インタビュー

「選択より覚悟」——19歳で工場を飛び出した若者が、平均年齢23歳のチームで挑むAmazon運用の世界

PROFILE
株式会社scelta 代表取締役
立石龍斗

板金工場からの転身

ロボットに気づかされた「人の仕事」

高校を卒業してすぐ、地元・長崎(佐世保)の板金工場に入社しました。
鉄板を折り曲げたり、切り出したり、溶接したりする会社で、私は曲げ作業を担当していました。

転機が訪れたのは、まったく同じ作業をするロボットが導入されたときのことです。
私が1時間で60枚か100枚しかできないものを、ロボットは300枚、400枚と仕上げてくる。それを目の当たりにして、「もっと人だからできることをやりたい」と強く思うようになりました。

ちょうどそのころ本を読み始めて、起業したいという気持ちが芽生えました。
思い立ったその日のうちに工場長のところへ行き、「起業したいから最短で辞めさせてほしい」と伝えました。当時19歳だったので、今となっては不義理だったなとも思いますが、とにかく勢いで動いてしまった感じです。

「売る力」を身につけるための2社目

すぐに起業するイメージはまだ持てていませんでした。商売って結局、物を作って売るのが基本だと思うんですよね。当時は「これがいい」という商品が特になかったので、まずは「売る力」を自分に身につけようと、通販事業を行う株式会社バウムクーヘンへ入社しました。

入社の際、代表に「3年で起業する」と伝えた状態でのスタートでした。2020年7月に入社して、2023年7月に退社。本当にきっちり3年で辞めたという感じです。

計画通りかどうかは分からないですけど、自分に負荷をかけるために周りに宣言していたというのが正直なところで。早起きとかめちゃめちゃ苦手なんですが、「早起きしたい」と思ってできるほど人って強くないじゃないですか。人は良い行いをしようとはするものの、弱い生き物という前提が私の中にあって。筋トレと同じで、負荷をかけていかないと肥大していかない。プライドがあっても最終的に走れる方法が何かと考えると、周りに宣言して逃げられない環境を自分で作ることだなと。

株式会社sceltaの創業

辞めたくなかった、と言わせる組織

2023年9月、株式会社sceltaを創業しました。会社名の「scelta」はイタリア語で「選択」を意味します。何事も選択から行動へ、という思いを込めていたのですが、最近は「選択にあまり意味がない」とも感じ始めていて。どちらかというと、その選択を正解に持っていく力や覚悟の方が大事だと思っています。

嬉しかったことで言うと、やはり「あなたと働きたい」という気持ちで入ってくれたメンバーが、会社のことをめちゃめちゃ好きになってくれた瞬間です。

半数以上が一度に辞めた

苦しかったのは、創業から2年目の12月末ごろのことです。人が一度に半数以上辞めてしまいました。うちは何か商品を売っているわけではなく、人が稼働するビジネスモデルなので、稼働が足りなくなるとクライアントの解約も増えていく。解決策を出すまでに時間がかかりました。

なぜあれほどの人数が辞めたのか、実情は正直わかりません。辞めるときって本音を言わないものだと思うので。ただ振り返ると、当時はクライアント数が増えていく中で採用を中途半端に進めてしまっていた。妥協が多かった時期で、「人がいないと回らない」という状況に焦って判断を誤ったなと。加えて、自分自身の器の小ささをコントロールしようとしていた部分もあったと思います。

その後、300万円ほどかけてコーチングを学んだりして、それが100%活きているかは分からないですけど、離職率は相当下がりました。

「すごい若者集団」という夢

熱を価値に変えるチームづくり

起業してから見えてきた大きなビジョンがあって、それが「すごい若者集団を作りたい」ということです。今の弊社は平均年齢が23歳前後なんですね。若者の熱、その熱量を確かな価値としてクライアントや顧客に届けるにはどうすればいいか、それを考えるのが今の私の一番の楽しみになっています。

ある程度経験を積んだ人を採用して活躍してもらうやり方は、多くの会社さんがされていると思うんですよ。だから弊社は、若い人の思想や企画力、行動力を武器にして、顧客に価値を提供していきたい。そこは一番大切にしているところです。

「良心に従う」という軸

経営をしていく中でずっと大切にしていることは、「目的・原点・ゴールを忘れない」ことと「良心に従う」ことの2つだけです。それだけを常に意識して動いています。

Amazon運用の全てを一気通貫で

弊社のサービス「seller force」が選ばれている理由は、制作まで一貫してできることと、クライアントの中に店長として入り込めることです。コンサルとクライアントという距離感ではなく、もっと密に連携を取っていける。そのコミットメントの深さは、どこよりも社内でお互い切磋琢磨してやっているところだと思います。

中学の同級生2人が後からメンバーに加わってくれたのも、そういう組織の雰囲気があってこそかなと感じています。

若い読者へのメッセージ

選択より、正解にする覚悟

就活生とか若い人って、どの企業を選ぶかという選択にすごく迷うと思うんです。
でも正直、選択自体にあまり意味はないかもしれない。
大事なのは、その選択を正解に持っていく力と覚悟だと今は思っています。

どこに行ったとしても、その後の行動で全てが変わっていく。選ぶことに悩みすぎるより、選んだ後に全力を注ぐ。それだけで、全然違う結果になると思います。

編集後記

インタビューを通じて印象に残ったのは、立石さんの「人は弱い生き物」という前提でした。自分の弱さを認めた上で、あえて退路を断つ行動を繰り返してきた姿勢は、理想論ではなく徹底した自己分析に基づくものだと感じました。就活や起業を考えていると、どうしても「どこを選ぶか」という選択に意識が向きがちですが、「選んだ後に正解にする覚悟」というメッセージは、迷いの多い自分にも刺さるものがありました。
平均年齢23歳のチームで挑み続ける株式会社sceltaの今後が、とても気になります。