モップ一本から、全国8万件以上の現場を支えるDX企業へ
私は最初、製造業の会社に就職しました。しかし、その頃から愛読書はビジネス書ばかりで、「いつか独立したい」という思いを強く持っていました。
その後、1年ほどさまざまな職種を経験する中で、たまたま出会ったのがビルメンテナンスという仕事でした。
資機材もほとんど持たず、モップ一本から始めた事業が、今では全国8万件以上の現場を支えるネットワークへと育っています。
全国8万件以上を支える、日本最大級のメンテナンスネットワーク
「できない」と言わない
現在、当社の業務の中心となっているのが、全国に店舗を展開するチェーン企業のメンテナンスです。皆さんが普段利用しているコンビニエンスストアにも、さまざまな形で私たちのサービスが関わっています。
全国チェーン店を対象に、全国で統一した管理をおこなうという立場なので、基本的に「ここはできない」とは言わないスタンスでやっています。
今では全国で8万件以上の現場に対応できる体制を築いていて、これが当社にとって大きな強みの一つだと考えています。
世界を歩き、日本市場に最適化する
海外へ技術を学びに行く
海外に行く目的は、最先端の清掃ロボット、AI、IoTのセンサー、DX化といった、世界のビルメンテナンス業界や施設管理の先進的な技術や事例を学ぶためです。
海外はすでに標準化やデータ活用がかなり進んでいて、人の経験や勘に頼るのではなく、品質を安定させながら効率化を図り、働く人の負担を軽減する仕組みづくりが非常に進んでいます。
弊社はロボットを販売する事業もおこなっていますが、力を入れているのは販売そのものというよりも、こうした技術をどれだけ日本市場に合わせて最適化し、実際の現場で成果につなげられるかという点です。
弊社はR&Dにも力を入れていて、群馬県にC.D.R.Dセンターという拠点があります。
ここでは、世界中から集めた製品や技術を日本市場に適合させるための実証・検証を重ねています。
日本の属人化という課題
一方で日本の清掃業界は、長年続いてきたやり方をそのまま踏襲する傾向が、まだ多く残っています。ですので、私たちが新しいものを持っていっても、なかなかすぐには受け入れてもらえないという業界の課題があります。
世界を歩いて技術を集め、日本向けに実証・最適化していくことは、こうした業界の意識や常識を変えていくためにも欠かせないと思っています。
人手不足を仕組みで解決する
こうした業界の意識に加えて、もうひとつの大きな課題が人手不足です。
人手不足はかなり深刻な問題になっています。今はなんとか人が集まっているから大丈夫だと思っている会社さんも多いと思います。
ただ、これからさらに人が集まりにくい時代に入っていくことが予想されます。
弊社が目指しているのは、人を増やすことで人手不足という課題に対応するのではなく、テクノロジーと仕組みによって解決していくという考え方です。
人とロボットの共働
床はロボット、細部は人
そして、人手不足という課題を仕組みで解決していくうえで欠かせないのが、人とロボットの共働です。
人がやっている業務がすべてロボットに置き換わるとは思っていません。
人にしかできないことは人が担い、ロボットにできることはロボットに任せる。
人とロボットが共働していくことが、これからの清掃現場のあるべき姿だと考えています。
たとえば床の清掃については、今は洗浄ロボットで対応できる範囲が大きく広がっており、大きなモールや商業施設などでもロボット化が進んでいます。
一方で、壁などの立面や細かな箇所の清掃は、まだ人の技術や判断が必要です。それぞれの得意分野を活かすことで、人の負担を減らしながら、清掃品質を維持・向上させていくことができると考えています。
これからの3年、そして未来のビジョン
DX化をさらに加速させる
こうした人とロボットの共働の先にあるのが、これから弊社が目指していく未来です。
弊社は「未来の空間、そして環境を創造して社会に価値を提供するくうかんグループ」という理念を掲げています。
単なる清掃会社ではなく、空間の価値と清掃の未来を創る存在として、今後さらにDXを加速させ、新しい技術や仕組みを積極的に取り入れていきたいと考えています。
人手不足や労働力不足という社会課題に対し、テクノロジーと仕組みで解決策を提供していく。
それが、私たちがこれから目指していく大きなビジョンです。
学生に伝えたいこと
学生のうちは時間の融通が利く時期なので、ぜひ世界を見てほしいと思います。
就職活動では、どうしても開発などの華やかな仕事に目が向きがちだと思うんです。
けれども、あまり表には見えなくても、人々の生活や経済活動を支えている仕事はたくさんあります。
私たちの仕事もその一つだと思っています。
企業を見るときには、「その会社が何をしているのか」だけではなく、「その仕事が社会の何を支えているのか」という視点も持ってもらえたらうれしいですね。
興味を持ったら、ぜひ行動して現地に行ったり、人に会ったりしてみてください。
編集後記
モップ一本から始まり、睡眠時間の取れない三年間を経て、全国対応の仕組みを築いてきたという有賀さんのお話には、率直に胸を打たれました。私自身、学生起業に興味を持ち勉強している身として、「できない」と言わない姿勢や、競合が手を出しにくい独自領域を見つける発想は、事業をつくるうえで大きなヒントになりました。人とロボットが共働する未来像や、海外から学び続ける謙虚な姿勢も印象的でした。貴重なお話をありがとうございました。