インタビュー

陸上で挫折、カーリングで日本選手権へ。回り道の先に見つけた「臆せず動く」経営哲学

陸上で挫折、カーリングで日本選手権へ。回り道の先に見つけた「臆せず動く」経営哲学
PROFILE
株式会社セールスマーケティングファーム 代表
米澤 俊一

大学時代 ― 何でもやってみた青春

陸上部の怪我でカーリングへ

出身は日本体育大学です。中長距離の陸上部として寮生活からスタートしたのですが、1年生のときに怪我をしてしまい、部活を続けられなくなりました。日体大はスポーツの大学なのでサークルがなく、大学から新しいスポーツを始める人はほとんどいません。それでも何かやってみたいと思い、大学の図書館で見つけたのがカーリングでした。まったく経験のない競技でしたが、2年生から本格的にのめり込んでいきました。ジュニアの日本選手権にも出場し、のちに日本代表になるチームと対戦したこともあります。

30種類以上のアルバイト経験

学生時代はアルバイトにも力を入れていて、お菓子の販売や総菜の販売、靴の販売など、思いつく限りいろいろな仕事を経験しました。数えてみると30種類くらいはあったと思います。今の仕事に直接生きているかと聞かれると難しいところですが、いろいろなパターンの働き方や商売のやり方を肌で知ることができたのは大きな財産になっています。フレキシブルに何でもやってみるという姿勢は、この頃から身についていたのかもしれません。

起業のきっかけ

上場企業でのストックオプション

大学を卒業してから、とある一部上場企業に5年ほど勤めていました。当時は終電で帰れたらラッキーというくらいの、かなり忙しい営業会社でした。ちょうど勤めていた会社が上場したタイミングで、社員に付与されていたストックオプションを行使する機会があり、まとまった資金を得ることができました。世の中には起業がブームだった時代の空気もあって、これを機に自分でも会社を作ってみようと思うようになりました。

同僚と起業するも失敗

ストックオプションで得た資金をもとに、同僚と一緒にIT系の会社を立ち上げました。ただ、目論見なくして成功はないもので、うまくいかずに失敗してしまいました。その後は別のベンチャー企業を2社ほど渡り歩き、そこでの経験を積んでから、あらためて今の会社を設立しました。実は会社を作るのはこれが2回目になります。ベンチャーに勤めるか自分でやるか、どちらかしか選んでこなかった人生です。

現在の事業 ― FAX営業代行10期目

1社20円で営業代行

現在の会社は、企業の取引先開拓を代行するBtoB専門のサービスをおこなっています。手法はFAXで、しかも今期でちょうど10期目を迎えました。インターネット広告の費用が年々上がっていくなかで、あえてアナログなFAXを使うことで、1社あたり20円という低コストでの営業代行を実現しています。営業マンを雇う余裕がない小さな会社からの依頼も多く、根強い需要を感じています。

根強い需要を武器に

10年間、いろいろな業種、いろいろな規模の会社の取引先開拓を代行してきました。そのなかで、どんな企業にアプローチすれば取引につながりやすいか、どんな提案の内容にすれば反応が良くなるかという知見が、他社よりも比較的たまっていると感じています。単に表示させる、送るというだけではなく、お客様に納得していただける中身をあわせて考えられることが、弊社の強みだと思っています。

YouTube発信の試行錯誤

求人動画も営業図鑑も失敗

YouTubeは8年くらい前から発信をおこなっています。最初はリクルート目的の動画を出したのですが、登録者ゼロの状態から求人が来るはずもなく、まったく反応がありませんでした。その後、営業のノウハウを紹介する企画にも挑戦しましたが、こちらも1ミリも再生されないという結果に終わりました。うまくいかないことばかりでしたが、そのぶんいろいろな発信の形を試すことができました。

コロナ禍の給付金動画が急伸

企業向けの発信から個人向けの発信へと少しずつ内容を移していくなかで、コロナ禍の特別定額給付金について取り上げた動画が大きく伸びました。さらにその2年後、給付金の2回目があるかもしれないという話題で発信したところ、140万回ほど再生される動画になりました。それをきっかけにチャンネル登録者もぐっと増え、個人向けの発信のほうが伸びやすいということがよくわかりました。

チャンネルを2つに分離

個人向けの発信が伸びたことで、そのままホームページの営業代行の情報とも紐づけてしまっていた時期がありました。ただ、そうすると営業代行の会社としてのGoogleからの評価が薄れてしまうことに気づき、今は個人向けの給付金などを扱うチャンネルと、サービスを紹介するチャンネルをはっきりと2つに分けています。それぞれの目的に合わせてすみ分けることで、より正しく届けられるようになりました。

新サービス「AIO」への挑戦

Google(グーグル)に記事が認識されず

半年ほど前まで、弊社のホームページの記事はGoogle(グーグル)にほとんどインデックスされていない状態が続いていました。500ページ近く作っていたにもかかわらず、そのうち450ページくらいが検索結果に出てこないという状態だったのです。全力で作り続けていたからこそ、この失敗の大きさに早く気づくことができました。この経験が、記事の作り方をあらためて見直す原動力になりました。

先週、1社目と契約

記事の作り方を直してから4、5ヶ月ほど経ったころから、AIに認知されるようになっているのを実感しています。月の初めに比べても、10倍以上の変化が出てきました。この知見をもとに立ち上げたのが「AIO」に関する新しいサービスで、単に表示させるだけでなく、お客様に納得していただける中身もあわせて提案できることを強みにしています。先週、記念すべき1社目の契約をいただくことができました。

経営で大切にしていること

臆せずやってみる

経営をするうえで大切にしているのは、あまり臆せずにやってみるということです。うまくいくかどうかを計算しすぎると、なかなか一歩目が動かなくなってしまいます。絶対にこっちだと思って進んだことが、あとから真逆だったとわかることも山ほどありました。それでも、全力でやってみないことには、それが失敗だったのかどうかもわかりません。今の学生の皆さんにも、とにかく行動してみることをお伝えしたいです。

これからの挑戦

スモールビジネスを世界に

弊社はもともと「スモールビジネスを、世界に広げる。」というビジョンを掲げて事業をおこなってきました。インターネット上でしっかりと紹介されることが、AIエーアイにも紹介してもらえる時代になったことで、まさにこのビジョンを実現しやすい環境が整ってきたと感じています。中小企業や小規模な会社が、良いサービスをより多くのお客様に届けられるきっかけをつくっていくこと、それがこれから挑戦していきたいことです。

編集後記

今回、米澤さんのお話をうかがって、いちばん印象に残ったのは「臆せずやってみる」という言葉でした。私自身も自分でビジネスをおこなっていますが、うまくいくかどうかを考えすぎて動けなくなることがよくあります。陸上からカーリングへ、そして会社員から起業へと、環境が変わってもとにかく飛び込んでいく米澤さんの姿勢から、たくさんの勇気をいただきました。これからのAIO事業の広がりも、楽しみにしています。