インタビュー

留年を繰り返した学生が、コロナ禍の空き物件から焼肉店経営を始めるまで

留年を繰り返した学生が、コロナ禍の空き物件から焼肉店経営を始めるまで
PROFILE
株式会社MRホールディングス 代表取締役
善元 正樹

独立のきっかけ

コロナ禍で物件が動きやすかった

独立は、以前から考えていました。人生を振り返った時に、なにか自分でも事業をやりたいという思いがずっとあって、ちょうど40歳になったタイミングでコロナがはじまったったんです。当時役員を勤めていた会社もコロナで打撃を受け、新事業を模索する中、 候補に焼肉があり、自身の創業としても、以前より着目していた焼肉業態を選びました。

低価格で食べられるお店が増え、条件だけで選ばれがちな時代だからこそ、逆にちゃんと思いを届けられる事業をやりたいという気持ちもありました。

創業のタイミングでは、コロナ禍で空いた物件が出やすかったことも大きかったですね。資金調達も、平時に比べると動かしやすい面がありました。そういった社会の状況が、独立の後押しになったのは間違いありません。

手がけている事業

和牛からうなぎまで、複数のブランドを展開

いまは焼肉店を中心に、複数の業態を展開しています。焼肉店を13店舗、国産牛をお値打ちにご提供するとともに卓上サーバーでレモンサワー飲み放題も出来る『まるよし精肉店』という祖業の主力業態を11店舗、上質な和牛にこだわった少し高級な業態を1店舗、そして客単価3,000円程度で、一人でも気軽に入れるカウンター中心の焼肉店も、最近京橋の期前にオープンしたばかりです。

そこから派生する形で、強みのお肉のメニューも取り揃えた大衆酒場を3店舗展開しています。さらにお肉を鉄板で楽しんでいただく鉄板肉食堂や、焼肉とはまったく違う業態として、うなぎの専門店も手がけています。

「フィロソフィー」で経営理念を浸透させる

店舗数が増えていくと、経営者としての思いが現場まで届きにくくなってきます。私が普段言っていることを、幹部を通して店長に伝えて、店長からスタッフに伝えてもらう。時には直接伝える、この意識をあわせていくことは、いまもずっとすごく大事にしていますし、もっと深めていきたいと思っているところです。

弊社には、創業時につくった経営理念や行動指針はありました。ただそれだけでは、具体的にどう行動すればいいのかが伝わりにくい面もあって。そこでいちど、思想をあらためて言語化した「フィロソフィー」というものを作りました。日々の言動をそこに照らし合わせて考えていくという、いわばマインド面の取り組みをおこなっています。

めざす未来

「食で街をつくる」三方よしの会社に

弊社の経営理念は「出店地域のお客様に美味しい・楽しい幸せな時間をご提供して喜んで頂き、共に働く仲間が物・心豊かになっていくこと」です。それをビジョンとして置き換えると、いまは「食で街をつくる、三方よしのええ会社にする」ということを掲げています。

具体的には、感じのいい人があふれる会社にしていきたいと思っています。明るくて元気、人に親切で、仲間思いで、思いやりがある。そういう人を増やしていけるような会社でありたいと思ってやっています。

また、中期的な目標としては「トリプルスリー」という言葉を社内でよく使っています。2029年6月に、「30店舗、店舗利益3億、社員さんの平均年収30%増」を目標にしています。

学生時代

単位不足で5年半かけて卒業した

学生時代は、正直まったく褒められたものではありませんでした。2回生ぐらいまでずっと遊び惚けて留年していて、3回生になった時も単位が4単位しかなかったくらいです。結局、5年半ほどかけて卒業しました。

お酒を飲んで遊んで、というような、ゆるゆるの学生生活を送っていましたね。周りから見ると意外に思われるかもしれませんが、そんなものです。

卒業後は人材派遣の会社で営業の仕事を2年ほど経験し、そこから父が共同経営していた縁もある会社で飲食業に携わるようになりました。

学生へ伝えたいこと

正しい努力を積み重ねる

経営者として成功したい、周りの仲間を豊かにしたい、自分のビジョンを実現したいと思うなら、努力しなければ実現できません。なんとなく行きたい場所にたどり着けることはなくて、行きたいところがあるなら、それだけの努力が必要だと思っています。

大事なのは、正しい努力を積み重ねることです。間違った方向に努力しても意味がありません。もちろん努力したからといって必ずたどり着けるとは限りませんが、努力しなければ絶対にたどり着けない。自分がどこに行きたいか、どうなりたいかが見えていれば、逆算して細かく考えなくても、自然と登り方を考えるようになると思います。

学生の頃は、無目的、無目標の典型的生き方でしたが、経済雑誌を見て「営業で結果を出して、高い報酬を得る、1000万プレーヤー」という姿にかっこよさを感じたのがきっかけで、少しずつ意識が変わっていきました。

やり方より大事な「あり方」

大学では経済学や経営学、仕事のやり方の基礎をたくさん学ぶと思います。もちろん「やり方」も大事です。ただ、大事なのは「やり方」だけではなく両輪となる「あり方」だと、私はよく社内でも話しています。

飲食店で言えば、お肉のカットや盛り付けといったオペレーションは「やり方」の話で、これはこれで磨いていく必要があります。ただそれ以上に大事にしたいのが、お客様、仲間に対する「あり方」です。感じのいいお店、感じのいい人であろうということを、ずっと伝え続けています。

人に感謝できる、気持ちのいい挨拶ができる、明るく楽しくチームワークよく取り組む。 当たり前のことのようですが、これがやはりベースにあって、とても大事だと思っています。そうしていれば、自然と同じような人が周りに集まってくると思うんです。

社員はもちろん、アルバイトのスタッフでも、一時期でも弊社にいてくれたあいだにこの感じのよさに触れてもらえたら、それが社会に出たあとも、周りのだれかにいい影響を与えていけると思っています。そうやって感謝の気持ちを持てる人、周りを明るくできる人を、たくさん送り出していきたいと思っています。

編集後記

正直、正しい努力を積み重ねるという言葉が、いちばん心に残りました。「やり方」より「あり方」を大事にするという考え方は、学生生活でもアルバイトでも、すぐに実践できることだと感じています。ゆるい学生時代を過ごしながらも、明確な目標に向かって行動を変えていった経験には、勉強になる部分がとても多かったです。就職活動を控える身として、自分自身の「あり方」もあらためて見つめ直したいと思いました。貴重なお話をありがとうございました。