人ファーストの原点
大阪の人情に触れて育った
韓国出身で、10歳のときに、親の仕事の関係で日本に移り住みました。育ったのは大阪でした。人情味のある町で、人のあたたかさに囲まれながら大きくなりました。振り返ってみると、幼少期から人に恵まれてきたという感覚が、そのままいまの自分につながっていると感じますね。
手に職をつけて、安定した人生を
大学は甲南大学の情報システム工学科に進学し、卒業後はNECに入社しました。手に職をつけて、安定した人生を送りたい。当時の私には、そんな思いがありました。
将来はグローバルな仕事がしたいという憧れも、子どものころからずっと持っていました。エンジニアという道を選んだのも、その延長線上にあったのだと思います。
入社後はシステムエンジニアとして、自動車業界のシステムなどに携わり、仕事にやりがいも感じていました。
先輩との出会いが、人生を変えた
本気の仕事って、面白い
転機は、NECで尊敬していた先輩が独立したことでした。行動力のある方で、その先輩をきっかけに、経営者の方々と接する機会が一気に増えていきましたね。
経営者の方々と交流を重ねるなかで、大きなギャップを感じました。熱い想いやビジョンの大きさ、仕事への本気さと情熱。そして何より、仕事そのものを面白がっている姿です。
仕事が大変だから土日が楽しみ、ではないんですよね。仕事が楽しみだという人たちを前にして、自分の人生をどこに使いたいのか、自分の理想や夢は何なのかを、はじめて真剣に考えました。入社1年目のことでした。
そのときに、経営者になろうと決めました。
人の縁から広がった、多角経営
はじまりは、キャリアの相談だった
事業の軸は、私のなかではずっとコミュニティです。コミュニティとビジネスを掛け合わせて、その内外で喜ばれる事業を展開していく。アイデアファーストではなく、人ファーストで生まれた会社なんですよね。
最初にあったのは、キャリアの相談でした。若いうちからいろいろな方にお会いするなかで、業種を問わず「将来のキャリアの話を聞きたい」「異業種の話も聞いてみたい」という声を数多くいただくようになりました。そこでまず、勉強会や異業種交流会といった、人が集まる場をつくることからはじめたんです。同じエンジニアの仲間はもちろん、業種も年代も違う人が顔を合わせて、学びや刺激を持ち帰っていく。そんな場を地道に続けていくうちに、その輪は着実に広がっていきました。
相談が、事業に育っていった
相談に乗るうちに、それがそのまま仕事になっていきました。そうした流れのなかで、2008年に株式会社グローバル・プランニングを設立しました。エンジニアが案件と出会うSES(システムエンジニアリングサービス)や人材紹介へと事業が広がり、いまでは独立・起業を志す方への支援も手がけています。
さらに、人が集まる場をつくりたいという想いから、飲食事業を展開しているほか、イベントスペースやレンタル会議室も運営しています。そのほかにも、不動産事業や小売事業を手がけています。いずれも、コミュニティのなかで生まれた縁から立ち上がった事業です。
いま、グループとしての年商は10億円ほどになりました。
大切にしている、ふたつの言葉
毎年が「再選択」
キャリアの仕事で直接いろいろな方の話を聞くなかで、いつもお伝えしているのが「再選択」という言葉です。1年という時間はあっという間に過ぎていきますが、転職するかしないかではなく、毎年、自分のキャリアを再選択することがとても大事だと思っています。
「微差が大差を生む」
好きな言葉に「微差が大差を生む」というものがあります。一日一日の差は、ほんのわずかです。素振りを100回続けたところで、大谷翔平選手になれるわけではありません。でも、昨日の自分とは確実に違っているんですよね。その積み重ねが本当の自信になり、大きな武器になっていくと思っています。
基礎基本を徹底することが、私にとって何よりも力になりました。世の中が便利になって、流行りのスキルもたくさんあります。それ以上に、地味なことや当たり前のことを徹底してやることが、大きな結果につながると確信しています。
これからの展望
挑戦する人を、応援する側へ
会社としては「人の魅力と豊かさを最大化する」というミッションを掲げています。一人ひとりが納得のいくキャリアを選んで「この選択でよかった」と心から思える。そんな再選択の機会を、これからも届け続けていきます。グループとして年商100億円という目標も掲げていますが、これも、もっと多くの方に喜ばれる規模感で仕事をするための通過点です。
最近は、経営者としての経験を活かして、投資家としての挑戦も始めました。共感できる理念を持つ企業に投資をしています。ただ、資金を出すだけで終わりではなく、これまで培ってきた経験やノウハウも一緒に手渡していきたい。挑戦する人を応援することが、いまの私の目標です。
学生へ伝えたいこと
自分にギリギリの負荷をかける
基礎基本の徹底と並んで、やってきてよかったのは、自分に負荷をかけることです。筋トレと同じで、軽い負荷をいくら重ねても筋肉は大きくなりません。大きくしたいなら、ぎりぎりまで負荷をかける必要があります。
仕事も同じで、きついけれど、その負荷が結果的に自分を大きくしてくれるんです。年齢を重ねてからでは大変ですから、若いうちに挑戦しておくことは、人生においてとても役立つと思います。
コミュニティ×ビジネス
私がビジネスにおいて一貫して大切にしているのは、「コミュニティ×ビジネス」という考え方です。これから社会へ出る学生の皆さんには、ぜひ「人生を共に豊かにする仲間」を見つけてほしいと思っています。
一人でできることには限界がありますが、お互いに刺激し合い、情報をシェアし、高め合える仲間がいることは、人生の何にも代えがたい大きな糧になります。私自身、そうした最高の仲間たちとのご縁があったからこそ、様々な壁を乗り越え、多角的に事業の幅を広げることができました。
ビジネスも人生も、一人で抱え込むのではなく、信頼できる仲間と共にワクワクする未来へ一歩を踏み出してほしいと思います。心から応援しています!
編集後記
今回、金賢守さんにお話をうかがい、「人ファースト」で事業を広げてこられた歩みに強く胸を打たれました。とくに「微差が大差を生む」という言葉や、あえて自分に負荷をかけるという姿勢は、就職活動やキャリア選択に悩む学生にとっても、大きなヒントになるのではないかと感じます。目先の効率やスキルだけでなく、日々の積み重ねを大切にする姿勢を、私自身も見習っていきたいです。貴重なお話をありがとうございました。