インタビュー

「AIに選ばれるブランド」を可視化する ―Paragon・山田賢の挑戦

「AIに選ばれるブランド」を可視化する ―Paragon・山田賢の挑戦
PROFILE
株式会社Paragon 代表取締役
山田 賢

生成AI時代、見えないブランド価値に挑む

検索の答えがAIに変わった

私自身、ここ数年で今までは検索エンジンに聞いていたようなことを、AIに聞くことが日に日に増えてきているんですよね。自分と同じようにAI検索をしている人が増えていることを実感している一方で、企業の側にとってみるとその様な行動の変化を解析できるツールはないなと思ったのが創業のきっかけです。 

海外では去年の夏ごろから同じようなツールが登場し始めていて、その頃から実際に使ってみたり、自分だったらこういうツールが欲しいというところをいろいろ調べたりして、実際に作りました。会社を法人化したのは今年の3月で、準備を始めたのは去年の秋ぐらいからなので、私たちにとってもまだとても最近の出来事です。

存在しないのと同じになる

ある調査によると40%弱の人がAIを使って検索を行っているそうです。特に10代・20代では過半数の人がAIに質問して商品を調べたりしており、AIが提示した商品やサービスを実際に購入することが当たり前になっています。

つまり、AIに言及されないと、とくに20代の半分ぐらいの人に認知されないのと同じことになってしまうため、そもそも商品が存在しないのと同じようなイメージです。だからこそ、AIに自社のサービスや名前が言及されたり、引用されたりすることが、非常に重要になってきていると考えています。

20年、事業をつくり続けてきた

新卒はサイバーエージェント

起業する前は、大学を卒業して新卒でサイバーエージェントに入社しました。社員として、携帯電話向けのソーシャルゲームの黎明期に、ガラケー向けのゲームをつくったりしていました。だんだんスマートフォンのゲームへと移り変わっていった時期でもあります。

独立から12年

独立してからは、12年になりました。自分でソフトウェアをつくって企業に納品する仕事から始まり、暗号資産の交換所向けの金融サービスも手がけてきました。その後、下請けで手がけていたビットコイン関連のソフトウェアを、自社サービスとして開発していく方向にシフトしていきました。

今は2社を経営中

直近ではサプリメント事業も手がけていて、そういった事業を10年ほど続けてきました。現在は、ECの会社と、この株式会社ParagonというAIの会社の2社を経営しています。

苦労の連続、それでも前へ

毎週何かが起きる

会社に限らず、何か新しいものをつくるときには、うまくいくこともいかないこともあります。たとえば、事業に関する法律が急に変わって、それに急いで対応しなくてはならなくなるなど、事業ごとに、それぞれ苦労がありました。

それ以外にも細かいトラブルはたくさんあります。採用がうまくいかないことなど、個別に挙げるとキリがありませんが、毎週のように何かしらのトラブルは大小問わず起きるので、それに1つひとつ対応していくというところです。やりたいことを実現するために出てくる課題を、1つひとつ潰していくしかないと思っています。

AIに正しく伝わる世界を目指して

AI検索におけるブランドの見え方をスコア化

AI検索におけるブランドの見え方は認知しにくいものですが、 それをスコア化して、クライアントさんが皆さんに伝えたいことを、はっきりとAIに伝えてもらえるような世界をつくっていきたいと考えています。

たとえば「おすすめの化粧水は?」とAIに聞くと、AIは特定のブランドを名指しで推薦します。その回答に自社製品が出てくるかどうかは、企業にとって未来のお客さんとの出会いを左右する大事な要素です。ところが、推薦されているかどうかを企業側から確認する手段がないんです。

顧客の言葉が力になる

やりがいを感じるのは、実際にお客さんから「このサービスを使ってみて、自分たちが今どういう位置にいるかが見えて、今後のブランディングに期待ができる」と言っていただけるときです。そうしたお声をいただけるのは、本当にありがたいことだと思っています。

一歩ずつ、着実に

一発逆転はない、積み重ねだけ

ビジョンと現実との間には、常にギャップがあります。なかなか埋め方が思いつかない部分もありますが、どうしても少しずつでも、毎日できることをやり遂げていくしかないと思っています。いきなり一発逆転するような方法はなくて、着実にできることを一つずつ、毎日挑戦していく。自分自身にできることを少しずつ増やして、サービスをより良くしていくことしかないと思っています。

学生へのメッセージ

挑戦しやすい時代がきた

生成AIの登場によって 、非常に挑戦しやすい時代になったと思っているので、ぜひいろいろなことに挑戦してもらいたいです。今は情報があふれていて、そのあふれた情報を整理して自分に必要なことを調べることが、非常にやりやすくなっています。頭のいい先生や友達が、常に携帯電話の中にいるような感覚です。夜中で相談しにくいような時間帯でも、24時間質問できる相手がいて、しかも各分野のプロフェッショナルのような存在がいる。すごくいい時代だと思っています。

編集後記

「存在しないのと同じ」という言葉が、いちばん印象に残りました。検索がAIに置き換わっていく中で、自分たちの言葉がどう伝わっているかを可視化する発想は、私たち学生がSNSで見られ方を気にする感覚とも重なる部分があると感じました。3人体制で着実に積み重ねるという姿勢からも、多くを学ばせていただきました。