大学時代からJTB時代、営業という仕事との出会い
大学生活を思い切り謳歌した
大学は商学部に進みました。正直なところ、そのころは勉強よりもやりたいことに時間を使いたいタイプでした。大学生活って「人生の夏休み」なんてよくいわれるじゃないですか。まさにその言葉どおり、サークル活動を中心にしっかり遊んで、大学生という時間を思う存分エンジョイしました。今振り返っても、あのときやりたいことをやりきれたのはよかったなと思っています。
目指していたのはアナウンサーだった
就職活動を始めるときに考えていたのは、実はメディア関係でした。テレビ局の報道関係、なかでも第一志望はアナウンサーだったんです。ただ、結果的にそちらの道には進まず、旅行会社のJTBに入社することになりました。今の営業の仕事につながる原点は、この就職活動での方向転換にあったのかもしれません。
JTBで営業一筋の9年間
JTBでは2012年の入社から一貫して法人営業を担当していました。一般企業の社員旅行や、教育機関の修学旅行・研修旅行を企画から提案、添乗まで一気通貫で担当する仕事です。営業という仕事に対しては、正直そこまで苦手意識がありませんでした。すぐに成果が出たわけではありませんが、人付き合い自体は嫌いではなかったですし、面白さと成長を感じながら続けていきたいと思える仕事でした。2017年にはグループリーダーに昇任し、プレイヤーとして自分の数字をつくりながら、チームの数値管理や人材育成も担うプレイングマネージャーのポジションを経験しました。自分のことに加えてチームのことまで見なければいけないというのは、なかなか大変でしたね。
30歳、退路を断ってからの模索
突入した30という節目
起業したきっかけは、「自分の人生にもっと熱中したい」という想いでした。20代の頃は、仕事も私生活も充実していたのですが、どこか心の奥に物足りなさを感じていたんです。30歳を迎えて、これからの人生を真剣に見つめ直したときに、「このまま無難に生きていくこと」に違和感があるのだと気づきました。一度きりの人生だからこそ、自分の意思でもっと能動的に生きたい、熱中できることに挑戦したい。そう思ったことが、独立を決意したきっかけです。
辞めてから考えるという選択
30歳になったタイミングでも、次にやりたいことが明確にあったわけではありません。それでも、腹をくくって一度退路を断ってから考えようと思い、まずは仕事を辞めるところからスタートしました。別に死ぬわけではないですし、最悪また転職すればいい、そのくらい楽観的に構えて、いったん立ち止まってちゃんと考えてみようと決めたんです。
遠回りの末にたどり着いた営業代行
会社を辞めてから最初に手をつけたのは、アプリ開発やアパレルなど、自分が興味を持っていた分野でした。退職金と時間をそれらに投じてみたのですが、結果はすべて失敗に終わりました。資金も底をつき、とにかく生活のために稼がなければとなり、個人事業主として営業のフリーランスを始めたんです。すると、これがきちんと成果につながりました。そこであらためて、自分は営業でやっていくのが向いているんだと実感し、同時に「営業代行」という仕事へのニーズが市場として大きいことにも気づきました。これで勝負したいと思い、1年間のフリーランス期間を経て法人化しました。
一人からチームへ、組織をつくる決断
遠くへ行くには仲間が要る
法人化した当初は、私一人だけの会社でした。そこから組織にしていこうと思ったきっかけは、「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければみんなで行け」ということわざに近い考え方です。みんなでやると、その分だけ人間関係の悩みも増えます。社会人にとって、その悩みは決して小さくありません。それでも、仲間と一緒にやることの価値は同じくらい大きいと思っていたので、組織として歩む道を選びました。
紹介からはじまった採用
組織づくりの最初のメンバーは、知り合いや周囲から紹介してもらったリファラル採用がほとんどでした。今でこそ人材紹介のエージェントも活用していますが、はじめのうちは自分の身の回りの関係性を頼りに、少しずつ組織を大きくしていきました。
経営者として大切にしていること
挑戦を忘れないこと
会社の行動指針にもしていることが2つあります。一つは、挑戦を忘れないことです。年齢を重ねるほど、どうしてもリスクを避けたくなりますし、代表という立場になると、失敗をすると周囲から「代表なのに」と見られるプレッシャーも大きくなります。それでも、失敗を恐れて行動や改善をやめてしまえば、そこで成長は止まってしまいます。自分自身にもそう言い聞かせていますし、行動指針という形にして従業員にも浸透するように働きかけています。
全力でやりきること
もう一つ大切にしているのが、全力でやりきることです。この2つを軸に、日々の経営判断や組織づくりに向き合っています。
営業という仕事の面白さ
営業は人生の縮図だ
営業という仕事は、いわば人生の縮図のようなものだと個人的には思っています。営業は人対人の仕事なので、自分の思いをどう伝えるか、相手の意見をどれだけ本質までヒアリングできるかが問われます。単にものを売れればいいわけではなく、そこに到達するためにいろいろなテクニックや考え方を駆使する必要があるんです。それは友人関係や家庭を築くうえでも同じですよね。関わる人といい関係を築けるかどうかが大事なのは、人生全体にも通じる話だと思っています。営業をないがしろにしている人が、人生をうまく渡り歩けるかというと、そうではない気がするんです。営業力を身につけることは、人生という大きなフィールドで役立つ力を身につけることでもあります。
会社を経営して味わった苦労
突然の債権未回収
創業してから今にいたるまでで、いちばん印象に残っている出来事は、お客様の債権が不良になったことです。簡単にいうと、半年ほど継続してご支援していたお客様の支払いが途中から滞り、「来月まとめて払います」という状態が続きました。関係性や信頼感もあったので、それを容認しながら仕事を続けていたところ、最終的に売上が支払われないまま倒産してしまったんです。金額もそれなりの規模で、まだ会社が小さかった3期目だったこともあり、かなりのインパクトがありました。幸い赤字にはなりませんでしたが、その分があれば、もっと売上も利益も出ていたはずだと思います。
他社にはない強みと今後の展望
学校と展示会に特化する強み
弊社の強みは大きく2つあると思っています。一つは、業界を絞ったカテゴリー戦略です。営業代行という業態自体は競合がとても多く、会社ごとの違いがわかりにくいのが一般的です。私たちのような規模の小さな会社が同じ土俵で戦っても、大きな会社に飲み込まれてしまいます。そこで弊社は、営業代行のなかでも学校マーケットや展示会に強いという明確な強みを打ち出したマーケティングを行っています。この分野で仕事をいただけているのは、はっきりとした差別化ができている証拠だと思います。
継続と紹介がすべてを物語る
もう一つの強みは、継続してお付き合いいただけることです。営業代行の会社は、受注してもイマイチな仕事をしてしまい、早めに契約を切られてしまうケースが少なくありません。それが業界全体のイメージにもつながっている面があります。
弊社は数多くの案件を受けるというよりも、いただいた仕事に誠実に向き合うことによって、お客様に満足していただき、「ENERALLに頼んでよかった」と思っていただくことを大切にしています。長いところでは4年ほどご支援を続けているお客様もいますし、お客様が別のお客様を紹介してくださることも多くあります。紹介する側にとっても、満足していなければ知らない会社を紹介しようとは思わないはずです。こうした継続と紹介の実績は、弊社が大切にしている思いがきちんと形になっている証拠だと感じています。
いずれは自社サービスを
今後の夢としては、営業代行という業態を続けながらも、自分たちで自社サービスを持ち、お客様や社会に提供できる価値をより大きくしていきたいと考えています。
学生へのメッセージ
経験を重ねて自分を知る
学生や若い世代に向けてお伝えしたいのは、いろいろな経験を積極的にしてほしいということです。若いうちは、自分に本当に合っている仕事や趣味嗜好について、まだよくわかっていないことが多いと思います。それにもかかわらず、これまでの経験や先入観だけで物事を取捨選択してしまう人は少なくありません。でも、それが本当に正しい判断なのかはわからないはずです。自分の可能性を広げるためにも、いろいろな人と出会い、いろいろな場所に行って、多くの経験を重ねてほしいと思います。そうした積み重ねが、自分が今後したいことや自分自身の性格を、より深く理解することにつながっていくはずです。
編集後記
今回のインタビューを通して印象に残ったのは、「辞めてから考える」という武内さんの決断力です。大学時代を思い切り楽しみ、JTBでは9年間営業ひとすじで走り抜き、30歳という節目で退路を断ってから次を模索する姿は、正解を先に決めてから動くのではなく、動きながら正解をつくっていく生き方だと感じました。挑戦を忘れないという言葉も、経営者だけでなく学生の私たちにとってもヒントになると思います。将来の選択肢に迷ったときこそ、思い切って一歩踏み出す勇気を持ちたいと感じるインタビューでした。