インタビュー

「経営課題を突き詰めれば、人の問題に行き着く」——25年で22,000人と向き合ってきた代表が語る、IMCコーチングの原点

「経営課題を突き詰めれば、人の問題に行き着く」——25年で22,000人と向き合ってきた代表が語る、IMCコーチングの原点
PROFILE
株式会社ブロード・コム 代表取締役 
稲田 昇

経営の課題は、結局「人」に行き着いた

最初からコーチを目指していたわけではない

実は、最初からコーチになろうと思っていたわけではないんですよね。人材育成の仕事をしようと決めていたわけでもなくて、もともとは会社の経営をしながら、たくさんの人と関わる仕事をしていました。

そのなかで気づいたのは、経営課題を突き詰めていくと、結局は人の問題に行き着くということでした。この人をなんとかしないと会社は発展しない。行き着くところは人なんですよね。人の問題を解決し、その人が持っている力を引き上げていかなければ、経営そのものが前に進んでいかないと感じるようになりました。

平均身長142cmのチームが、1年で全国大会に出場した

もうひとつのきっかけは、創業当時にやっていた小学生バスケットボールチームのコーチです。田舎の、平均身長142cmほどの、一試合も勝ったことがないチームでした。縁があって私がコーチを引き受けることになり、そこから1年で、なんと全国大会に出場したんです。

これを目の当たりにして、人の伸びる力は計り知れないと感じました。もともと中学・高校でバスケをやっていたこともありますし、自分の子どもがバスケを始めたのをきっかけに、そのチームを見ることになったんですよね。

仕事の面でも、プライベートのバスケットボールという面でも、この力の大きさを実感しました。会社においても突き詰めれば人になりますし、その人にはそれぞれ計り知れない可能性があります。ただ、伸ばし方がわからない方が多い。だからこそ、その人たちのために自分の力を使えないかと一念発起して、この会社を設立しました。

コーチングスクールと企業研修、その中身

スキルを教える学校ではなく、その人らしさを引き出す場所

事業内容は、コーチングスクールと、企業向けの研修です。ただ、コーチングのスキルを学ぶだけの学校ではありません。その人の内面を整え、メンタルのコンディションを最良の状態に持っていったうえで、持っている力を最大限に引き出していきます。

たとえば営業に必要なコミュニケーション力、これはつまりコーチング力なんですが、その人の実際の営業スタイルに合わせてスキルを組み合わせ、セールストークまで一緒に考えていきます。人にはそれぞれタイプがあって、そのタイプに応じたやり方にコーチングを重ねていくことで、その人らしいスタイルができあがっていくんですよね。

マンツーマンだから見える、それぞれの長所

一般的なスクールは一対多の集合レッスンが中心だと思いますが、私たちはマンツーマンをメインにしています。人それぞれで長所も才能も能力もまったく違うからです。

見極め方としては、会話をしているとある程度わかることもありますが、決めつけることはしません。占い師ではないので、確認をしながら「ファイリング」という作業をして、その人が持っている価値観や長所を引き出していきます。情報量が多いほど、そのファイリングの精度は高くなっていきます。25年間、社会経験と組み合わせながらこの手法を積み重ねてきました。

苦労してきたこと

ゴールのない、独自メソッドづくり

一番苦労してきたのは、独自のIMCコーチングを作り上げる部分かもしれません。既存の協会がやっているようなコーチングのパッケージをそのまま教えるのではなく、実践で使える内容に自分で仕上げ、加工していくスタイルだからです。

これまで累計で22,000人以上を見てきました。25年間、その一人ひとりと向き合い続けてきたなかで、常に新しい「新種」が現れます。たとえば最近ではAI時代ならではの若者の悩みなど、時代が変わればアプローチの仕方も変わってきます。せっかく仕上げても、それでまた振り出しに戻る。常にゴールがないという苦労がありますね。

今後のビジョン

PRで、もっと広く届けたい

課題は、この25年で熟成してきたものを、いかに広く伝え、広げていくかというところです。広げないともったいないと思っていますし、一人でも助かる人が増えればうれしいなと思っています。

全国100拠点、そして世界へ

今後のビジョンは、全国に100拠点を作ることです。今はフランチャイズを始めたばかりで、5拠点が手を挙げてくれている段階ですが、これを100拠点まで広げていきたいと思っています。

プラスして、メイドインジャパンのコーチングを世界に展開したいという気持ちもあります。今コーチングをしているのは、従業員ではなく、私が育てた講師契約の方々です。基本的には、元気なうちは自分の手で育てていきたいと思っています。

世界進出については、志を高く持って生徒として来てくれる人との出会いに支えられている部分が大きいんですよね。たとえば外資系の企業でM&Aなどに携わっている生徒さんが、今の日本語のプログラムをそのまま英語に変えて、すでにある海外の地盤で展開してくれる。人と出会いさえすれば、それは実現できてしまうものなんです。だからこそ学生の皆さんにも伝えたいのは、自分ができないと思っても、人と出会えば可能になるということ。そのためには、相手から大切にされる自分になることが大事なんですよね。

学生へのメッセージ

まず、自分を知ってほしい

AI時代は、とくに若者が自信を失いやすいと思います。AIが満点を取ってしまうので、若い人がいくら頑張っても、知識の部分ではかなわない時代がやってきます。そのぶん、報われないと感じて悩む人が多くなってくるはずです。

ただ、私が伝えたいのは、人間が持っている力はそんなものではないということです。AIにできないことは山ほどありますし、そもそもAIを作ったのも人間です。皆さんはAIにはない力を持っているのに、自覚しているのはその半分もないんですよね。本来、あなたの力はあなたが思っている倍以上あります。

コーチングの授業で「あなたのいいところを挙げてください」と言うと、最初は黒板に少ししか出てきません。でも質問を変えていくと、その長所は3倍から5倍ほど黒板いっぱいに増えていきます。自分のことがちゃんとわかれば、自己肯定感は自然と上がるようになっているんです。自信を持たなきゃと思う必要はなくて、ただ自分を知ればいい。知った自分で毎日を過ごしていけば、自信はおのずとセットでついてきます。

悩む前に、まず自分を知ってほしい。皆さんはものすごい力を持っています。

編集後記

今回、JIMCCA福岡コーチングアカデミーの稲田昇さんに取材させていただきました。私自身、自己肯定感が低いことに悩んでいたのですが、「知らないだけ」という言葉にとても救われました。25年間、22,000人以上と向き合ってきたからこそ語れる言葉の重みを感じ、取材中も予定していた原稿から離れて、その場で話してくださったエピソードのひとつひとつに引き込まれました。AI時代だからこそ、自分を知ることの大切さを改めて考えるきっかけをいただきました。貴重なお話をありがとうございました。