異色のキャリアと、3つの起業
高卒で就職、21歳で同志社大学へ
私はもともと高校を卒業後、就職をして2年間働いていました。その後、20歳のときに脱サラして、1年間勉強をしたのち同志社大学に入学しました。だから同期よりも3つ上でした。
普通だと浮くというか、馴染めないパターンもあると思いますが、私はもともと年齢関係なくコミュニケーションが取れるタイプだったので、気がついたら同志社大学の中でも有名な学生になっていたと思います。多分、私のことを知らない人はいないんじゃないかなっていうくらい、学部を超えて多くの学生に知られていました。
「稼げる感覚」から生まれた3つの事業
なんでそうなったかっていうと、在学中に3つの起業をしていたことが大きな理由です。さらにアルバイトもしていました。400人くらいいる学生団体で、多いときは月150万円ほど稼ぐような、ちょっと特殊な環境でした。私はそこのトップクラスの営業成績でもあったので、お金も持っていて、周囲からは「ちょっと異色の学生」として見られていたと思います(笑)。
3つの事業はすべて、自分の「これ稼げそう!」という直感から始まっています。
まず1つ目が、関関同立向けの専門塾です。私は高校卒業後、社会人経験を経て1年間の受験勉強だけで同志社大学に合格しました。頭がいい、というよりも勉強の仕方が人と全然違ったんです。「どんな人でも1年やれば受かるんじゃないか」と思って。落ちたら全額返金保証というスタイルで立ち上げました。
2つ目が、飲食・美容のメディアです。当時、いい服を買ったりいい美容院に行ったりしてInstagramにあげていたら、友達からよく「どこかいい店ない?」と聞いてくるようになったんです。食べログやホットペッパーがあるのに、なぜ私に聞いてくるんだろうと考えたら、「ポータルサイトでは本当にいい店って見つけられないんだ」ということに気づきました。それなら、いろんなところに食べに行っている私が学生向けのメディアを作れば、ビジネスも兼ねていろんなところに食べに行けるぞ。そう思い始めました。
3つ目が、アパレル・コスメの物販です。海外に遊びに行くようになり、見た瞬間に「これ売れそう」とわかる感覚が昔からあり、買い付けなどをしていました。
そういった自分の経験や感覚から、お金になりそうなものを見つけることをずっとやってきました。
メルカリのライブ機能との出会い
商品が「飛ぶように売れた」衝撃
ライブコマースとの出会いは2017年、在学中のことです。メルカリで物を売っていたら、ライブコマースの機能が実装され、試しにやってみたら商品が本当に飛ぶように売れたんです。
「なんだ!これは」と思い調べたら、中国ではすでに大流行していることが分かり、実際に現地まで視察に行ったら、街中にライブ配信者がたくさんいました。日本にはテレビショッピングの文化があるので、これは絶対に流行ると確信して本格的にやり始めました。
属人性からの脱却が「トキバナ」誕生のきっかけ
最初は、弊社のファウンダーでもあるkana(ライブコマース専門事務所「トキバナ」のトップコマーサー)の配信をプロデュースする形でスタートしました。でもそうすると、kanaという一人のライブコマーサーに依存しきった事業になってしまう。
それを変えるために、ぞうねこちゃんねるのaさん・bさん・cさんみたいに、kana以外のライブコマーサーをたくさん育てていこうと考えました。そのための受け皿として、ライブコマース専門事務所「トキバナ」を立ち上げました。事務所という名前にしたことで問い合わせも増えて、新しいライブコマーサーを「ぞうねこちゃんねる」や新チャンネルに振り分けていく体制が整ってきました。
ライブコマースが埋める「隙間」
実店舗やECサイトでも買い物ができない人がいる
ライブコマースは、実店舗に行けない理由を持つ人たちの課題を解決できます。
一つは、地方に住んでいて好みのお店が近くにない人。二つ目は、育児や仕事で忙しくてなかなか外出できない主婦の方。三つ目は、怪我や身体的な理由で出かけられない方。そして一番多いのが、精神的なコンプレックスを持っている方です。たとえば、年齢やライフステージの変化から、おしゃれなお店に入りづらいと感じる方や、 デパートコスメのカウンターで、専門的な説明に戸惑ってしまい、相談しづらいと感じる方もいます。
ECサイトで買えばいいじゃないかと思われるかもしれないけど、それだと店員さんに相談できない。実店舗でも、相談したいけど声をかけにくい。その狭間に落ちていた人たちに、ライブコマースであれば実店舗以上の接客体験を、全国どこからでも届けられるんです。
そういったお客様から、ライブコマースで商品を購入して使ってみたら、友達や子どもから急に「最近きれいになったね!」「おしゃれになったね!」と言われたり、「50代からでももう一度、昔みたいにワクワクする買い物ができた!」という声をよく聞きます。それがライブコマース事業そのものの価値だと思っています。
ぞうねこちゃんねるが強い理由
長年積み上げてきた信頼と実績が、仕入れ力を生む
「ぞうねこちゃんねる」のコンセプトは「ハイセンス × トレンド」です。多くのスタッフが在籍しており、自分たちも欲しいと思えるものしか販売していない。どれを買おうか迷うくらい、いい商品が揃っているのが一つの強みです。
さらに、その商品をできる限りお求めやすい価格で提供できることも、大きな特徴です。これが実現できるのは、ライブコマース黎明期から積み上げてきた販売実績と、メーカー・ブランド各社との信頼関係があるからです。実績の少ない企業がメーカーに価格面での協力をお願いしても、実現するのは簡単ではありません。一方で、私たちはそうした信頼関係があるからこそ、他社では実現が難しい条件でご一緒いただけるケースも増えています。 また、大手メーカーや有名ブランドからも「ぜひ商品を扱ってほしい」とお声がけいただく機会があり、そうした信頼関係が現在の仕入れ力にもつながっています。
もう一つの強みがエンターテインメント性です。見ていて面白い、なんか伝わってくるという感覚。これは社風やカルチャーに直結していて、和気藹々として上下関係もなく楽しく働いている雰囲気が、そのまま配信に出てくる。「見ていて楽しい、気持ちがいい」という声につながっています。
視聴者との距離感の設計
ライブコマーサーが意識していることは、まずお客様に不快感を与えないこと。そして、距離感を徹底的に潰すことです。
ただし、距離を縮めすぎると安っぽくなってしまう。だから、一定の権威性やカリスマ性はちゃんと持ったうえで、その人がくだけている。このギャップで魅力を出すというのが、私が得意とするやり方です。
私自身、顔つきも怖くて喋り方も論理的と思われがちで、人に怖がられるタイプなんですね。だからこそ、くだけて喋るとか、アイスブレイクを大事にするとか、そういうことをライブコマーサーにも伝えており、親しみやすさがある、でもすごいとわかる。その差分が大きいほど、「この人すごい!」という印象になります。
1000億を目指す理由と、その先のビジョン
競合と手を組んでライブコマース市場ごと広げる
今はTikTok Shopが始まって、競合が増えている状況です。でも私は、今こそ競合同士が戦うのではなく、手を取り合って市場を広げるタイミングだと思っています。
私たちはずっと業界のトップランナーとしてノウハウを積み上げてきた。これをもっとばらまいていく必要がある。自分たちがプレイヤーとしてガンガン売るというよりは、支援側に回って今まで培ったノウハウをいろんな人や企業に広げていく。TikTok Shopの認定パートナーとしての支援も始める予定であり、日本中にライブコマースを浸透させていくことに取り組んでいきます。そしてライブコマースのリーディングカンパニーとして、売上1000億円を目指しています。
「仕事って楽しい」を世界に証明したい
売上1000億という目標は、ユニコーン企業を目指すうえで社内でもイメージしやすい指標として掲げています。
でも、本当にやりたいことはライブコマースの拡大だけじゃない。私のミッションは「働くことって楽しい」というのを、自分の会社だけじゃなくて日本中・世界中に証明することです。
友達と会ったら仕事の愚痴が出てくる、やりたいことが仕事のせいで阻まれる、そんな状況を変えたい。子どもがいて、仕事の選択肢が狭まる。そういう「少しの制約」をできる限り取っ払っていきたい。無理なく働きながら成果を出せる組織ということを証明しないと、参考にしてもらえない。だから売上1000億が必要なんです。
社員を見て感じる、Cellestの文化
Cellestが求職者や転職潜在層に選ばれる理由
(丸山さん)入社して9ヶ月になるんですが、入社の決め手は「ヒト」と「Cellestの強み」でした。根が真面目で親しみやすい方が多く、この人たちと一緒に働いたら絶対楽しいだろうなという思いと、競合優位性のある商品力、企画力、価格力、演者力、アフターフォローの5つのユーザー目線や販売力、影響力など、強みが多いところにも魅力を感じて、東京からわざわざ大阪へ引っ越してきてまでも入社をしました。
ライブコマース業界のトップランナーとして走っている会社で働けることが自分の誇りにもなりますし、自分自身の成長にもつながる。そして、転職して良かったですし、今楽しく働いています。
(小松さん)今月入ったばかりなんですけど、子どもが2人いるシングルマザーなのもあり、働くことが好きなのにずっと在宅で働いていたんです。できれば出社してもっと会社にコミットしていきたいと思っていたところで声をかけてもらいました。今は7時間出社して、残りの1時間は帰宅後に好きな時間に仕事するっていう柔軟な形で対応してもらっています。
求める人物像は「根が真面目で、サボり方が上手い人」
弊社が採用で大事にしているのが「根が真面目な人」です。ど真面目じゃなくてもいい、根が真面目というニュアンスです。
ちょっと矛盾するかもしれないんですけど、「サボり方が上手い人」も求めています。真面目な人は仕事自体が苦しくなる。根が真面目でサボり方が上手い人、そして継続できる人。これが私の好きな人物像です。
学生へのメッセージ
就活は「完璧を目指さなくてもいい」
就活って、みんなめちゃくちゃ頑張るじゃないですか。でも正直、就活のときに思い描いたイメージと、実際に入ってみた現実がぴったり合った人って、ほとんど見たことがないんですよ。ホームページを見て、会社資料を読んで、人事と3回くらい面接しても、会社のことは全然わかりません。
だから、完璧を求めすぎる必要はなく、ある意味「適当にやっていい」と思っています。 どの業界に入るか、どの職種か、あまり関係ない。どこに入っても一生懸命やることが大切です。
「続けるか、辞めるか」の2択
新卒の1〜3年目はしんどいと思うんですけど、40〜50年働くうちのたった3年なんです。継続しなければ成果は出ない。だから基本は続けることが大事。
でも、嫌で嫌でたまらない場所で無理して続けるのもおかしい。私の考えでは「続けるか、辞めるか」の2択しかない。続けるなら、マイナスなことを考えずにポジティブに全力でやる。毎日マイナスのことしか浮かばないなら、明日にでも辞めたほうがいい。
そして、転職を繰り返すうちに気づくことがあります。「会社が悪い」と思っていたのに、次の会社でもまた同じことが嫌になって辞める。それって、「自分のマインドに問題があるんじゃないか」ということです。だから点々とすること自体は悪くない。今の時代、転職歴があっても大きなマイナスじゃない。大事なのは辞めた理由。その理由が妥当なら、10回転職していても「そりゃそうですよね」と思えます。
根本的には、継続することが大事。でも自分の直感を信じて動くことも大切にしてほしいと思います。
編集後記
佐々木さんのお話を聞いて、一番印象に残ったのは「自分の経験からお金になりそうなものを見つける」という姿勢でした。塾も、メディアも、ライブコマースも、すべて自分が当事者として感じた課題から始まっています。就活生はよく「自己分析をしましょう」と言われますが、佐々木さんがやっていたのはもっとシンプルで、自分の得意なことや感じてきたことを素直にビジネスに変換することだったんだと思います。また「仕事って楽しい、を世界に証明したい」というミッションは、ライブコマースという事業の枠を超えた大きなビジョンで、改めて会社の存在意義を問い直すきっかけをもらいました。私も就活を前にして、まずは自分が「稼げそう」「楽しそう」と感じる感覚を大事にしてみようと思います。