というよりはクリエイター側、プレイヤーの感覚が強いんです。俳優たちがどういう壁にぶつかり、どんなことに悩んでいるのかは、自分も通ってきた道なので、ある程度プレイヤーに寄り添ってアドバイスできたり、プレイヤーの気持ちがわかるからこその言葉選びができたりする点が強みです。
再生回数だけを追わない経営
今、脚本家さんなどいろいろな方を合わせると20名ほどのメンバーと仕事をしていますが、みんなクリエイターでありスペシャリストです。再生回数が伸びるものだけを作るのではなく、伸びないかもしれないけれど、こういうことをやっていきたい、チャレンジしていきたい。そういう、現状維持にならない見せ方を大事にしています。どうやったらクリエイターの熱意が上がって、わくわくしていくんだろう。そんなことを常に考えながら会社を経営している感じです。
単発の案件では、prでさまざまな企業様とタイアップさせていただいたり、制作面では福岡のTVQさんやJR九州さんと一緒に企業様のアカウントを立ち上げ、ショートドラマで運用していったりもしています。弊社に所属する俳優やクリエイターの仕事を増やしていきたいという思いはもちろんありますが、福岡の俳優市場そのものを広げて環境を整えていくことも大切だと思っています。競合と見られるような、ほかのプロダクションに所属している子たちでも積極的にキャスティングして、みんなで福岡を盛り上げていきたいという気持ちがあります。
養成所から始まった福岡ドットコム
福岡に戻ってきて一番最初に立ち上げたのは、俳優の養成所でした。今運営している縦型ショートドラマのチームは、その養成所でお芝居を学んで力をつけた子たちを引き上げてできたチームです。養成所からのつながりは今も続いていて、現場もきちんと経験できる養成所を作りたいという思いが、少しずつ形になってきているのは嬉しいところです。
九州とアジアの架け橋へ
韓国とのつながりを広げていきたい
福岡にいると、必然的にアジア、なかでも韓国がとても近い存在に感じます。年に一回ほど、みんなで韓国に撮影に行ったりもしていて。韓国の企業様や制作会社ともつながりながら、九州とアジアの架け橋になれるような存在の会社になりたいと思っています。今は韓国企業への営業も進めながら、韓国の視聴者にも作品を届けていきたいと準備しているところです。
AI時代だからこそ、リアルなエンタメを
AIが強くなればなるほど、逆にお客さんとリアルで一緒にエンタメを作っていくことの需要が高まっていくと感じています。映像だけでは表現しきれないところが必ずあって、人が携わることの価値は今後もなくならないと思っています。グローバルな展開も見据えながら、この時代だからこそ大事にできる情熱を届けていきたいです。
一人で抱え込まず、周りに頼ってほしい
やりたいことの根本にあるものを大事にしながらも、同僚や後輩、先輩など、一人で抱え込まずにいろいろな人に相談してほしいと思っています。相談することで助けてもらえることは、実はとても多いんです。私自身、一人で24時間考えて答えが出ないよりは、12時間考えて出ないなら、答えを持っていそうな人に相談しに行く方がいいと思っていて。抱え込まずにいろいろな人に力を借りながら、楽しく仕事をしていくのがいいのではないかなというのが、私からのメッセージです。
相談することをかっこ悪いと感じたり、プライドが邪魔をしたりすることもあると思います。そのプライド自体は大事にしてほしいのですが、実際に先輩に気軽に相談してみると「確かにな」と思うことがたくさんありました。悩んでいる時間そのものも大切だとは思いますが、考える時間は無限ではありません。だからこそ、周りに頼る力も大事にしてほしいと思っています。
編集後記
今回のインタビューでは、俳優としての経験を経営に活かしながら、福岡という地方から芸能活動の可能性を広げていく松原様の思いを伺うことができました。数字や条件だけでは見えてこない、現場に寄り添う姿勢や、九州とアジアをつなごうとする視点がとても印象的でした。相談することへの前向きな捉え方は、就職活動をひかえる私たち学生にとっても、これからの働き方を考える上でのヒントになると感じます。貴重なお話を、ありがとうございました。