インタビュー

北海道の大地が生む「食財」を、世界の食卓へ ― 大正12年創業、5代目が受け継ぐ想い

北海道の大地が生む「食財」を、世界の食卓へ ― 大正12年創業、5代目が受け継ぐ想い
PROFILE
株式会社 丸三美田実郎商店 代表取締役
太田 壽一

大正12年、士別の地で始まった商い

当社は大正12年に創業しまして、私で5代目の代表になります。会社があるのは士別市という、人口17,000人程度の北海道の地方都市です。現在は地元で収穫された北海道産の農産物を販売したり、「顆粒片栗粉とろみちゃん」という、北海道産原料を100%使用した独自商品を製造・販売しております。それに加えて、地元の農家さんとのお付き合いが長いこともあり、農薬や肥料、農業資材の販売も行っています。長年、この士別という土地で農業とともに歩んできた会社です。

士別だからこそ作れるものを、世界へ

一言で北海道といっても、各地域によって天候や土質が違うため、それぞれ全く異なります。士別という場所だからこそ作れる美味しいもの、素晴らしいものを私たちが見出して、農家さんに作っていただく。それを全国、そして世界にお届けすることが当社の使命だと思っています。

さらなる飛躍に向けた差別化への挑戦

今後は「とろみちゃん」に限らず、地元で生産される農産物の価値を見出し、さらにブランド力を高めていく、独自性を深めていくことが重要なテーマです。単に「美味しい」だけでなく、お客様から選ばれ続けるための圧倒的な付加価値を見出し、磨き上げることが、私たちにとっての次なる挑戦です。

未知なる環境への挑戦と経験

ビジョン図鑑さんが実施されているように、学生のうちから、自ら見ず知らずの相手へアプローチし、コンタクトを試みる姿勢は、社会に出る上で極めて貴重な経験です。たとえ相手から期待した反応が得られなかったとしても、その試行錯誤のプロセス自体に大きな価値があると考えています。真摯な対話を通じて得られた知見は、必ずや将来の糧になるはずです。こうした主体的な行動の積み重ねこそが、未来を切り拓く力となると私は確信しています。

持続可能な農業を実現するために

農業の担い手を維持・拡大していくためには、事業としての「収益性」の確保が不可欠です。地域貢献の志も尊いものですが、それは持続可能な経営があってこそ成り立つものです。例えば稲作の新規参入には多額の初期投資が必要であり、十分な資本計画が欠かせません。そのため、私たちが生産者の方に、付加価値を高められて収益性を確保できるような取り組みをお伝えすることがとても重要です。「どのような農作物をつくれば生産者のためになるのか」、「今ある農作物の価値を高めるためにはどのような働きかけが必要なのか」、このようなことを常日頃考えております。私たち経営者も、健全な利益を上げ、それを次の投資へ回すという好循環を作ることを大前提としています。正当な利益を生み出す堅実なビジネスモデルの構築こそが、私たちの、そして農業の未来を支える基盤であると考えています。

現地の情報を届けることが、私の仕事

当社の強みを挙げるとすれば、産地の情報をある程度吸い上げて、それを販売店さんをはじめとする取引先に伝えていることです。北海道の農業が今どんな状況か、トレンドはどうか、今年は天候が良くて豊作傾向なのか、それとも天候不順で不作傾向なのか。そうした情報をきちんと伝え、取引先の経営判断の一助とすることが、私の役目だと思っています。

編集後記

 

太田様のお話からは、老舗企業を受け継ぐ代表として、地域と真摯に向き合う姿勢が伝わってきました。とくに「農業を持続させるためには、まずは収益を上げることが不可欠」という言葉は、理想論だけでは地域も事業も続かないという現実を教えてくれるものでした。士別だからこそ作れるものを世界へ届けるというビジョンと、それを支える現実的な経営感覚のバランスに、老舗が長く続いてきた理由を感じました。私自身もこれから社会に出るにあたり、まず「稼ぐ力」を持つことの大切さを胸に刻みたいと思います。