インタビュー

学歴社会に挫折して、経営者になった

学歴社会に挫折して、経営者になった
PROFILE
株式会社VIGONOVA 代表取締役CEO
北岡 雄大

大学生でYouTube運用を任された

現在は、テレビ番組制作やYouTubeを活用したマーケティング支援をメインにおこなっています。

もともとは大学3年生のころ、動画編集かプログラミングかで迷った末に動画編集を始めました。大学4年生のときには、企業の社外取締役という立場で、YouTube運用の授業をひとりで任せてもらう機会にも恵まれたんです。当時は固定給をもらいながら、個人でも月80万円ほどを売り上げており、学生ながら「個人事業主としても十分やっていける」という手応えを掴んでいました。

ちょうどそのころ、個人の年間売上が1,000万円を超えていたこともあり、このまま就職活動を続けるか、それとも組織に属さず独立するかを本気で迷い始めました。

そんなとき、背中を押してくれたのは、当時一緒にYouTubeの撮影をしていた経営者の方の一言です。「君はどこかに就職するより、経営者のほうが似合っているんじゃない?」その言葉が深く胸に刺さり、迷いが吹っ切れました。自分の力を信じてみようと覚悟が決まり、そのまま起業の道へ進むことにしました。

挫折だらけの学生時代が、起業の原動力になった理由

私のビジネスの原動力は、学生時代の苦い経験にあります。

高校時代はサッカーの強豪校で圧倒的な実力差を前に挫折し、大学前半も目標を見出せず、ただ何となく時間を浪費するような無気力な日々を送っていました。

しかし、「このままの自分ではいけない」と一念発起し、大学3年生で出会ったのが動画編集です。「自分の力で真っ当に勝負して、人生を変えたい」と強く思うようになり、大学4年生でチャンスを掴んだYouTube運用の授業には、これまでにない熱量で没頭していきました。

起業のきっかけは起業サロンだった

大学4年生で起業へと至った経緯は、少し特殊なものでした。

当時、盛り上がりを見せていたオンラインサロンに参加していたのですが、そのオーナーから「参加者の中から次のリーダーを立てて、新しい会社を作りたい。北岡、「YouTube運用を手伝ってくれないか」」と声をかけられたんです。これが大きなきっかけとなり、トントン拍子で会社が発足することになりました。

とはいえ、会社の経営も組織の動かし方も、当時は右も左もわからない状態でした。それでも「実務を任せられる存在」として、サロンを通じてつながった多くの経営者の方々の撮影やYouTubeマーケティングを、次々と担当させていただくことになりました。

ビジネスの現場で実践を重ねながら、無我夢中で駆け抜ける日々。その中で、多くの経営者の方々の信頼に応え、実務をカタチにしていくことで、経営者としての基礎力とタフさが一気に鍛えられていきました。

不動産に特化した映像マーケティング支援

創業からずっと続けているのは、不動産に特化したYouTubeマーケティングの支援です。もちろん、いろいろな業界のクライアントも担当していますが、軸足は不動産に置いています。

YouTubeの支援から始まって、現在ではテレビ番組制作にも領域を広げました。編集だけでなく、放送作家やカメラ、ディレクター、フロアディレクター、SNS運用まで、番組制作に関わる工程を弊社ですべて担い、プロデューサーとして入らせてもらうこともあります。スポンサーをつけてキャスティングを実写でおこなうケースもあり、テレビ番組制作の幅広い部分を支援しています。キー局にとどまらず、地方の主要ローカル局や準キー局の番組制作を数多く手がけています。

最近では、不動産に特化した採用・人材周りの事業も立ち上げました。今は「映像×不動産」というセグドメイン(特定領域)業態を軸に、マーケティングと採用の両方を支援する会社になっています。

テレビ制作で700万円の赤字を出した

苦労した経験は、あるお笑い芸人さんの番組を、さきほど話した座組で制作したことがありました。YouTubeしかやったことのない人間がテレビの世界に入ったので、まったく別の世界に戸惑いながらの挑戦です。結果として、赤字受託で700万円近い赤字を出してしまいました。それまで大きな赤字を出したことがほとんどなかったので、かなり苦戦した経験のひとつです。

もうひとつの課題は採用まわりです。今5期目に入りましたが、2期目まではひとり社長のような形でやっていました。3期目で初めて人を採用したものの、うまくハマらないこともありました。ひとりでずっとやってきたぶん、自分のやり方はわかっていても、チームとしてどう動くかがまったくわかっていなかったんですよね。この課題感は今も引き続きあって、採用がうまくハマれば事業がもっと伸びるという感覚があります。

2年で10億、5年で100億を目指す

定量的な目標としては、目下2年で売り上げ20億円、5年以内に100億円を目指しています。

その根っこにあるのは、私の人生理念です。結論からいうと「幸せになる場をつくりたい」というのが軸にあります。日本に生まれて、物も情報もあふれていて、小学生でも携帯を持てる時代に、僕は今の仕事がすべてなくなったとしても、地元に帰れば美味しい干物があるし、釣りをすれば一日が終わる。この経験があれば、地方に行っても暮らしていけるだろうと思っています。

そのうえで私が考える幸せの定義は、目標があること、それに挑戦していくこと、挫折やストレスがしっかりかかること、それを分かち合える仲間がいること、そしてプライベートでやりたいことができる時間とお金があることの5つです。テレビで赤字を掘ったときも、苦痛のなかにいるほうが生きている心地がしましたし、それを達成したときの喜びも大きいものでした。人生を幸福にする材料を、弊社からたくさん届けられたらと思っています。

もうひとつ大事にしているのは、それぞれの得意や色を生かせる環境をつくることです。どんな人にも、その人にしか発揮できない固有の強みが必ずあります。魚が海でしか泳げないように、大切なのは「どこで勝負するか」という環境の選択です。向いていない場所に無理に自分を合わせる必要はありません。それぞれの個性を認め合い、一人ひとりの「色」がそのまま活きる社会をつくっていきたいです。

わかりやすい会社の目指すところでいうと、不動産領域における人材紹介(RPO)とYouTubeマーケティングの分野で、日本一を取ることをビジョンとして掲げています。

学生には無駄な遊びを勧めたい

学生時代は、勝負のロジックや駆け引きを学べるような「一見、無駄に思えるカルチャー」にしっかり時間を使うべきだと考えています。合理的なことばかりを学ぶのが学生生活ではありません。そうした「余白」や「大人の遊び」のなかにこそ、世の中のリアルな仕組みや、人間関係の縮図が隠されているからです。

タイパーやコスパが重視される時代だからこそ、それを無視して時間を無駄遣いできることが、ある種の豊かさだと感じています。お金と時間はよく比較されて、時間のほうが優先度が高いといわれがちですが、自分の意思決定で好きなように無駄に過ごせる時間は、社会に出るとほとんどなくなります。

無駄に見える遊びが、名刺代わりになることもあります。「世界一周してきました」だけでは弱いかもしれませんが、「学生時代にポーカーの大会で優勝しました」のようなエピソードのほうが、意外と印象に残るものです。行き急ぐ必要はまったくないと思っています。

もうひとつ大事にしているのは、何かをやり切るグリット力です。新卒に求めるレベルはそこまで高くできないからこそ、何をやり切ったかというエピソードが強みになります。長期インターンに行くのであれば、「展示会の営業で100アポを取り、30%を商談につなげた」というような、大人が評価しやすい実績をつくれるかどうかが差になると考えています。

編集後記

今回、北岡さんのお話を伺って、学歴社会での挫折をバネに、実務経験を積み重ねてきた経緯がとても印象的でした。無駄な遊びを勧めるメッセージは、タイパを重視しがちな今の学生にこそ響く内容だと感じます。挑戦とストレスの先にある幸せの定義は、私自身のキャリア選びにも参考になりました。貴重なお話をありがとうございました。