東京への憧れから始まった入社
名古屋の田舎もんの夢
正直に言うと、最初から会社を継ぐつもりで入ったわけではありませんでした。名古屋の田舎もんが東京で1人暮らしをできるという魅力的な環境があり、そこにすぐ飛びつきました。1年間の測量専門学校に通う代わりに弊社に入ったというのが、入社のきっかけになっています。
父親の仕事がどんな仕事かは当然知っていましたが、正直に言うと死んでも営業なんかやるかと思っていました。頭を下げるなんてとんでもない、なんて考えていたんです。でも、なかなか思うようにいかない時期があって、そこに父親からの誘いがあったんですよね。
血族だから評価されない覚悟
自分の中では、何とか頑張って教師になりたいと思って、いろいろやれることはやっていたんです。それでも自分の実力のなさを感じてしまって、心にぽっかり穴が開いているような状態でした。そんなときに「頑張ってやるわ」ということで、まずは東京に行ってみたらどうだ、という紹介を受けたんです。
会社に入る前から分かっていたことがひとつあります。当然血族の人間なので、やっても評価されることはないだろう、ということです。だから自分は自分でベストを尽くそうと、入る前になんとなく心に決めていました。19歳の人間でもそのような気持ちを持っていました。
3代目からのバトンタッチ
4代目としての継承
弊社は父が創業者で、2代目、3代目と続いて私が4代目になります。3代目の社長には12年ほど務めていただいていたのですが、出資する会社の方で3代目に来てほしいという話があり、そちらへ移ることになったんです。そこで「あとは加藤が何とかやれ」ということになり、今の立場をいただくことになりました。
リストラの記憶が原点
自分がいつも心に留めているのは、西暦2000年に希望退職を行い、当時の従業員が半分ぐらいになってしまった出来事です。あのときのやるせない気持ち、なぜそんなことになってしまったんだろうという思いは、今でも自分の中でとても強いインパクトとして残っています。二度とそういうことを起こさないぞ、と自分に言い聞かせています。それが今の立場における、自分の中の原点です。
20年の営業一筋からマーケティングへ
「何じゃそれ」という世界だった
社長になる前は、マーケティング本部長や経営企画といった部署も経験させてもらいました。会社に入ってから20年近く営業オンリーでやってきたので、正直マーケティングや企画といった言葉は「何じゃそれ」という世界だったんです。営業をしている人間は、自分たちが主役だという気持ちで仕事をしているので、どうしても他の仕事を軽視してしまう癖があります。そんな仕事なんて死んでもやるか、と思っていた自分が、気づけばやることになっていたので、これはまずいと思いました。
無知だったと気づいた学び
それから自分なりに勉強もしましたし、その職種についている人たちから教えを乞うということもしていました。そこで改めて気づいたのは、いかに自分が無知だったかということです。会社は営業だけで動いているわけではありません。小さいながらも株式を公開していると、さまざまな手続きを踏んでいく必要があります。それを属人化させずに、システムや組織としてどう動かしていくか。それがとても大事なことだと、実際の仕事を通じて経験させてもらいました。あの経験は本当に大きかったですね。
公共とモビリティ、2つの柱
測量からモビリティへ
弊社は公共セグメントとモビリティ・DXセグメントという2つの事業を展開しています。公共セグメントは創業以来57年になりますが、測量関係のソフトウェアを中心に、最新の計測機器を組み合わせたソリューションをお客様に提供しています。モビリティ・DXの方は自動運転関連事業がど真ん中で、測量関係のソフトウェアの技術を駆使して、自動運転に必要な高精度な3次元地図データを整備し、その上で安心・安全に運行できるトータルなマネジメントを行っています。
大企業とのパートナーシップ
モビリティ・DXの方で公共セグメントと大きく違うのは、さまざまな大きな会社とのパートナーシップです。たとえば、グループ会社では三菱商事様と一緒に会社を作らせていただいていますし、通信ではKDDI様や、三菱電機様とは2010年からのお付き合いで、いろいろな形でパートナーシップを図らせてもらっています。大きな会社がなかなか手を出しにくい部分を、弊社ではスピーディーに対応する。大と小をうまく組み合わせながら新しい市場を作っていっています。
独立系メーカーとしての矜持
自分たちで作り、提案する
まず1番は、自分たちでものを作り、自分たちで提案して売っていく独立系のメーカーであること。2番目は、製品やプロダクトをソリューションに仕立て上げて、お客様の業務改善にどう貢献していくかというところに創意工夫があることです。弊社の社是にも通じる部分ですが、それを具現化していく楽しさがあると思っています。
風通しのよい社風
3つ目は少し照れくさいのですが、やはり風通しのよい企業風土があることです。私自身もそこはとても意識していて、役職が上だからどうこう、というのはもう昔の話です。トップダウンだけで動く時代ではありませんから、時代に合わせた柔らかい組織体系で会社を運営していこう、というのは常に意識しているところです。
社是に込めた想いとビジョン
自分たちの頭で考え、行動する
企業理念については、これは創業者が作った社是なのですが、「知恵・実行・貢献」という言葉です。自分たちの頭で考え、自分たちの考えたことをきちんと行動に移して、世の中や社会に貢献するソリューションや製品を作って出していこう、というところを大事にしています。今の世の中は変化のスピードがとてつもなく速くて、今日の常識が明日の非常識になってしまうんですよね。だからこそ頭を柔らかくして、前例主義にとらわれず、果敢に挑戦していこう、というところが大事だと考えています。
交通弱者のための自動運転
会社としては、創業以来培ってきた測量関係のソフトウェアを基盤に、社会インフラの整備をお客様である測量会社様や建設会社様に最適なソリューションとして提供し続けていくことが、弊社のミッションです。一方で、これからますます顕著になってくる交通弱者の方々、足がなくて運転はしたいけれど危ない、免許を返納したいという方々のために、自動運転の安心安全な社会実装を実現していくことも、私たちに課せられた社会的な役目だと捉えています。この2つをしっかりやり切っていくことが、弊社のビジョンです。
求めるのは、素直で正直な人
専門性より人柄
採用については、グループ全体で200人ちょっとと、まだまだ規模は小さいのですが、採用のメンバーと一緒に、年がら年中、採用活動をフルオープンで行っています。何年経っても同じことを言っているのですが、1番来てほしいのは素直で正直な方です。測量や自動運転という言葉から専門性を気にする学生さんもいらっしゃいますが、そこはまったく気にしなくて大丈夫です。いくらでもトレーニングする時間と場がありますから、正直で誠実、素直な要素を持った方に1番来てほしいですね。
制度を時代に合わせて
私が今の立場になって1番に手をつけたのは、当時65歳だった定年を70歳に変えたことです。元気なうちは安心して頑張って働ける環境を整えたいと思ったからです。テレワークについても、働き方改革について言われるより前から必要だと考えていて、今はコアタイムなしのフレックスとテレワークで、柔軟に働ける環境づくりを心がけています。少子化が進む中で、男性も女性も子育てにもっとポジティブに向き合えるよう、会社としてできることは全てバックアップしていく。大企業のように出会いの機会が多いわけではないからこそ、時代に合わせて体制を早く作っていこうと考えています。
前向きな思考を持っている方も、本当にありがたいですね。保守的になることも大事な場面はありますが、果敢にチャレンジして、たとえ失敗してもそれを糧に次のステップへ登っていけるような、前向きな方が個人的には好きです。
学生へのメッセージ、そしてAIとの向き合い方
足を運んで肌で感じてほしい
よく聞かれることですが、とにかく1社でも多く足を運んで、自分の肌でその会社を感じてほしいと思っています。自分の息子たちが就職活動をするときも、ネットの情報だけで判断せず、行きたいと思った会社は全部行って、見てこいと伝えました。その空間に自分の身を置くことで、そこでしか得られない情報や体感があります。人間の第6感というのは、意外と当たっているものなんですよね。どこの会社もいいことしか言いませんから、実際にその会社に足を運ばないと分からないことが、たくさんあると思っています。
AIは頼れる相棒
AIについては、自分たちがこれまでやってきた仕事をいかに効率化してくれるかという、相棒のようなものだと捉えています。1つのプレゼン資料を作るにしても、5、6時間かかっていたものが5分、10分で作れてしまう。効率がまったく違うんですよね。自分の仕事の中でAIが得意としている部分をきちんと理解して、そこをサポートしてもらえれば、これまで1しかできなかった仕事が1.5になり、経験が加われば1.7や1.9にもなっていきます。頼りがいのある相棒だと位置づけていますが、それがすべてではありません。あくまで道具であって、最後のジャッジをするのは人間だという部分は、大事にしています。
面白い会社だと思ってもらえたら
弊社は創業から今年で57年目になります。測量という、社会インフラの基礎になるとても大切な技術をサポートするソリューションを開発し、販売してきた独立系のメーカーです。近年ではその技術から派生して、自動運転に必要な高精度な3次元地図データや、それをコーディネートしていくコンサルティングの技術を駆使して、自動運転の社会実装に1歩でも早く近づけるよう努力しています。とても面白い会社だと思いますので、興味を持っていただけたら、ぜひ弊社に足を運んでいただけると嬉しいです。お待ちしています。
編集後記
取材を通じて印象的だったのは、加藤社長が「評価されない覚悟」で入社したという率直さでした。血族だからこそ結果で示すという姿勢や、20年の営業経験から一転してマーケティングを学び直した謙虚さに、経営者としての土台を感じました。学生に向けて「足を運んで肌で感じてほしい」という言葉は、情報があふれる今だからこそ響くメッセージだと思います。