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メジャーデビューの夢から、日本一のロゴ専門会社へ。できると信じてから挑戦は始まる

更新: 2026年8月8日
メジャーデビューの夢から、日本一のロゴ専門会社へ。できると信じてから挑戦は始まる
PROFILE
株式会社ビズアップ 代表取締役
津久井 将信

https://youtube.com/channel/UCKbqJDzAxKSorRDvxqxGjQQ?si=iKx9JMv-uk3DzQK2
https://www.tiktok.com/@bizupsns?is_from_webapp=1&sender_device=pc

起業までの道のり

バンドで人生に爪痕を残したかった

もともと父と母の2人で会社を経営していたので、将来は社長になりたいなという思いはぼんやりとありました。ただ、その途中でミュージシャンになりたいなという気持ちが芽生えて、大学のときからバンドを組んで割といいところまでいったんですよね。新卒で会社に勤めたんですけど、バンドもやりたいということで、メンバーと一緒に住んで、昼は仕事、夜は音楽活動という生活を送っていました。

社会人2年目のとき、ワーナーミュージック・ジャパンからCDを出すことができたんです。インディーズ部門ではありましたが、これはもうすごくうれしくて。そのまま行けるだろうなと思っていたら、全く行けなくて。しかも、大事なライブでボーカルが来ないということがあり、そこから空中分解してバンドは解散してしまいました。

私はどちらかというと、人生に爪痕を残したいと思うタイプなんですよね。バンドがだめなら社長を目指すしかないという思いがあって、そこから仕事に一生懸命集中するようになりました。

子どもの誕生が背中を押した

そうして3年目のときに結婚して、1か月後に妻の妊娠が分かりました。うれしい反面、まずいなと思ったんです。自分の性格からいって、子どもができたら守りに入って、起業なんてできなくなるタイプだと分かっていたので。1か月ほどずっと悶々と悩んでいたときに、恐ろしいイメージが湧いてきたんですよね。

当時勤めていた会社はかなり忙しくて、徹夜も何度もしていました。子どもが生まれても、一緒にご飯を食べることすらできなさそうで。家に帰って、妻と子どもが寝静まったなかで1人むしゃむしゃご飯を食べて、お風呂に入って寝る。そんなぞっとするイメージが浮かんできて、それはもう絶対に嫌だと思ったんです。

そのとき、もしかしたらこれは生まれてくる子どもが期限付きでチャレンジしろと言っているんじゃないか、という謎の解釈が降りてきましてですね。そこで腹をくくって、妻に「子どもが生まれても飯が食えなかったら会社員に戻るので、チャレンジさせてください」とお願いしました。会社に辞表を出したあと、何の会社をやろうかと考えて作ったのが、今の株式会社ビズアップです。

ビズアップという会社

リスクのなさがデザインを選んだ理由

起業を考えたとき、お金がなかったので、まずリスクがないものを選ぶ必要がありました。人件費を固定の社員としてではなく、案件単位で依頼できる形にすること。そして、マーケティングが弱い業界であること。これらを考えると、全部当てはまるのが自分がいたデザイン業界だったんです。

今から20年ほど前のことなので、今ほどフリーランスが注目されている時代ではありませんでした。ただ、デザイン業界にはフリーランスのデザイナーがいることを知っていたので、この人たちとうまくやれないかと考えました。人件費をかけずにできる形です。他にもいくつか事業案はあったんですけど、契約条件などで折り合わず、結果として今のロゴの仕事が残ったというのが実際のところですね。

無料提案という覚悟

同業のデザイン会社と比べたとき、うちの強みは三つあると思っています。

一つ目は、デザイナーとお客さまの相性です。お客さまが何を言っても分かってもらえないと感じたり、デザイナーは一生懸命やっているのに理解してもらえないと感じたり。ここの相性は本当に大事なんですけど、社員のデザイナーだけでは人件費の上限があって、数名しか雇えなくなってしまいます。

二つ目は、ディレクターの存在です。ネットでデザイン制作物を展開している会社は、ディレクターがいないことがほとんどなんですよね。デザイナーとお客さまが直接話すと、お客さまが言葉にしきれない要望をくみ取れないことが多い。うちでは年間1,000件以上の実績があるディレクターが、お客さまの要望をデザイナーに伝わる言葉に翻訳しています。橋渡し役がいることで、進行がスムーズになるんです。

三つ目は、無料で提案するという仕組みです。デザインを見てから、気に入った場合だけ料金をいただく。修正を入れてもらっても、それでも気に入らなければ1円もいただきません。これは業界で初めて導入した仕組みで、デザイン業界にいた人間として、デザイナーという人種は絶対にやりたがらないことだと分かっていたからこそ、逆に強みになると思いました。

これから届けたい価値

ブランディングは中小企業のためにある

自社の強みやらしさをきちんと表現できるかどうかは、個人でも会社でも、選ばれるためにとても重要だと考えています。ただ、ブランディングというと広告代理店が出てきて、お金がかかるイメージがあって、正直大企業しかできないことになってしまっているんですよね。

私の定義でいうブランディングは、選ばれるための施策全般です。中小企業が選ばれるためにどうしたらいいか、それを届けるのが私たちの役割だと思っています。自社の表現を存分に発揮してもらって、お客さまや採用の場面で選ばれる会社になってほしい。それが私たちのビジョンです。

AIにはできないロゴがある

AIも当然すばらしいものですが、自社の強みやらしさを、AIが出せるんだろうかというところは疑問に思っています。機械が考えたものにコミットできる、それでもいいという人たちもいますし、それを否定するつもりはありません。ただ、人間がある種の熱量や情念をもって作った、信念の象徴としてのロゴマークであってほしいという人も必ず一定数いるんですよね。

私たちは、そういうお客さまをターゲットにしていきたいと思っています。うちよりもはるかに安い金額でやる会社さんもありますが、そちらの方がAIの影響を受けやすいはずです。信念の象徴を機械ではなく人と一緒に作りたいというニーズがもしなかったら、すでにうちより安い会社が日本一になっているはずですから。

学生へのメッセージ

できると信じてから挑戦は始まる

私自身、バンドで本当にメジャーデビューしたくて、なかなかうまくいかなかった時期がありました。そのときにまずやったのは、心からメジャーデビューできると信じることだったんです。できるかできないか分からないという気持ちでやっていたら、多分できなかったと思います。できると思い込んで初めて、できるかできないかという選択肢が現れるんですよね。まずは自分ができると信じることから、土俵に上がれるんだと思います。

失敗し放題の今を使い切ってほしい

学生さんは時間があるじゃないですか。仕送りをもらっている人もいれば、自分で学費や生活費を稼いでいる人もいると思いますが、時間があるということは、どんどんチャレンジできるということです。海外旅行や学生インターンなど、今だからこそやっておいてよかったと思えることがたくさんあります。

私は立場上、大きな失敗はなかなかできませんし、結婚して家族がいる人も同じだと思います。でも学生さんの頃は、失敗し放題なんですよね。成功から学ぶことは意外と少なくて、失敗から学ぶことの方が多いと思います。

編集後記

今回のインタビューを通じて、津久井さんの「できると信じてから挑戦が始まる」という言葉がとても印象に残りました。バンド活動での挫折を経て、子どもの誕生という人生の転機を「期限付きのチャレンジ」と前向きに捉え直す発想の転換に、強く胸を打たれました。AIが台頭する時代だからこそ、人の手による「信念の象徴」としてのロゴ作りに価値を見出す姿勢は、これからの働き方を考えるうえでもたいへん学びの多いお話でした。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。