インタビュー

大企業の「チーム編成や評価の仕組み」に納得できず、独立を選んだ

大企業の「チーム編成や評価の仕組み」に納得できず、独立を選んだ
PROFILE
PitDock株式会社 代表取締役
小山 望海

チーム次第で評価が変わることに違和感があった

頑張っても報われないと感じた

新卒で入ったのは、ITコンサルとSIerを掛け合わせたようなフューチャーアーキテクトという会社でした。当時は連結で1,000人ほどの社員がいる、それなりに大きい組織です。ITコンサルタントとしてスタートしたんですが、会社の方針で「コンサルをやるならエンジニアとしてのスキルも必要」という考え方だったので、自分でも開発をしながらコンサルティングをするという働き方をしていました。最初は地銀のお客さまのプロジェクトで、そのあと小売り系のお客さまのプロジェクトに異動になったんですが、そこで仕事量は増えているのに評価が上がらないという状況に陥りました。結局のところ、上司やチーム次第で働きやすさや評価が変わってしまいます。

もちろん、大きい組織で全員をおなじように評価するのは不可能だと思うので、誰が悪いという話ではありません。ただ、自分は大きい会社に向いていないのかもしれないなと思うようになって、独立するか、小さい会社に転職するかを考えはじめました。

まず独立してみることにした

いろいろ考えた結果、1回独立してみて、うまくいかなかったら小さい会社に転職しようというくらいの気持ちで独立しました。学生のころから起業したいという強い思いがあったわけではなくて、選択肢のひとつくらいの感覚でしたね。独立してからはフリーランスとして1年半ほど、開発とコンサルティング・PMを半々くらいでやっていました。法人化したきっかけも、正直よくある話で節税対策です。ただ、法人化したのであればどうせ案件も自分たちで取りに行きたいと思って、営業もはじめました。それが今のPitDock株式会社につながっています。

AIの本質を知っているからこそのコンサルティングを

事業の軸はコンサルとシステム開発

事業内容はフリーランス時代から変わらず、コンサルティングとシステム開発がメインです。最近はAIがどんどん進化してきているので、AIのコンサルティングも大きな軸のひとつになってきました。私自身、学生時代にAIの研究をしていたこともあって、そこは自然な流れだったと思います。

AIの中身を知っているからできる提案

AIが流行りだしてから、ChatGPTやClaudeなどの使い方に詳しい人は増えてきていると思うんです。ただ、自分はAIの研究をしていたので、より本質的な部分、つまりAIがどう作られているかというところまで理解したうえでコンサルティングができる。そこは、ほかにはあまりない強みだと思っています。

伝言ゲームをなくす仕組み

コンサルティング会社もシステム開発会社もたくさんありますが、両方を自社でできる会社はそんなに多くないと思っています。基本的には、コンサル会社が上流の戦略を作って、開発は別のシステム会社に委託するという流れが一般的です。でも弊社は、戦略立案から要件定義、開発、運用まで自社内で完結できます。多重下請け構造でコストがかさんだり、伝言ゲームのようになって効率が落ちたりすることをなくせるのは、大きな強みだと思っています。今は社員はいなくて、業務委託のメンバーが7、8人という体制で動いています。

素人なりに、営業とずっと向き合ってきた

苦労しているのは営業そのもの

創業してから、この瞬間が一番大変だったという記憶よりも、ずっと苦労し続けているのが営業です。私自身、コンサルタントやエンジニアとしてのキャリアしかなくて、営業は未経験でした。今も営業マンを雇っているわけではなく、私1人で営業をしているので、いわば素人が頑張って営業しているような状態がずっと続いています。前職でも営業経験はまったくなかったので、やりながらすこしずつ改善していくしかないですね。

人数を増やすより、1人1人の力で勝負したい

少数精鋭でありたい

独立した理由は、大きい組織だと手が空いた要員を手が足りていないプロジェクトにアサインせざるを得ないため、適材適所やチームの相性などがないがしろになりやすいと感じたからです。組織を大きくしたいという思いが強いわけでは無く、どちらかというと少数精鋭で、人数に頼らず優秀な人材だけで価値を出していきたいと思っています。今は5社ほどと取引がありますが、全国どこでも土日を問わず対応できる体制で、業務委託のメンバーにはもうすこし余力があるので、まだ受けられる状況です。

1つのスキルにしぼらなくてもいい

AIに仕事を奪われない選び方

私自身、学部や学科を選ぶときも、これがやりたいという強い思いがあったわけではなくて、なんとなく食いっぱぐれなさそうだなという感覚で情報系に進みました。そのなかでAIには多少の興味はありましたが、それを仕事にしたいというほどの思いではなかったです。就職活動のときも、せっかくITをやってきたのでIT関連の仕事はしたいと思っていたんですが、IT一本だとこれからの時代は厳しいかもしれないとも感じていました。実際、プログラミングだけという職種はAIに仕事を奪われはじめています。だからこそ、ITにプラスアルファのスキルをかけ合わせられるコンサルティングという道を選びました。1つのスキルだけにしぼらなかったのは、これからの時代がどう変わるかわからないと思っていたからです。絶対にこれがやりたいという強い思いがなくても、こういう仕事の選び方もあると思っています。

編集後記

今回お話をうかがって、印象的だったのは「自分でチームを選べないのなら、組織のあり方を自分でつくる」という選択のしかたです。1つのスキルにしぼらず、コンサルティングと開発を両方できる体制を整えているところにも、地に足のついた戦略性を感じました。営業は未経験からのスタートだったというお話も、就職活動やキャリア選択に迷う学生にとって、勇気づけられるエピソードなのではないかと思います。