好きだったWeb制作が、今の仕事の原点
私は畜産を学ぶ学部の出身ですが、学生時代に一番夢中になっていたのはホームページ制作でした。自分でサイトを作り、「どうすれば多くの人に見てもらえるのか」「どんな情報なら届くのか」を試行錯誤する時間がとにかく楽しかったんです。部活動や勉強にも取り組んでいましたが、気づけば趣味だったWeb制作に多くの時間を費やしていました。振り返ると、この経験が今の仕事の原点だったと思います。
25歳で事業を立ち上げ、30歳で会社をつくった
「会社をつくろう」と決めたのは数日前
25歳のとき、同い年だったプログラマーと一緒に事業を始めたのが、この仕事のスタートです。その後、30歳でその体制に一区切りがつき、「これからどうしていこうか」と考えるタイミングが訪れました。当時の私は、「これから先も、いろいろな事業に挑戦していきたい」と考えていました。その時々で興味を持つことや実現したいことは変わります。それらを一つひとつ形にしていける環境が欲しいと思ったんです。学生時代から好きだったホームページ制作やプログラミングを軸にしながら、デザイナーやエンジニアが集まり、人の力を掛け合わせられる会社という形が、自分には一番合っていると感じました。
そこで会社をつくることを決めました。
とはいえ、綿密な事業計画を立てて起業したわけではありません。「会社をつくろう」と決めたのは、本当に数日前です。当時は会社設立の方法もほとんど分からず、大阪市の創業支援制度があることすら知りませんでした。まさに手探りの状態でスタートしたので、最初は壁にぶつかることばかりでした。それでも18年続けてきたことで、ようやく自分が思い描いていた会社の形に近づいてきたと感じています。
上場企業や官公庁のWeb制作を支える
大規模サイトを中心に事業を展開
現在の事業は、ホームページ制作とシステム開発です。ホームページ制作というと、美容室や飲食店、士業などの小規模事業者向けをイメージされることも多いですが、弊社が主に手がけているのは、上場企業や官公庁、自治体をはじめとした大規模なWebサイトです。企業規模が大きいからこそ求められる品質や運用体制があり、その期待に応えながら制作・開発を続けています。
制作会社はゴールではない
私にとっての「製造工場」
現在、制作会社として積み重ねてきた組織や技術は、私にとって一つの目的ではありません。むしろ、自分がこれから挑戦したい事業を実現するための「製造工場」のような存在です。社内にはデザイナーやエンジニアがいて、アイデアをすぐに形にできる環境があります。だからこそ、制作会社として人数を50人、100人と増やすこと自体を目標にはしていません。今ある土台を生かしながら、新しい事業を次々と生み出していく。そのための会社でありたいと思っています。実際、AIの進化によって制作・開発の効率も大きく変わり始めています。その変化を追い風にしながら、年間で複数の新規事業を立ち上げられる体制も少しずつ整ってきました。創業当初は遠回りの連続でしたが、ようやく目指していた形が見え始めています。
技術よりも難しかったのは、経営者になること
「安くて良いものを作ればいい」と考えていた
18年間を振り返ると、一番苦労したのは技術ではなく、経営者としての考え方を身につけることでした。創業当初は、「安くて良いものを提供すれば、お客様に喜んでもらえる」と考えていました。もちろん、その考え方自体は間違っていません。しかし、それだけでは会社は続きません。利益を生み出し、社員を守り、次の挑戦に投資しながら事業を成長させていく視点が必要です。そのことを理解するまでには、多くの失敗を経験しました。壁にぶつかるたびに考え、改善を繰り返す中で、少しずつ経営者としての視点が身についていったように思います。
ビジネスとは、価値を最大化する仕組み
「1の努力で100の価値を生み出す」
今、私が大切にしている考え方があります。それは、ビジネスとは世の中への貢献を最大化する仕組みだということです。例えば、一つの努力で100の価値を生み出せるのであれば、それだけ多くの人に貢献できます。個人が一人で頑張ることにも価値はあります。一方で、組織や仕組みをつくることで、その価値は何倍にも広げられます。だから私は、「どうすれば価値を最大化できるのか」という視点で、事業を考え続けています。これからも、この考え方に共感し、一緒に新しい価値を生み出していける仲間と出会っていきたいと思っています。
共感する仲間と出会うために、発信を始めた
価値観を伝えなければ、必要な人には届かない
これまで私は、自分の考えや価値観を積極的に発信することをあまりしてきませんでした。XやYouTubeなどのSNSで発信することにも、どちらかというと苦手意識がありました。しかし、会社を成長させていく中で、自分の考えに共感してくれる人と出会うことの大切さを強く感じるようになりました。同じ方向を向いて一緒に挑戦できる仲間と出会うためには、まず自分が何を考え、何を目指しているのかを伝える必要があります。そう考え、昨年頃から音声配信を毎日続けています。発信を始めたことで、自分の考えを整理する機会にもなりましたし、価値観に共感してくれる人との接点も少しずつ増えています。
同じビジョンを持つ人と、ともに価値をつくる
私にとって仲間というのは、必ずしも社内のメンバーだけを指すものではありません。例えば、ジョイントベンチャーのような形で一緒に事業をつくるパートナーも仲間です。また、取引先であっても、同じ方向を向き、同じ価値観で仕事ができるのであれば、それも大切な仲間だと考えています。大切なのは、所属する場所ではなく、「何を実現したいのか」という目的を共有できるかどうかです。これからも、自分たちだけでは生み出せない価値を、さまざまな人と力を合わせながら形にしていきたいと思っています。
これからも、目的から逆算して価値を生み出す会社へ
変化する時代だからこそ、柔軟に考える
私が大切にしているのは、手段にとらわれないことです。現在はホームページ制作やシステム開発を事業の柱にしていますが、それ自体が最終的な目的ではありません。大切なのは、「どれだけ世の中に価値を届けられるか」ということです。その目的を実現するために、今の事業が最適であれば続けますし、別の方法があるなら柔軟に変えていけばいい。手段は、あくまで目的を達成するためのものだと考えています。今ではAIを活用して情報収集をしたり、アイデアを壁打ちしたりすることもできます。昔よりも挑戦するための環境は大きく変わっています。だからこそ、目の前の方法に縛られるのではなく、「何を実現したいのか」というゴールから逆算して考えることが大切だと思います。
本気で向き合えば、仕事は変えられる
最初から答えが見つかっている必要はない
学生や若い世代の方から、「自分が本当にやりたいことが分からない」という相談を受けることがあります。ただ、最初から明確な答えを持っている人ばかりではありません。私自身も、学生時代に好きだったWeb制作が、結果的に今の仕事につながりました。最初から「これを仕事にしよう」と決めていたわけではありません。興味を持ったことに夢中になり、試行錯誤を続けた結果、現在の形になっています。仕事も同じです。最初から自分に完璧に合う仕事が見つかるとは限りません。目の前の仕事に本気で向き合い、工夫を重ねることで、そこに面白さや価値を見つけられることもあります。
学生時代だからこそ、自由に挑戦してほしい
失敗できる時間を大切にする
学生時代は、自分の興味に自由に挑戦できる貴重な時間です。興味を持ったことがあれば、まずはやってみればいいと思います。もし違うと感じても、方向転換すればいい。社会人になると、責任や制約が増え、純粋な気持ちで試行錯誤できる時間は少なくなります。だからこそ、学生のうちにたくさん挑戦し、自分が何に夢中になれるのかを探してほしいと思います。
18年前、ほとんど準備もない状態で会社を立ち上げました。振り返れば、失敗も遠回りもたくさんありました。しかし、その経験があったからこそ、今では自分たちが目指す会社の形が少しずつ見えるようになっています。制作会社という土台を生かしながら、新しい事業を生み出し続ける。そして、一つひとつの挑戦を通じて、より大きな価値を社会に届けていく。これからも、そんな会社であり続けたいと思っています。
編集後記
もっとも印象に残ったのは、制作会社を「製造工場」と表現された場面です。事業そのものが目的ではなく、やりたいことを形にするための土台。そう位置づけているからこそ、人数を増やす方向へは向かわないという判断にも一貫性を感じました。
少しビジネスをかじっている身として、私はつい「何をやるか」ばかり考えてしまいます。けれど赤西さんの言葉を借りれば、それは手段の話。giveの最大化というゴールが先にあって、手段はあとからついてくるという順番なのだと気づかされました。ゴールが決まっていないなら好き勝手やればいい。学生の今だからこそ受け取っておきたい一言です。