学生時代の原点、自分の直感を信じた選択
仙台のデザイン系大学でグラフィック専攻
私の原点は、地元・宮城県内の仙台にあるデザイン系大学に進学したことにあります。そこでグラフィックデザインを学んだ経験がベースとなり、現在弊社で手がけている広告やデザイン事業へと繋がっています。空間建築やプロダクトなども専攻の選択肢にありましたが、最も自分の感覚にしっくりきたのが2D、つまりグラフィックデザインでした。当時は将来の採算や打算などはなく、純粋に「自分が惹かれるもの、かっこいいと思うもの」を形にしたい、という直感に素直に従った結果ですね。
自分の視野を広げた、世界を巡る経験
もう一つ、自分の視野や価値観を大きく広げてくれたのが、バックパッカーとしての経験です。高校時代から国内を鉄道で巡るほど根っからの旅好きだったので、大学生になってからは少しずつ海外へも足を伸ばしました。社会人になってからもその足は止まらず、結果的に30〜40カ国ほどを歩いて回りました。特に憧れが強かったのがイタリアやスペイン。ヨーロッパは鉄道網が発達しているため、列車移動が中心でした。当時は円高だったので、アルバイトで貯めた資金を元手に、現地では1日千円ほどの安宿に泊まり、ローカルな食事を楽しむ泥臭い日々でした。決められたレールに乗らず、自分の足で歩き、見て、肌で感じる。この経験が、現在の独立やビジネスにおける行動力へと繋がっています。
ファーストキャリアは東北の広告代理店
地元に貢献したい気持ちから広告代理店へ
大学でデザインを専攻していたこともあり、そのまま就職につながった部分もありますが、ファーストキャリアとして選んだのは、東京などの都心ではなく東北の広告代理店でした。地元への愛着が強かったため、「自分が学んだグラフィックデザインの力で、地元や社会に貢献したい」という気持ちで、素直にここで働く道を選びました。学生時代にアルバイトをしていたアパレル業界へ進むことも少し考えましたが、より長期的なキャリアや将来の可能性を考えた結果、幅広いクライアントの課題解決にデザインで関わることができる広告業界を選択しました。
新天地の開拓を任され続けた14年間
その広告代理店には、36歳まで約14年間勤めました。本社のあった郡山でキャリアをスタートさせた後、地元に近い仙台への異動を希望し、その後は東京勤務も経験しました。さらに、会社が大阪へ初進出するタイミングでは、立ち上げの第一号として現地へ赴任しました。大阪の拠点が軌道に乗ると、再び東京へ戻り事業拡大を任されるなど、常に「新しい土地を切り拓く」ポジションを任される14年間でした。まっさらな場所に身ひとつで飛び込み、ゼロから人脈を築いて数字・実績をつくっていく。この経験を重ねる中で、ふと「これはあのバックパッカーでの旅と同じ感覚だ」と気づきました。仕事も旅も本質は同じで「どんな環境でも、自ら動けば必ずなんとかなる!」という確信が、私の大きな武器になっていました。
独立という新しい旅への挑戦
「やりたいことリスト」が背中を押した、30代半ばでの独立
14年間育てていただいた会社には心から感謝していますが、クリエイティブの現場で走り続ける中で、自分の中で「一つの大きな区切りまでやりきった」という感覚がありました。このまま会社に残れば、次は管理職として組織をまとめる立場になります。それも大切な役割ですが、「現場でもっと面白いことを仕掛け続けたい」という思いが強く、バックパックひとつで未知の国へ乗り込むような身軽な感覚で「独立しても、自ら動けばきっとなんとかなる!」と、新しい挑戦を決めました。ちょうどその頃、実は20代の頃に書いた「やりたいことリスト」を見返す機会があったんです。そこには「30代半ばで独立する」という言葉があり、すっかり忘れていた当時の自分の熱い想いに、最後に背中を押されたような気がしました。
社名「デザポケ」に込めた想い
社名の「デザポケ」は、「デザインのポケット」を意味しています。クライアントの皆様にとって、困ったときにいつでも頼れる身近なポケットのような存在でありたい。そして、そこから次々と新しいアイデアを取り出して提供したい、という想いを込めました。また、このネーミングは、私が子どもの頃に夢中になったアニメや漫画からのインスピレーションも受けています。「ポケットからどんな不思議な道具や面白いものが飛び出してくるんだろう」という、あのワクワクする感覚。クリエイティブの原点でもあるその「遊び心」を大切にしたくて、私自身も親しみを抱けるこの社名に決めました。
幅広いクリエイティブがあるからこそ、あえてノベルティを武器に
グラフィックデザインを軸にした幅広い支援
弊社のコア事業は、私のグラフィックデザイナーとしての経験を活かし、広告やプロモーション、採用関連など、お客様の課題をデザインの力で解決することです。代表である私自身はクリエイター気質ですが、メンバーの半数は営業職で構成されているため、単なる「デザイン制作会社」ではありません。ただ綺麗なデザインを作るだけでなく、アナログな印刷物や現場での施工、イベント運営といった泥臭い領域まで、一気通貫で伴走できるのが大きな強みです。東北出身ならではの実直さや粘り強さを活かし、現場に足を運んで最後まで徹底的にサポートする姿勢を大切にしています。
トレンドのノベルティが新たな柱に
最近はお客さまの声を直接伺う中で、3Dのドロップシールや立体チャーム、さらには感触が人気のスクイーズといった、トレンドを取り入れた企業ノベルティへの問い合わせが非常に増えています。弊社は幅広い対応力が強みですが、実はビジネスにおいて「何でもできます」というアピールは、かえって誰の印象にも残りにくいという側面があります。そこで、自社の魅力をよりわかりやすく伝えるための武器として、現在はこうしたオリジナルデザインによるノベルティ制作やOEMの展開を前面に打ち出しています。時代のニーズを捉えたこのノベルティ事業が入り口となり、今ではグラフィックデザインと並ぶ大きな事業の柱へと成長しています。
若手の「やりたい」に投資するボトムアップの組織づくり
組織づくりにおいて私が何よりも重視しているのは、「ボトムアップで自発性を引き出すこと」です。私自身が過去にトップダウンの環境で働いた経験から、決められた役割だけをこなすのではなく、「一人ひとりが主役として動ける会社をつくりたい」という思いが根本にあります。具体的には、会社としての大きな戦略や方向性は私が示しますが、そこに向かうための戦術は、チームや個人にある程度自由に任せています。「新しい事業を立ち上げたい」という声があれば、金銭的なサポートはもちろん、若手であってもどんどん決裁権を渡し、挑戦を後押ししています。年功序列や社歴は一切関係ありません。キャリアのある先輩の意見だけが通るのではなく、若いメンバーでもフラットに発言し、実行できる企業文化をつくるよう努めています。
急成長の裏側で直面した「組織づくり」の壁
実は創業当初、これほど組織を拡大する予定はなく、「デザインの仕事が続けられればいい」という身軽な気持ちでスタートしました。ところが、ありがたいことに予想をはるかに上回るペースでお取引が増加し、それに伴い働くメンバーも増え、4期目頃には急速に組織が拡大していきました。嬉しい反面、バックオフィスの強化や、組織ルールの整備などの必要性に気づくまでに時間がかかり、「会社としての準備」が全く追いついていませんでした。業績自体は順調に伸び続けているからこそ、「もっと早い段階から組織基盤への投資をしておくべきだった」という経営者としての反省もあります。現在はその遅れを取り戻すべく、次なるステージへ向けて、試行錯誤しながら組織のアップデートを進めている真っ最中です。
二拠点体制と、ノベルティ事業のさらなる飛躍
私自身が東北出身ということもあり、東京本社のほかに仙台にも拠点を構え、現在スタッフの約半数が仙台で勤務しています。私が目指しているのは、地方だけで活動を完結させることではなく、「東京に本社があるからこそ、地方にいながら最前線の大きな案件に挑戦できる」環境を用意すること。これこそが、二拠点体制を活かした私なりの地方貢献の形だと考えています。また事業面では、現在お客さまから大変好評をいただいている「トレンドを活かしたノベルティ制作」にさらに磨きをかけていきます。他の事業と並ぶ強固な柱として育て上げ、会社のさらなる飛躍を牽引する事業へと拡大させていきたいです。
学生へのメッセージ「感性を磨くこと。そして「お金」の勉強を」
今の学生さんは非常に真面目で、学生のうちからビジネスをしっかり学んでいる方も多く、本当に感心させられます。ただ、だからこそお伝えしたいのは、「学生時代はもっと思い切り遊んで、感性を磨いてほしい」ということです。私自身、バックパックで海外を巡ったり、興味の赴くままに全力で遊んだりした経験が、結果的に視野を広げ、今のクリエイティブな仕事の土台になっています。そのうえで、あえて具体的なアドバイスを一つ挙げるなら、「お金の勉強(金融リテラシー)」をしておくことをおすすめします。私自身は30代前半から投資などを始めましたが、お金の知識は、ビジネススキル以上に「人生の選択肢を広げ、やりたいことをスムーズに実現するための強力な武器」になります。「もっと若い頃に知っていれば」と今でも痛感するからこそ、これから社会へ羽ばたく皆さんにぜひ伝えておきたいですね。
編集後記
今回お話をうかがって印象的だったのは、バックパッカーとしての旅と、地方拠点の立ち上げや独立という挑戦が、髙橋さんのなかで地続きになっている点です。ノープランで乗り込んでその場で人脈をつくる感覚が、仕事にもそのまま生きているというお話は、学生である私にとっても勇気をもらえるものでした。金融リテラシーを学生のうちから身につけることの大切さも、あわせて胸に留めておきたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。