インタビュー

歌舞伎町の現場目線×自社DX。ナイト産業の構造的課題を「本質解決」へ。

歌舞伎町の現場目線×自社DX。ナイト産業の構造的課題を「本質解決」へ。
PROFILE
株式会社MetaNight 代表取締役
古溝 敦

「独立者輩出」の言葉から始まった挑戦

「独立者輩出」という言葉との出会い

前職の求人広告代理店には営業未経験で入社し、まずは目の前の仕事に着実に邁進していました。転機が訪れたのは、入社から1年半ほどが経ったころです。当時の社長から「うちは独立する人間を輩出していく組織なんだ」と言葉をかけられました。その一言から「私にも業界の未来を変える選択肢がある」と視野が広がり、キャリアの可能性を深く意識し始めたのがすべての始まりでした。

現場経験という最大の武器

弊社のクライアントは、キャバクラやガールズバーといったナイトワーク業界の店舗様です。前職に入る前、私自身が新宿・歌舞伎町でプレイヤーとして現場に立っていた経験から、業界への理解と「周囲の代理店と競争しても十分に勝てる」という確固たる手応えがありました。組織づくりへの挑戦には当初身が引き締まる思いもありましたが、現場を知る自分だからこそ、この手で業界の未来を変えられるという自信が、思い切って一歩を踏み出す決意を後押ししてくれました。

ナイトワーク業界の現在地

人手不足より競争過多

「人手不足」と一言で片付けられがちですが、市場のリアルな実態は少し異なります。労働の供給に対して店舗数が過剰に増加しており、本質的には「採用の奪い合いによる過度な競争状態」に陥っているという側面が大きいと感じています。業界内での健全なルール遵守が求められる中、こうした歪んだ競争の激化こそが真の課題です。だからこそ、表面的な対策ではなく、構造そのものを適正化していくためのアプローチが必要だと確信しています。

採用単価は上がる一方

一般的な物価上昇のスピードと比較しても、求人媒体の掲載料金は驚くほどの速さで高騰しています。コロナ禍前であれば数万円で掲載できていたものが、現在ではその何倍ものコストを要しているという店舗様の声も、現場で多く耳にします。だからこそ、市場の実感としては単なる人手不足ではなく、「一人を採用するためのコスト(採用単価)が上がり続けている」という構造的な問題が大きいと考えています。

自社組織における試行錯誤

採用と育成のリアルな難しさ

独立して間もなく一年を迎えますが、この期間で最も深く向き合ってきたのは「自社の組織づくり」です。どれだけ優れた戦略やプロダクトがあっても、それを推進する人材の採用と、カルチャーにフィットする育成がいかに難しいかを身をもって実感しました。だからこそ、弊社は身を以て採用のリアルな難しさを知っています。この経験があるからこそ、同じように採用や定着に悩む店舗様の痛みが誰よりも理解できます。自社組織のアップデートに挑み続けると同時に、このナイトワーク業界全体の採用構造を、より強固で持続可能なものへと変革していきたいという決意がさらに強くなりました。

スピード感を求める人材の流入

弊社にエントリーしてくださる方は、ナイトワーク業界の出身者に限りません。むしろ、大手企業などの大きな組織に在籍する中で、「自分の成果が報酬やキャリアに反映されるスピードをもっと加速させたい」という強い成長意欲を持った方々が主流です。バックグラウンドにこだわるのではなく、個人の挑戦と成果をダイレクトに評価する環境だからこそ、志の高い人材が集まっています。

独自DXによる価値創造

テクノロジーでの差別化

求人広告の代理店という業態において、単なる媒体の提案だけで他社との明確な違いを生み出すことは容易ではありません。だからこそ弊社では、店舗様の採用業務そのものを本質的に効率化する、独自のDXサービスを自社開発して提供しています。表面的な広告掲載に留まらず、テクノロジーを駆使したスマートなアプローチを行うこと。この独自の付加価値こそが他社との決定的な違いであり、弊社がナイト産業の採用構造をアップデートしていくための強力な武器となっています。

労働力依存からの脱却

弊社のミッションは、単なる求人広告の代理業に留まりません。ナイトワーク業界が抱える構造的な問題を解決し、業界の変化や挑戦を強力に後押しすることに本質があります。この業界にはまだ、従来の慣習やしがらみにとらわれ、新しい仕組みへの導入に抵抗がある店舗様も少なくありません。だからこそ、そうした現場のリアルに即した形でAIや先進的なテクノロジーを実装し、業務を効率化していくことが不可欠だと考えています。媒体社から提供された広告をただ販売するだけでは、現場の労働力を消費して疲弊させるだけであり、根本的な解決には至りません。その依存体質から脱却し、テクノロジーの力で新たな付加価値を業界へ届け続けること。それこそが、弊社が目指すナイト産業の未来です。

経営者としてのスタンス

挑戦を後押しする責任

弊社が掲げるミッション・ビジョン・バリューは、求人広告という単一の事業だけに閉じたものではありません。ナイトワーク業界が抱える本質的な問題を解決し、業界全体の変化や挑戦を力強く後押しする存在でありたいという強い思いが、経営の根底にあります。目の前の商品やサービスを届ける現場の価値を大切にすることはもちろん、業界全体を俯瞰する立場としての責任を常に意識し、未来への変革を牽引していくことが、経営者として最も重要だと考えています。

学生へのメッセージ

一つを極める経験値

学生のうちは、勉強でもサークルでも、自分が「これだ」と思う何かに夢中になれれば、中身は何でもいいと思っています。社会に出たとき、「起業したいけれど一歩が出せない」という方を多く見かけますが、それはリスクへの不安よりも、自分を信じる根拠がまだ足りないからかもしれません。ですが、最初から大きなリスクを背負う必要は全くありません。今いる場所で一つのことを徹底的に極め、やり遂げたという経験値を作ること。その小さな積み重ねが、5年後、10年後に起業や大きな挑戦へ踏み出すとき、あなたを支える「圧倒的な自信」に変わるはずです。

編集後記

今回のインタビューでは、ナイトワーク業界という一見縁遠いテーマから、採用や組織づくりの本質的な課題が見えてきました。「独立」という新たな選択肢との出会いから始まり、それが業界そのものの未来を変えるビジョンへとつながっていくお話は、学生や起業を志す身としてもとても勉強になりました。「提示されたチャンスを自らの意志で掴み取る決意」も、未来を切り拓く立派な一歩だと感じさせられる取材でした。