インタビュー

理想のチョコレートでウェルネスとエシカルを目指す

PROFILE
合同会社wellty 代表
平野優子

農学部で学んだ「食料経済」

獣医に憧れていた

学生時代は、農学部で食料経済学を専攻していました。もともと動物や自然がとても好きで、獣医さんに憧れていました。「動物のお医者さん」という漫画に影響を受けて、獣医学部を目指していた時期もあります。獣医への憧れも最後までありましたが、進路を考えるなかで最終的に、動物や自然、バイオといった分野に関われる農学部へ進むことを選びました。

第三希望の配属が、私の人生を変えた

農学部は二年生からコースが分かれる仕組みで、希望や成績をもとに配属が決まりました。私は、第三希望だった食料経済学のコースに進むことになったんです。当時は、思い描いていた進路とは違う部分もあり、戸惑いもありました。実験や白衣にも憧れていたのですが、食料経済学コースには実験の授業はなく、卒業まで一度も白衣を着る機会はありませんでした。

でも今では、このコースに進んでよかったと思っています。
大学で簿記や経済についても学ぶことができたおかげで、希望の職種でキャリアを築くことができ、起業してからもその経験が役立っています。

その時は希望通りではなかったことも、後から振り返ると、自分の人生にとって大きな力になっていたり、今につながっていて、無駄なことはないんだと感じています。

洋菓子メーカーで見つけた「食」への興味

洋菓子メーカーに新卒入社

新卒で入社したのは、百貨店などに店舗を構える、チョコレートをメインとした洋菓子メーカーです。当時は単純にお菓子を食べることが好きで、個人的にも様々な会社のチョコレートをよく買い求めていました。この頃は、食と健康について、深く考えることはまだありませんでした。

酵素ファスティングとの出会い

二十代後半になって、代謝が落ちて痩せづらくなってきたことに悩むようになりました。ダイエットや美容について考える時間が増えていたとき、友人から酵素ファスティングがよかったという話を聞いたんです。三日間食べないとどうなるのか、という興味もあって試してみたところ、自分のなかで確かな体感がありました。食べるものによって、こんなに体が変わるんだという感激があったんです。

学びを深めた日々

もともとオタク気質なところがあり、そこから添加物や酵素栄養学・ローフードといった分野を学び、どんどん深めていきました。学べば学ぶほど、健康というきっかけを多くの人に届けていきたいという思いが強くなっていったんです。添加物を使わない料理教室やダイエットコーチングも、この時期に始めました。

チョコレートブランドの立ち上げ

「自分が思う最高のチョコ」を求めて

当時は、自分が思う理想の材料や生産背景で作られたチョコレートを、身近なスーパーでなかなか見つけることができませんでした。いつか自分が思う最高のチョコレートを作りたい。そう思うようになっていったんです。そんな活動を続けているなかで、チョコレートが大好きな女性と出会いました。彼女も自分のブランドを作りたいと思っていたことがわかり、意気投合してブランドを立ち上げました。

美容・健康・エシカルの三本柱

このチョコレートでは、美容と健康、そしてエシカル(生産者さんや環境への配慮)の三つをとても大切にしています。こうしたこだわりは、一部の人にとってはとても魅力的なものですが、一方で「意識高い系」に見えて、とっつきにくいと感じる人も多いと思うんです。だからこそ、おいしい、おしゃれといったプラスの気持ちで試してもらえるきっかけを、チョコレートという形で届けたいと思っています。

原材料へのこだわり

商品づくりでは、乳化剤や白砂糖を使わずに、できるかぎり自然の状態に近い原材料で作ることにこだわっています。フェアトレードのカカオ豆を使用したり、カカオ豆の焙煎をおさえたローチョコレート(raw=生)として仕上げたりすることで、加熱に弱い酵素や栄養素を残すようにしているんです。ローフードの製法を採用しているのも、このこだわりの表れです。

小さなチームが生む、細やかな仕事

販売はオンラインとバレンタイン催事

普段はオンラインショップ中心で販売していて、バレンタインの時期には百貨店の催事にも出店しています。規模としてはまだまだ小さいですが、、一枚一枚に向き合ってつくっているからこそ届けられる価値があると感じています。

三人のショコラティエと歩む体制

会社は、私のほかにショコラティエが三人働いてくれています。会社の理念に共感し、販売の面で力になってくれている方もいます。半年ほど前からは広報を手伝ってくれている方もいて、その方のおかげでメディアに取り上げていただけることも少しずつ増えてきました。少人数だからこそ、一つひとつの取り組みに丁寧に向き合えていると感じています。

発信のこれから

今後はSNSでの発信にさらに力を入れて、「選択の軸」を育んだり、選択肢を増やすお手伝いができればと思っています。

まだ挑戦したことのない音声メディア、たとえばポッドキャストにも挑戦してみたいです。noteやブログでも、食やエシカルに関する情報や、想いや取り組みなどを届けていけたらと考えています。

welltyが目指す世界

思いやりが連鎖する社会を目指して

私たちは「今より自分を好きになる人を増やし、思いやり溢れる世界をつくる」ことを目指して活動しています。いまのメインの商品はチョコレートですが、もともとはウェルネス・エシカルなきっかけや、変化するための習慣化のきっかけを届けるために立ち上げた会社です。チョコレートに限らず、より手軽に、わくわくした気持ちで環境や体に優しいものを取り入れられる商品を、これからも作っていきたいと思っています。

そして、その結果、お客様もその周りの方もずっと健康でいられたり、たくさんの笑顔がひろがっていくような温かい社会をつくっていきたいです。

学生へのメッセージ

大学生の時期はいまでも思い返すことが多く、特別な時間だったと感じています。学生の皆さんには、今しかできないことに全力で取り組んでほしいと思っています。思い通りの道に進めなかったり、今取り組んでいることの意味がすぐには分からなかったりすることもあるかもしれません。

でも、私はどんなことも人生にとって無駄な経験はないと思っています。私自身、大学時代の学びは会社員時代や今の事業の土台になっていますし、洋菓子メーカーで働いた経験は、チョコレートづくりの現場感覚や衛生管理、百貨店催事への理解にもつながっています。

その時は点に見える経験も、後から振り返ると線になっていて、すべて今の自分をつくる糧になっているのだと感じています。

そしてもう一つ大切だと思うのは、どんなことも自分なりに楽しんでみることです。今しかできないことも楽しみながら、自分の経験をひとつずつ増やしていくことが、より楽しい学生時代につながり、きっと今後の人生にとっても大切な経験になってくれるはずです。

編集後記

平野さんのお話を伺って、獣医への憧れから食料経済学、そしてチョコレートブランドへとつながる道のりに、まっすぐな一貫性を感じました。成績順でコースが決まったというエピソードも、いまとなってはすべて意味のある経験だったというお話が印象的でした。ショコラティエとつくり上げるチョコレートには、一枚ごとの丁寧さが詰まっているのだと思います。ウェルネスとエシカルを届けるブランドとして、これからの商品展開もとても楽しみです。